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人生100年戦略に対する健康の概念

 「LIFE SHIFT100年時代の人生戦略」をaudibleで聞いてみました。現在20代の人たちの50%は100歳以上まで生きるようで、人の寿命はどんどん延びる傾向にあるそうです。本書で書かれている話は「健康寿命」と「平均寿命」の差異に関してほとんど言及することなく、おそらく死ぬまで健康で生きていくことを前提にして「投資」と「キャリア」に主眼を置いて、今後の人生の戦略の立て方の指針を述べています。
 健康寿命を延ばさなければ貯蓄や投資で得る資産をどこまで増やすべきなのか、キャリアをどう組み立てていくのかを固めにくいと考えられます。そこで今回は、健康という資産の必要性を少し深く述べていきたいと思います。

「平均寿命」と「健康寿命」は違う

 寿命には平均寿命と健康寿命の二つの定義があり、平均寿命は命が尽きるまでの平均の年数であり、他方健康寿命とは寿命のうち日常生活に制限の無い期間を指します。つまり、今の20代の人たちの平均年齢が100年となったとしても、健康寿命が例えば80年だったとすれば、その後の20年間は寝たきりもしくは介助を受けた状態で入院、通院を繰り返しながら生きていく必要があります。厚生労働省の発表によると、日本の男女の平均年齢はそれぞれ約80歳と86歳であるのに対し、健康寿命はそれぞれ約70歳と74歳である。よって、現状ではそれらのギャップである10年程度は介助を受けたり、寝たきりになるリスクがあるわけです。

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労働に供する期間は長期化し、健康資産はますます高い価値を示す

 LIFE SHIFTでも述べられているように、人口比率から考えると年金で隠居生活を送る期間は今と比べると短くなり、労働を長期間続ける必要があります。今現在でも、年金や社会保障が日本や北欧と比較して手薄いアメリカにおいては、80歳を超える労働者がAmazonの倉庫で働き続け、労働からリタイアできずにいるということも報告されているようです(書籍「世界のニュースを日本人は何も知らない」で言及されています)。日本でも年金の存続が危ぶまれており、将来支払われる年金額は非常に少額になっていれば、日本でも同様の社会が待ち受けている可能性が高いと考えられます。つまり長期間にわたり働く可能性が高いため、健康という資本は今後ますます高い価値を持ち始めることが予想されます。

障害調整生命年(DALY)から考える健康寿命を縮めるリスク

 厚生労働省の発表(p10 図5, p11 図6)によると、日本人の四大死亡原因は上位からガン、心臓疾患、老衰(高齢者でほかに記載すべき死亡原因のない自然死)、脳卒中となっています。もちろんこれらの病気を予防する努力は必要です。しかしながら、これらはあくまでも死因であり、健康寿命を低減させる大きな要因は別の情報から割り出す必要がありそうです。そこで障害調整生命年(disability-adjusted life year; DALY)が大きい疾病に焦点を当てることにします。

DALYとは?

DALYとは障害、疾病、早死によって失われた年数として定義されています(wikipediaより)。つまり平均寿命が80歳としたときに40歳で死亡した場合、そのギャップである40年が失われた年数(years of life lost; YLL)となり、DALYに計上されます。また障害を持ち続けながら平均寿命を全うした場合でも、障害を持ちながら生きていくことになるので、この場合は障害と生きる年数(years lived with disability; YLD)として同様にDALYに計上されます。これらを発生した年齢で重みづけをして(青年期で障害を負う、死亡する場合、その時期までの教育などの投資から考えて損失が最大になるように重みづけが行われる)からDALYを計算しています。下図に示すようにDALY = YLL + YLDとなります。
 2004年の段階で日本においてDALYの値が大きい疾病上位10位はうつ病( 531)、脳血管障害 (425)、自傷 (423)、喘息 (290)、虚血性心疾患 (274)、聴覚障害 (264)、認知症 (247)、骨間接症 (224)、統合失調症 (194)、双極性障害 (187)となっています。カッコ内、日本人10万人におけるDALY値を示します。以上より、メンタル、循環器(血管、心臓、リンパ管)系の健康を保つことがとても大事であると考えられます。

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健康資産を増やすには

 追って具体的な指針、方法は言及いたしますが、健康資産を増やすには、メンタルと循環器(血管、心臓、リンパ管)系の健康は欠かせません。健康維持には「適度な運動」と「健康的な食事」と「しっかりとした睡眠」というとても基礎的なことが健康のために必要であるということが浮き彫りになってきます。
 金銭的な資産を増やすために健康を度外視している方々は、今一度自分の健康資産に対しての価値を再認識してはいかがでしょうか?
 どのように健康を推進するのか、note筆者が具体的に何をしているのか等、今後言及していこうと思いますのでフォローお願いいたします。


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