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5月の大学1年生に講義をした気付き②(本編)


①では、書き出しについて感じた事を思いの外に長く書いてしまい、本編を②として、改めてnoteを書くこととした。

〈経緯〉

さて、①の始めでも述べたように、今回は知り合いの先生の運びにより、教職現場を経験した大学院生の立場から、学部1年生に自由に話をしてほしいというお話を頂き、恐縮ながら話をした。

事前の打ち合わせの中で、モチベーションが高いわけではなく、入学したばかりで将来の進路をどうしようかと漠然と考えつつも、心の隅に教職を考えている学生が多く受講しているようで、教育に触れつつキャリア形成的な視点で話を行うことにした。

〈いざ講義〉

教室に入ると女性の学生が8割、男性が2割ほどの割合で、男子学生の肩身は少し狭いのか、集まって座っている様子が見られた。
学部1年生の子には、最初であることを踏まえて、以下の6点の内容で話をした。
①自己紹介
②教育・教職についてのイメージ
③アクティビティ1(「勉強はきっとウチラに平等だ‼」より)
④アクティビティ2(「一生を賭ける仕事の見つけ方」より)
⑤大学院へ来た経緯
⑥現場ってこうだよ(給与・待遇・仕事)

今回は、特に③についての気付きを述べたい。
④で使用した書籍も魅力ある本なので、いつかnoteで投稿したい。

〈新鮮なリアクション・衝撃走る…。〉

②教育・教職についてのイメージでは、予想された「ブラック」「やりがい」などの言葉が並ぶ中で、「時代・文化と共に変わってきているもの」や「社会に出る前に必ず通る人やもの」といった意見もあった。

③アクティビティ1(「勉強はきっとウチラに平等だ‼」より)について、先日、大学院のとある先生が、ヤンジャン特別読み切りに掲載された蚊帳りくさんの「勉強はきっとウチラに平等だ‼」という作品について言及されており、自分も早速読んだ結果、その多方面から示唆のある素晴らしい作品で、是非これを読んだ人の感想が聞きたいと思い、アクティビティに取り入れてみた。(以下のリンク参照)

学部生の子には、「この作品をどう思うか」「どんな教育課題があるか」と問いを出した。(この問いが適切かどうかはご容赦ください…。)

個人的には、教育課題として以下のようなことが読み取れるのでは、と考えていた。
・高校の教育への信頼感の少なさ(ほぼ全員塾に通う)・家庭の経済力
・教育投資への格差・親子関係の質・大学の授業料・授業方法・立地
・学力観(学力=試験で点数をとる力?)・教員の職能限界・性差
・学習機会の差・氏か育ちか問題 など…。

しかし、学部生の感想では、
・子の進路を願わない親が存在することが考えられない。どんな思いだろう。
・勉強したいのに、させてくれない親がいることがあるのか。
・受験ってお金がかかるな
等があげられた。
特に、この漫画の内容は、フィクションだから現実にあるはずがないだろう、という意見を見たときは思わず担当の先生と顔を見合わせてしまった。
これは、彼らを批判しているのではなく、そういった価値観で見ていることに衝撃を受けたからだった。

だが、これらが彼らの見ている世界なのだと思うと、理解が足りていなかったのは自分の方で、謙虚に自分を振り返っていたつもりが、いつの間にか初心を忘れていたのだと気付かされることになった。
いつもエネルギーに満ちた大学院で過ごしていると、相手は常に学び手の先鋭であるために、知らず知らずに熱心な姿勢を前提としていたが、大学生は多様であるために、そうではない。
大学生だけではなく、教育を行うものとして、学習者の心情理解や実態把握は要であると分かっておきながら、理解していなかったということに気付くきっかけになった。

今回の事例を忘れずに、初心を思い出し今後の日々へと繋げていきたいと感じた。


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