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【おてて絵本】はらぺこおばあさん

習慣化してる我が家のおやすみ前の
お布団での【おてて絵本】。

意外といけてんじゃね?ってことで
書くことがゆーてもないなら
ここで世に出したりしても
まあいいんじゃないかというわけで。

電気を消して
仰向きに布団に入って
目をつぶって

私は両手をすくうように差し出す。

子どもたちは
暗闇の中
片目をそろりと開けると
私の手の中をイメージする。

はじまりはじまり。


むかしむかしあるところに

いつもいつも、はらぺこで
ぐうぐうお腹が鳴っている
細い目をした優しいおばあさんがいました。

ぐうぐう

「あら、おばあさん。寝ているの?」

細い目をしていて
いつも穏やかなので
寝ているように見えるのです。

「お腹がすい。。。」

言い終わらないうちに
寝ていると諦めて
どこかへ行ってしまいました。

おばあさんは
いつも一人で食事をとっていました。

一人分の巻き寿司が
部屋のドアの前に
家族は置いてくれるから。

起こさないように
そぉっとね。

おばあさんは
若い頃とても食いしん坊だったことは
もう誰も知りません。

おばあさんは
とても弱ってきたと
みんなが思っています。

ぐうぐう

ぐうぐう

お腹が叫んでいるようです。

その時

天使が現れました。


「あなたのお腹が助けてと私に教えてくれた。
あなたの願いをひとつだけ叶えてあげましょう。」

おばあさんはびっくりしましたが、
優しさのあまり、こんな風にすぐ考えました。

『わたしのお腹のおかげで天使に会えたのなら
お腹の望みを叶えてやらんとな』

「食べても食べてもなくならない巻き寿司が欲しいです。」

すると巻き寿司がキラキラと輝きました。

見た目は普通の巻き寿司ですが
ひとくち食べると
なんということでしょう
また、元どおり。

「ありがとうございます。」

天使はにっこりして言いました。

「本当の望みは伝えた方が早いですよ」

と言って消えていきました。

おばあさんは、天使がどうしてそんなことを言ったのか
よくわからなかったので、その言葉をすぐに忘れてしまいました。


それから毎日おばあさんは食べても食べてもなくならない巻き寿司を
モリモリ食べてお腹が満たされるようになりました。

しかし、おばあさんはどんどんどんどん痩せ細っていったのです。

骨と皮だけになっていき、とうとう元気がなくなってしまいました。

なぜなら、食べている量は巻き寿司一本だからです。

すると家族が言いました。

「おばあさん、大変、最近嘘つきなの。

すごく食べてると言ってるけど、用意した食事を全然食べてくれない。」

おばあさんが嘘をついていると
みんなに悪い噂を流されてしまいました。

『ああ、なんだか、さみしいな』

ポロりと涙を流して、
おばあさんが言いました。

「みんなと一緒にご飯を食べたい」

家族がびっくりしました。

おばあさんのことを誤解していたからです。

いつも会話の途中で寝てしまうし、
あまり会話もしないし、
ご飯を食べてる時も寝てしまうし、
おばあさんのご飯の食べる時間をずらして
起こさないように食事も部屋の外に置いて
そろりそろりと静かに声をかけずにいたのですから。


「なんだ、おばあさん。一緒に食べよ」


それからというもの
はらぺこおばあさんは毎日楽しい食卓で
家族みんな幸せに暮らしましたとさ。


おしまい。


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