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島根県川本町に移住した永田正彰さんのLOCAL MATCH STORY 〜海外での音楽活動の経験を活かし、音楽を通じた地域活性を図りたい〜

移住を経験し、地域で活躍されている人を紹介する「LOCAL MATCH STORY」。
今回は、島根県川本町に移住された現役地域おこし協力隊の永田 正彰さんをご紹介します。
そして、この記事は永田さんご本人に執筆いただきました。

自己紹介

永田 正彰 (ながた まさあき)

大阪府吹田市出身
島根県川本町 地域おこし協力隊(起業型)

2008年(平成20年)に大阪の音楽大学を卒業後、関西でフリーランスのトロンボーン奏者及び中学校、高等学校の吹奏楽部の指導に携わりました。2013年(平成25年)から6年間フィリピン・セブ島に移住をして現地のスラム地区の子どもたちに音楽を教えていました。活動を進めているうちに国際協力と地域おこしの類似性を発見したため帰国後は地域おこしに携わることができれば経験を活かせるのではないかと考えました。
フィリピンでの活動を2019年(平成31年)8月に終えて日本に帰国しました。
その後、2020年(令和元年)3月から島根県川本町の地域おこし協力隊として移住して音楽を用いた街づくりを行っています。
読売テレビ「グッと地球便」2018年(平成30年)
NHK BS1スペシャル「スラム街 希望のオーケストラ」2019年(平成31年)に出演。

フィリピンとの国際交流事業

フィリピンとの国際交流事業2

写真:フィリピンとの国際交流事業の様子

私が移住した地域はこんなところ

島根県川本町は県内のちょうど真ん中にある人口約3,000人の小さな街です。 中国地方最大の河川である江の川(ごうのかわ)が街の中心を流れ、山に囲まれた自然豊かな場所です。特産品は健康食品でもあるエゴマの実を搾って取り出すエゴマ油です。様々な商品に加工されて道の駅などで販売されています。
全日本吹奏楽コンクールの全国大会に川本高校(現在は島根中央高校)が過去に何度か出場しており「音楽の街」宣言をしています。
室町時代から歴史があり、戦国武将も戦いの傷を癒やしたという湯谷温泉「弥山荘」があります。
町内にスーパーマーケット、ドラッグストア2軒あり、車で35分ほどの距離にある隣の江津市、大田市にはショッピングモールがあります。出雲市まで車で1時間、広島市内まで車で1時間30分です。

川本町中心部の風景

写真:川本町中心部の風景

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なぜ移住しようと考えたのか

私が移住をしようとしたきっかけは私自身が音楽家であり、音楽の街と宣言している川本町で様々な音楽企画を作っていくことにメリットがあるかなと思ったからです。
また野菜を使った商品開発を考えていることもあり、同じ邑智郡にある隣の邑南町は農業が盛んで美味しい新鮮な野菜が手に入りやすいかと思いました。
それから父と祖父母が島根県安来市出身というご縁もあったのかもしれません。

移住するまでこんなことありました

まずは一度足を運んでみないと分からないと思っていました。どんな場所でどんな人達が暮らしているのか不安になります。川本町は1泊2日の移住体験ができるので申し込みをしました。こちらが街の中で行きたい場所や会いたい人に2日間の行程に入れてもらえます。そこで住民から様々なお話を聞くことができたので最終的に移住を決めました。
そしてこの移住体験は川本町までの交通費は実費ですが、現地に着いてからの宿泊費、移動は無料となっています。

移住後のライフスタイル

まだ法人化はしていませんが小さな音楽事務所COZY MUSIC OFFICEを立ち上げました。ギター、ウクレレ、バイオリン、トロンボーンの出張レッスンを始めました。その他、今後は音楽を通した関係人口の創出、音楽を通した国際交流(東南アジアやアフリカ)、島根県の食材を使った商品開発を計画しています。事務所兼自宅の生活スタイルです。

【午前】
メールの返信など連絡関係
これから始める事業構想を思案
ランチ(自宅)
【午後】
オンラインで打ち合わせ
出張レッスン、川本町の中学校、高等学校の吹奏楽部の指導

移住してわかった地方暮らしの魅力

1番の魅力は家賃が安いこと、新鮮な野菜、魚介類が食べられること。
トマト1つにとっても味が濃くて美味しいのです。これは移住してその土地のものを食べられる環境に身を置いたから分かったことだと思います。食べているものが自分の身体を作るという言葉がありますが、自分の身体、家族の健康を考える上でも地方での暮らしは良いのではないでしょうか。

島根の採れたてミニトマト

写真:島根の採れたてミニトマト

移住先での住まいについて

川本町の移住プランナーの方が移住体験のときに何軒か物件を一緒に回ってくださりました。町営住宅、民間の賃貸住宅がありました。町営住宅の方は3LDK(和室6畳2部屋、4畳1部屋)という間取りで家賃は月額18,200円、敷金は55,000円程です。実は私も今はこの町営住宅で暮らしています。お風呂はガスの追い焚き機能付きの古いタイプですがお湯は直ぐに出せます。建物自体は築30年は経っていますが中はリフォームされていました。個人的にはキッチンがもう少し広ければと思っていますが問題なく暮らせています。
民間の賃貸住宅はワンルームから古民家のような一軒家までありましたが、ワンルームの部屋で家賃が月額50,000円〜、敷金100,000円程です。

移住先でのお金事情について

私は地域おこし協力隊として3年間は報償金20万円(ここから所得税を引いて約18万円)報償金とは別に活動補助金が毎年100万円から200万円支給されます。私の場合は起業型の地域おこし協力隊なので200万円支給されました。この活動補助金を使って家賃、車のリースの半額、起業準備のため、その他事業に必要なものを買い揃えることができます。
3年間は報償金が支給されるのでその間に生活に必要な収入を事業から作っていく事ができます。
地域おこし協力隊(雇用型)の場合も市役所や役場に所属してお給料を頂きながら3年間で就職先を探すことができます。

移住先の暮らしで困ったこと

全く繋がりがない地域に移住したこと、また今年はコロナウイルスの感染拡大の問題があり地域の人との交流の機会が全くありませんでした。
また3年間という時間も予算も有限の中で何を行うことが1番良いのかを考える必要がありました。
私が行ったのは緊急事態宣言が発令されている中、時間があったので、この街にとって何が必要なのかを町長、副町長、教育長、役場職員に対して1人ずつインタビューを行いました。建前として話していた人も居ましたが率直な意見を集めることができたので今後の動き方が明確になりました。

地域おこし協力隊に応募した理由

昨年まで海外で働いていて久々に帰国をした時に再び海外で働くことも考えていましたが、せっかく日本に戻ってきたので次は日本国内で働こうと思いました。
またフィリピンで6年間、国際協力の仕事を進めていく中で地域おこしと国際協力の類似点を見つけたことで経験を生かしていけると思ったからです。
また起業をするに当たり必要な資金を補助していただけることも魅力でした。

フィリピンとの国際交流事業3

写真:フィリピンとの国際交流事業の様子

地域おこし協力隊になるまでにやったこと

情報収集としてインターネットで地域のことを調べて、移住体験に申し込んで参加し、そこに住まれている方に直接話を聞ける機会をできるだけ多く作りました。
応募する前にその地域に足を運んでみることが実際に活動をする自分のためだと思います。

地域おこし協力隊の活動内容

2020年3月赴任時は
地域おこし協力隊(雇用型)温泉活性化支援員として活動していました。
・週に2日は温泉施設の業務
・週に2日は役場での勤務
・週に1日は自主活動(音楽活動)

町長などにインタビューをして何を行うことが良いかを見定めた結果、役場と交渉をして2020年(令和2年)9月から地域おこし協力隊(起業型)に切り替えました。そうする事によって活動できる内容、エリアの拡大をすることができました。
現在は音楽事務所の立ち上げ準備を行っています。事業内容は
・音楽企画事業
 音楽イベントによる地域の活性化、関係人口の創出
・音楽開発事業
 音楽を教えるのではなく引き出していく。
 音楽を習うのではなく学ぶ場所の創造
・国際交流事業
 音楽を通した国際交流ツアーの開催(東南アジア、アフリカなど)
・商品開発事業
 島根県の食材を使った商品開発。
 野菜を使ったピクルスなど計画しています。

川本町の歴史、自然、文化をテーマにした吹奏楽曲を公募

写真:川本町の歴史、自然、文化をテーマにした吹奏楽曲を公募

地域おこし協力隊の受け入れ体制や関係する人々

赴任したときは役場が運営する任意団体に所属していましたが、現在は所属はありません。月に1度、役場の担当職員と打ち合わせをして進めています。その他、指導している川本町の川本中学校、島根中央高校の先生方、町内にある悠邑ふるさと楽団、松江市の山陰フィルハーモニー管弦楽団、益田市のグラントワ弦楽合奏団など島根県内の音楽関係者とは繋がりがあります。

地域の人との関係構築

赴任した2020年3月の時点で島根県内の全ての演奏団体、国際交流協会、大学などにメール、SNS、電話を使って連絡をしました。実際に伺ってお会いする予定を立てたりしています。
町内の飲食店に食べに行ってお話をする中で情報収集したり、紹介していただいたりして関係を構築していっています。
初対面でお互いを知らない分、何度も会う中で少しずつ距離を縮めていくことが大切ですね。

地域おこし協力隊の3年計画

1年目は地域の状況把握、地域の方々との関係構築、準備の時間に使っていきます。準備期間とはいえ実際に事業を行っていきます。
2年目は知り合った地域の方々と共に事業を進めていき、事業を広げていく時間に使っていきます。
3年目は事業を県外、国外に広げていく時間に使っていきます。または創ってきた事業の見直しを行ったり、不要な部分を削ぎ落していったりしていきます。そうする事で本当に必要なものを残していけると考えています。

地域おこし協力隊卒業後にやりたいこと

先程も書きましたが今準備していることを軌道に乗せて実現させていくことです。
・音楽企画事業
 音楽イベントによる地域の活性化、関係人口の創出
・音楽開発事業
 音楽を教えるのではなく引き出していく。音楽を習うのではなく学ぶ場所の創造
・国際交流事業
音楽を通した国際交流ツアーの開催(東南アジア、アフリカなど)
・商品開発事業
 島根県の食材を使った商品開発。野菜を使ったピクルスなど計画しています。

音楽を通して島根県と海外を含めたその他の地域を繋げていくことを進めたいと思っています。

地域おこし協力隊の魅力

自分の生まれた地域以外で自分が関心のある地域との繋がりを作ることができることは魅力だと思います。
特に何か挑戦したいことがある人におすすめしたいです。または都会の生活に疲れてしまってゆっくり過ごしたい方にもいいかもしれません。

地域おこし協力隊の大変なところ

全く土地勘もなく知らない地域で活動を始めていくことはとても大変なことです。そこからその地域に何が必要なのかを見つけ出して活動していくことが必要です。新しい提案はなかなか受け入れられない事も多いです。それはその地域の人が経験の無いことだからということなので、小さく実際に行ってみて、見せてみて、結果を見てもらうというように進めていくと地域の方々も納得されるのではないでしょうか。関係構築には時間という物も必要ですね。

移住検討している方へメッセージ

都会が良い、田舎が良いそれは誰かが決めるのではなく、あなた自身の感性によって決まるのではないかと思います。地方へ移住したいなという思いがあるのであればまずは旅行で訪れてみることから始めてみてください。旅行で訪れてみて気に入った場所があればその自治体が主催する移住フェアなどに参加してみてください。その後は移住体験を通してその地域と関わってみて検討してください。
最近は関係人口として年に1度、毎月などそれぞれのペースで地域と関わりを持つという方法もあります。移住へのステップとして考えるには良いかと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。

(終わり) 執筆時期:2020年9月

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