考えたことを言葉にする大学生。話し言葉と書き言葉、タメ語と丁寧語が混ざります。

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最近の記事

餞別

もうすぐで娘に会えなくなってしまう。 だから、娘にとびきりのプレゼントをあげることにした。 娘は小さい頃から、洋服やアクセサリーが好きだった。誕生日やクリスマスにはふたりで買い物に行った。 大きな包みを両腕に抱えて満面の笑みで、「ママありがとう!」と伝えてくれる。それが私にとっての幸せだった。 神様がくれた、私の一番大切なプレゼントは娘だった。 娘は元気に育った。母の日にはお花をくれたり、誕生日にはケーキを焼いてくれた。 大人になった娘はブランドやジュエリーが好きだ

    • 私と

      私のバイト終わり、焼肉店で私たちは一緒にご飯を食べた。 いつも通りお酒も飲んでいた。 金曜の夜だったのもあって、いつもよりも多くお酒を飲んだ。 酔いが回ってきて前後にどんな話をしていたのかは覚えていない。だけど少し悲しい話だったような気がする。 彼が「僕は、ひとりで生きているから」と言った。 その言葉を聞いて涙が本当に自然に出てきた。 どうしたらいいのかわからなくて泣いた。 彼も少し涙目だったけれど、私の方が泣いていた。 側から見ればまるで別れ話をしているように見えた

      • 大学生になるみんなに

        進学が決まったみなさん、おめでとうございます。 去年に引き続き、新3年生になる私がいくつかアドバイスを考えてみました。結構役立つんじゃないかなと思うのでぜひ読んでくれたら嬉しいです! 1.「経験をしなきゃ」と頑張らなくていい 大学に入ったらいろんな経験をしなくちゃ!と意気込んでいる人も多いと思います。でも、そもそも大学に入り新しい生活をスタートさせることが大きな経験になります。だからまずは日常に慣れることが大切です。特に、一人暮らしを始める人や親元を離れる人はそれだけで

        • 移ろう

          人の気持ちなんて、いとも簡単に移りゆくものだよ。 きっと、誰かに期待して、それが叶わなかった誰かの言葉だろう。 だけど、どんなものも、人もきっといつかは自分の元を去る。 だから覚えておいた方がいいのは、愛おしい存在を想った時に自分の中に広がる感情。 どこかに移ろうとも、見えなくなったとしても それだけは変わらずに残るから

          新しい年

          偶数の年は奇数の年よりも穏やかに過ぎていくのは、気のせいだろうか。 今年になって初めて、評価の対象にならない、自分のためだけの文章を書いている。 去年は目まぐるしい一年だった。今年はどんな一年になるのかな。 私はこのnoteでも日常生活でも、祖母のことを書いたり考えたりするのだが、最近になって気づいたことがある。 それは、祖母と過ごした思い出が、本当に心の支えになっているということだ。 今は忙しいので、いつか追記したいと思っているのだが、祖母のことや祖母と過ごした時間

          新しい年

          誰もが

          たぶん、大人なら誰もが、大切な人との別れを一度は経験しているだろうし、今は近くにいる誰かと、いつか別れるその瞬間を、想像してしまうことがあると思う。 実際はその想像通りにはならないのだけど、心の準備というか、突然やってくるその瞬間に耐えうるように、無意識に頭の中で描いてしまうのだと思う。 それは少し悲しいことだけど、いつかやってくることだから、私はできるだけ準備をしていたい。 そして、自分との別れも例外ではない。 だから、私がいつか自分と別れる時、どんな風に受け入れよう

          誰もが

          空気を読む

          「疲れているかどうかは僕が決めることだから」 そう言われてハッとした これまでずっと、ずっと他人の顔色を窺う人生を送ってきた 疲れてないか、怒ってないか、嫌だと思ってないか 不安で不安でたまらなかった 「今日、会うのやめとこうか」 「え、なんで?」 「疲れてないかなと思って」 私のせいで相手が疲れるようなことはしたくない、絶対に 相手ばかり気にしていたら、自分の気持ちがわからなくなってしまう ある時に限界を迎えた 大丈夫、まだやれてる、がんばらなきゃ、私しかいない

          空気を読む

          ほんとは

          みんなそれぞれの事情を抱えていて、でもそれを外に出すことはなくて。 だからと言って私は周りの人を信用してないわけじゃない。ただ、みんなにとって期待外れな存在になりたくない。 大好きな人との関係を壊したくないから、我慢する。 だって私は知っている。 「あ、間違えた。」と後悔する瞬間を、何度も経験してきた。 ほんとは言いたくても、自分の期待通りの反応をもらえるかなんてわからない。 なら、言わない方がいい。 ほんとは受け入れてほしい。 でも嫌われたくない。 本当の自分なん

          ほんとは

          二十歳

          二十歳になった。 全能感も解放感もさしてないけれど、ぬるっと大人にされた気がした。 これからまた十年、二十年と生きていったらどんな人間になっているのだろうか、少し怖い。 母は声をあげて泣いた。 晴れ渡った空の下で、大声を上げながら。 澄んだ空気を思い切り肺に吸い込み、 その腕の中に小さな子どもを抱えながら。 何度も言いかけて、その度に胸の奥にしまい込んでいた言葉を、ついに吐き出してしまった。 もう戻れなくなるとわかっていても、言わない方がいいと思っていても、後悔するとして

          二十歳

          一ヶ月ぶり

          一ヶ月ぶりにnoteを開いた。夏休みは駆け足で過ぎていって、もう秋学期が始まった。 祖母が亡くなってから4ヶ月ぶりに帰省し、仏壇に置かれている祖母の遺影や、がらりと変えられた家具の配置が、私に祖母がいなくなったことをわからせた。 仏壇の前に座り、微笑んでいる祖母の写真を見た時にはもう、とめどなく涙が溢れて、しばらく泣いた。 雑用をこなしていた母も、泣いている私に気づいて隣に座り、静かに待っていた。 実家のベッドで何度も寝返りを打っているうちに、カーテンの外が明るく、白ん

          一ヶ月ぶり

          子供の時は

          子供の時は、間違いをすることが普通で、それに気付いたら謝って、それで終わることができていた。 だけど、大人になると、だんだん間違いをしなくなる。だから、間違えた時、どうすればいいかわからなくなる。 どうやって直せばいいかわからなくなる。 細い金が絡まって取れなくなるネックレスのように。一度すれ違えば二度と交わらない線のように。 大人の間違いは子供の間違いほど単純ではなくて、もっと複雑で重い。 だから謝っても許されるのか、本当に謝るべきなのか、謝る前に悩んでしまって、大人

          子供の時は

          夏休みの目標

          授業期間が終わった。レポートはまだあるけれど、これで大学に行く必要はなくなった。 今学期は本当に辛くて大変だった。毎日ついていくのに必死で、ついていけない時もあった。 思い出すと泣きたくなるくらい、スケジュールも埋まっていた。 今年の夏休みは何をしようかと思ったが、今はただ休みたい。 そして、いろんなことを考える時間を取りたい。 主に将来のことと、家族のこと。 将来、自分はどんな仕事をしていて、どこに住んで、誰と生きているんだろう。 そういうビジョンをゆっくり、じっく

          夏休みの目標

          真夏、土曜日の朝

          室外機のファンが回る音と、静かな寝息。 少し効き過ぎた冷房を調整して、冷蔵庫から水を取り出す。 もう一度ベッドに戻り、季節外れの毛布にくるまった。 今日はこのまま外に出ずにいようかな、なんて考えながら でもやっぱり、せっかくの土曜日だから、柔軟剤も買わなきゃいけないし外に出よう。 もう少しだけ、涼しいこの空間で眠ろうとして 私は目を閉じた。

          真夏、土曜日の朝

          ひまわりとレモネード

          しおりちゃんと僕が出会ったのは、5月の最後だった。 大学の屋外のベンチで、パソコンと大量の書類を広げて唸っている僕の目の前に、しおりちゃんはいきなり現れた。 その時、しおりちゃんは片手にレモネードを持っていた。その透き通る黄色に引き寄せられるように、僕はしおりちゃんのことが好きになっていった。 僕のやっていることに興味津々だったしおりちゃんに、僕はできるだけわかりやすく、自分の研究について説明した。 だけどやはり難しかったようで、しおりちゃんは輪切りのレモンだけが残ったレ

          ひまわりとレモネード

          少しの相違

          祖母の携帯に電話をかけるのが、習慣になっていた。 今日かけてみたらアナウンスが変わっていた。 「現在使われていません」 そうか、もう出ないのか。おばあちゃんは出たくても出れないか。 私が書く文章には、なんのアドバイスもないし、役立つことも書かれていない。 ただ自分の感情や思ったことを稚拙な文章にしているだけだ。 だけどそれを見てくれる人がいる。 私は何もできない、と思っていても一緒にいてくれる人がいる。 立ち去る人もいれば、「大丈夫?」と話しかける人もいる。 そし

          少しの相違

          エッセイ

          床に落ちている一足だけの靴下、そのままのコード。 そういうものに囲まれながら、曇りの天気を眺めている。 よく晴れていた、笑い声が聞こえたあの日が懐かしい。 恋愛的に好きなのかと錯覚するほどに、人間性に引き込まれた。 そんな人たちと離れると、寂しくて仕方なくなる。 現実が想像よりも美しく、良いものであることが少ないことを私はよく知っている。 目の前の見知らぬ人に話しかける勇気はなかったし、ただ一人で生きているしかなかった。 暖色のあたたかな光のもとで、静かに息をする。

          エッセイ