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コーチングの歴史

今日はコーチングの歴史の話をしようかな。
一度も説明してなかったから一旦まとめておく。

ちなみにこれは昔おれが個人的に調べて独断と偏見で編集したものなので、間違ってたら連絡ください。


【コーチングの種類・流派】

コーチングにはさまざまな流派がある。
コーチは料理人みたいなもので、イタリアン、フレンチ、和食、中華、インド料理、地中海料理、メキシカン、タイ料理、ベトナム料理、、、色々な流派があり、そしてその中の一つ、イタリアンという流派の中でも、さまざまな料理があるよね。同じ「ペペロンチーノ」というお皿でも、料理人によって、さまざまな味がある。

コーチやカウンセラー、サイコセラピストなど、心の対人支援をする人も同じなのよ。
そのくらいさまざま。

コーチングなら、コーアクティブコーチング、NLPコーチング、ストレングスコーチング(ポジティブ心理学)、認知科学コーチング、ビジネスコーチング、行動コーチング(Growモデル)、インテグラルコーチング、オントロジカルコーチング、まあ色々ある。これを詳しく話そうか。

  • 自己啓発セミナー系
    1960年代のカウンターカルチャーを背景とした人間性回復運動(human potential movement)から派生した自己啓発セミナーの人脈をルーツとする流派。日本で主流のコーチング(ICF)はこの流派に属するので、後で下記で詳しく書くね。日本だと、CTIとかGCSとかTHE COACHとかは全部ICFの流派。

  • NLP系
    NLP(神経言語プログラミング)に基づいた流派。NLPは本来は心理療法がベースにあり、それを言語学者や文化人類学者が研究をし、「ツール」としてパッケージングすることで生まれた。世界で最も経済的に成功したコーチとして君臨するアンソニー・ロビンズはこの流派の出身。

  • ポジティブ心理学系
    ペンシルベニア大心理学部教授のマーティン・セリグマンの主唱するポジティブ心理学に基づいた流派。日本では、ストレングスファインダーとかが有名だよね。あれはポジティブ心理学が土台にあるよ。

  • サイコロジスト系
    アメリカでカウンセリングや心理セラピーを行うサイコロジストは専門職として確立されていて、最低でも修士号、通常は博士号を取得し、一定期間の臨床研修をしたうえで公的資格試験に合格する必要がある。サイコロジストがその専門知識をベースにしてコーチングを行う流派。

  • 哲学系
    チリ人のフェルナンド・フローレスの存在論的哲学に基づいた流派。オントロジカル・コーチングと呼ばれている。これはおれは見た事も会ったことない。けど、「哲学」がベースにある心理療法は多数あるし、なんか気になってる。情報が少なすぎる。

  • ニューエイジ系
    ニューエイジ系の思想家に分類されるケン・ウィルバーのインテグラル思想をルーツとする流派。インテグラルコーチングはこれ。成人発達理論もここに属する。ちなみにケンウィルバーは、「意識」の領域におけるアインシュタインと言われてるくらいの大天才。世界で初めて「フロイト」と「ブッダ」を融合させたと言われている。ちなみに日本でもこのメタ理論の天才はいて、井筒俊彦さん。彼も東洋思想と西洋思想を統合させた哲人。日本のウィルバーは、井筒さんと言われている。

  • 認知科学系
    これは自己啓発セミナー系とは別の系譜で進んでいったコーチングで。認知科学コーチングを世界に広げたルータイスの流派。ルータイスは元々フットボールのコーチで、認知心理学(ゲシュタルト心理学など)の概念を試して、大成功を収めた人。それを「プログラム」にして世界展開した。日本では苫米地英人さんが中心に広げてくれている。

まあこんな感じなわけだ。

【コーチングの資格と団体】

コーチングってなに?って聞かれても上記のように、流派が多すぎて、統一的な定義がない。
そしてコーチングには国家資格も存在しない。
日本ではコーチングというとICF(国際コーチ連盟)が「コーチングの国際資格!」として売り出されて有名なわけだけど、実はICFも一つの流派の一つの団体でしかない。
同じ流派の中でもICFはIAC(International Association of Coaching)という団体と北米で覇を競っていて、イギリスには科学的根拠に基づいたコーチングをリードしているBPS-SGCP(British Psychological Society-Special Group in Coaching Psychology)やISCP(International Society for Coaching Psychology)といった有力団体もあったりする。

ていうか国際資格って、international ついてる団体だけでもいったいなんこあるんだよ。
IAC - International Association of Coaching
IACM - International Association for Conflict Management
IAHC - International Association for Health Coaches
IANLPC - International Association of Neuro Linguistic Programming and Coaching
ICC - International Coaching Community
ICF - International Coach Federation
ISCP - International Society for Coaching Psychology

【コーチングの歴史】

じゃあ、とりあえず、その「コーチング」というものが生まれた歴史を話そうか。

「コーチ (Coach)」という言葉が生まれたのは1500年代。その語源は「馬車」なんよね。
(だからアパレルブランドのコーチはロゴが馬車でしょ?)。

馬車の役割は、「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」ということ。
そこから派生してコーチングは、「人の目標達成を支援する」という意味で使われるようになったわけだ。

そして、その「コーチング」はいつ生まれたか?

・1840年代、イギリスのオックスフォード大学で「学生を個別指導する方」のことをコーチと呼ぶようになった。
・1880年代、ボート競技の指導をする方をコーチと呼ぶようになり、スポーツ分野に入ってきた。
・1959年、ハーバード大学准教授のマイルズ・メイスが、著書「The Growth and Development of Executives」の中で、コーチングを重要なマネジメントスキルと定義した。ここでビジネスの分野にも入ってきた。

・1970年代、スポーツのコーチングの分野でガルウェイが「インナーゲーム」を発見、開発する。ここで、少しずつ、人間の無意識の中で何が起こっているのか?が注目され始めた。
ちなみにガルウェイは、エサレン研究所にも出入りして、「ヨガテニス」なるものを教えていた。

エサレン研究所とは、human potential movement(人間性回復運動)という、「幸福」「創造性」「自己実現」の主体である人間の「人間性」や「人間の潜在能力」を、回復・発展させることを旨とする運動で、これのど真ん中に生まれ、西洋と東洋の叡智を統合したワークショップを提供する研究機関。

すげーざっくりいうと、これまでの心理学や心理療法は「調子の悪い人を治す」「治療」みたいな使われ方をしていたんだけど、そうではなく「より人間の可能性を最大限に発揮させるため」に、心理学や心理療法、東洋哲学などを使っていけないか?みたいなことをやりだした。

エサレン研究所には下記のような心理の世界の天才、レジェンドたちが出入りしてた。

  • カール・ロジャース(臨床心理学者/クライアント中心療法の創始者)

  • フリッツ・パールズ(ゲッシュタルト療法の創始者、NLPのモデル)

  • バージニア・サティア(家族療法家、NLPのモデル)

  • ミルトン・エリクソン(現代催眠の父、NLPのモデル)

  • グレゴリー・ベイトソン(文化人類学・精神医学の専門家、NLP創始に影響)

  • アブラハム・マズロー(人間性心理学とトランスパーソナル心理学の創始者)

  • アーノルド・ミンデル(プロセス思考心理学の創始者)

  • フレデリック・M・アレクサンダー(アレクサンダー・テクニークの創始者)

  • モーシェ・フェルデンクライス(フェルデンクライス・メソッドの創始者)

ちなみにエサレン研究所の近くには、曹洞宗の鈴木俊隆老師(スティーブ・ジョブズの師匠)が開いた、サンフランシスコ禅センターがある。

・1980年代、このエサレン研究所で成功哲学セミナー est(Erhard Seminars Training)が生まれた。
これはおそらく、エサレンに集結した達人たちの叡智やワーク、人間性心理学の世界観などが盛り込まれていたのだと思われれる
(ちなみにestは本来、禅の考え方を取り入れたセミナーの一種であったが、次第に規模を拡大していくうちに、ビジネス化してネガティブな意味での「自己啓発セミナー」へと変質していった模様。)

・1980年代後半、トマスレナードが世界初のパーソナルコーチングのコース、「デザイン・ユア・ライフ」を作り、パーソナルコーチングの父と呼ばれるようになった。
ちなみに彼は、estがいくつか形を変えた後の商材を提供する会社の予算部長であり公認会計士で、彼がその商材を買い取って、そこからパーソナルコーチングの上記のコースが生まれている。
コーチの養成スクールの原型はここで生まれた。

そこから、このコースの参加者がCTI(日本でも有名なコーチ養成スクール)を立ち上げる。
トマスレナードもICF(国際コーチ連盟)を立ち上げる。
現代では、この連盟にCTIなど名だたるコーチングスクールが所属しているというわけ。

・1997 年、コーチ・エィ(当時コーチ・トゥエンティワン )が日本でコーチ養成スクールの提供を始める。

ちなみに、コーチ・トゥエンティワンを設立した代表は、iBD(It’s a Beautiful Day)の名称で、有名なコミュニケーション系の自己啓発セミナー団体を主宰していた。
(日本での自己啓発セミナーは1980年代末から1990年代初めにかけてブームとなり、マスコミからのバッシングやバブル崩壊により、1990年代半ば頃から急速に衰退した。)

この流れを見るに、アメリカでも、日本でも、自己啓発が盛んになって、そして自己啓発が衰退するとともに、コーチングが広まってるわけだ。故に、自己啓発の延長からこのICFベースのコーチングが広まっていると言えるのかもね。
(ちなみすげー裏話だけど、この時、上記の彼がコーチングを日本に持ってくる前に、本当はNLPを持ってこようとしてたっぽいんだけど、ジョングリンダーに断られて、仕方なくコーチングを持ってきたとか何とか。真相はわからない。聞いた話だから。)

【この流れとは別の流れ】

認知科学コーチングを世界に広げたルータイスの流派はこれとは全く別の流れ。
ルータイスは元々フットボールのコーチで、認知心理学(ゲシュタルト心理学など)の概念を試して、成功を収めた。
1970年、TPI(Tice Principle Institute)を設立し、上記の手法を「教育プログラム」として広げることにした。
その際、著名な認知心理学者、社会心理学者、神経学者、心理療法家の協力を受けている。
1980年、北米とカナダを超えて、世界展開を始める。
2007年、脳機能科学の専門家である苫米地英人博士とルータイスが出会い、2008年から日本でもこのプログラムの展開を始める。
このプログラムは、現在では世界50カ国以上で展開され、フォーチュン500(米国優良企業500社)の62%が導入。NASAや国防総省を含む政府諸機関、警察、小中学校、大学、オリンピック委員会などが採用し、圧倒的な成果を挙げているそう。

【まとめ】

「コーチ」という言葉は元々は馬車。
その本質は「大切な人をその人が望むところまで送り届ける」という言葉。

そして、コーチングはスポーツなどの競技から生まれ、ビジネスの世界にも導入されていった。
日本で主流として広まっているコーチングは「自己啓発セミナー」から派生して生まれたもの。
そしてその源流は、エサレン研究所の中にあった「人間性心理学」。

人間性心理学は、人間を心と身体が一体となった全体としてとらえ、自由意思を持った主体的な存在としてとらえる前提に立った心理学のこと。
まあすげー簡単にいうも、人間は因数分解できない存在で、生涯をかけて人はどのように成長していくのか?を追求する心理学。

人間の「意識」に関する歴史で言えば、
・シャーマニズム30,000年
・インド哲学5,000年
・仏教2,500年
・心理学160年
・コーチング40年

ということなので、まだまだ若い分野だ。
深層心理学を超えて、仏教やインド哲学の奥行きを持って、コーチングを学ぶとめちゃくちゃ良いよなあ。


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