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終わらない夏

もう二ヶ月が経った。

あれから私は、時折過去の自分がしてきた決断を振り返るようになった。
やっぱり行けばよかったと思う気持ちがないとは言い切れない。友達はあちこちへ飛んでいき、彼らの背景に映る景色はそれまでとは全く違い、ヨーロッパの空気が感じられる。

大学に入るまで、私はヨーロッパやフランス語にそれほど関心があったわけではなかった。いざ入学してみれば、フランス語を学ぶのは楽しかったし、ヨーロッパの文化や歴史について知識が深まるのはとても良い経験だった。きっとこれからも忘れないだろう。

だからこそ、行ってみるべきだった。なぜあんなに不安で怖がっていたのだろうかと思ってしまうほどだ。

私がもし、今フランスにいたら、どんな人に出会っていたのだろう。何を見ていたのだろう。

フランスだけでなく、イタリア、ドイツ、ベルギーなど周辺の国も回ってみたかった。
と、こんな風に過去形で話をしていると周りの大人たちは「もう行けないってわけじゃないんだから」とか「若いんだからこれから行けるよ」と言ってくる。

そうかなあ、と疑問に思ってしまい、素直に受け入れられないのは私の悪いところである。

だって私は今黒髪で、襟付きの白いシャツを着て、画面の向こうの人と関わるばっかりだ。留学していたら、髪色も多様で、フランスはきっと寒いからもうアウターを羽織っていて、初めて出会ういろんな人と直接話をする。

私は随分と思い切った決断をしてしまったのだなあ、と思わざるを得ない。留学したかったなあ、でもあの時は大変でいっぱいいっぱいで、壊れてしまいそうだったなあと、ぐるぐると同じことを考え続けている。

こんなままじゃ上手くいかない。気持ちを切り替えなきゃ。


ぐだぐだと書いてしまった。私は大学に入ってから、悔いがないようにやりたいことはなんでも、破天荒にやってきた。それでよかったと思う時も、失敗や後悔した時もある。「正解」に沿ってそのまま進む方がもっといい自分になれていたかもと思う。

だけど、若いうちにやりたいようにやった方が、いずれ歳をとった時に後悔しないとも思う。大人になれば、自分1人の人生ではない。家族ができたら、家族の人生も一緒に背負うこともある。今は「若さ」という武器が守ってくれることもある。


でも、正直に言ってしまおう。今すぐフランス行きたい。手続きとかぶっ飛ばして、飛行機のチケット取って、見たいものも食べたいものも全部見るし食べる。出会うはず人だった人にも全員会いたい。



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