【ショートストーリー1】仕事はうまくいっているのに、この物足りなさは何なんだろう・前
※この投稿は、キャリアに悩む主人公を描いたショートストーリーです。
仕事の成果は出ている。
待遇も大満足ではないけど、不満を言う程悪くもない。
勝ち負けをいつも気にしている友達からは、「お前は勝ち組だよな」なんて茶化されたりもする。
だけど…。
満たされない。
なんて言ったら感傷に浸るナルシストみたいだけど、このモヤモヤした気持ちはなんなのだろう。
自分の人生、どこに向かっていくんだろうか。
イキイキしていた新人時代
第1志望の会社じゃなかったけれど、一緒に高め合っていけそうな同期と、やさしそうな先輩と、そして何より社会に貢献していることを実感できそうな仕事があった。
研修は眠かったけれど、「これが働くということなんだな」と実感できる話が数多くあった。
社会に活かされている学生時代から、社会をまわす一員になれる高揚感が、「社会人」という響きにはあった。
自分はこの場所から、社会で必要とされる人間になっていくんだ。
そんな想いを持ってスタートした、社会人生活。
結果が数字で見える仕事だったから、同期の動向はすぐにわかった。
「別に、結果を出す速さを競ってるわけじゃないから」と心のなかでうそぶきながら、でも早々に結果を出していく同期に焦ったりもした。
大きな失敗をして落ち込んでオフィスに帰ったら、先輩が察して飲みに誘ってくれた。その日は終電まで励まされた。先輩が若かった頃の武勇伝は余計だったけど。笑
徐々に成果が出るようになってくると、充実感が付いてきた。
それは自分が一人前に近づいているような感覚があったからかもしれないし、人に貢献できていることを実感する機会が増えてきたからかもしれない。
いずれにしても、僕が最もイキイキしていた時代であることは間違いない。
明日の仕事が楽しみだったし、「もっとこんなこともできるんじゃないか」なんて偉そうな提案を先輩に提案したりもした。
仕事って楽しいなぁ。
社会人って楽しいなぁ。
そんな、キラキラしたような毎日だった。
かわり映えのしない日々
入社して3年も経つと、ぽつぽつ転職する同期が増え始めた。
相談に乗っていた奴もいたし、気づいたらいなくなっていた奴もいた。
自分はと言えば、転職するほどの不満はない。
だけど、入社した当時の高揚感を持ち続けられているかといえば、そうではない。
コロナで全体的な業績が悪くなったからか。
そのせいで先輩の顔が険しくなったからか。
昔のように成果が上げられなくなったからか。
こんなこと言うと誤解されるかもしれないけれど、仕事に飽きてきているところは、正直ある。
最初は見るものやるものすべてが新鮮で、できないことができるようになっていく嬉しさがあった。
だけど、2年経って3年経って、社会人というのは同じことを毎月、毎年繰り返しているということを知った。
なにを、どんな風に進めればお客さんに喜んでもらえるかを、もう自分は知っている。
それをただ回しているわけではないけど、最初のように夜家に帰ってからも「どうしたらもっと喜んでもらえるかな」と考えることは減った。
というより、なくなった。
SNSを見ると、色々な情報が入ってくる。
結婚した学生時代の友達の、幸せそうな式の写真。
転職した同期が広報になって、なんかカッコいい感じのインタビューを受けている記事。
「誰でも稼げるようになります!」という胡散臭い広告。
別に羨ましいわけじゃない。
今の自分に満足もしている。
だけど、この代り映えのしない日々があと40年も続いていくと考えるとゾッとする。このままの生活を続けていった先に何が残るんだろう。
そんなことを、考えてしまう。
ぼくは、、、贅沢なんだろうか?
お世話になった先輩
2年後。
27歳になった今も、仕事は変わらず続けている。
仕事の頑張りが認められてメンバー3人の面倒を見るポジションについていたが、モヤモヤした気持ちは相変わらずだった。
そんなかわり映えのない日々を過ごしていた3月のある日。
僕は東京駅の近くにあるホテルのラウンジにいた。
急な呼び出しにも関わらず、先輩は快諾してくれた。
大学時代所属していたサークルの先輩。
会社員を5年ほど経験したあと独立して、今は海外で仕事をしているらしい。
就職活動のときや、社会人1年目の頃によくお世話になった人だ。
先輩はラウンジの一角に座る僕を見つけると、笑顔で駆け寄ってきた。
高そうなスーツがかっこいい。
「久しぶり!元気にしてた?あっ、僕はホットコーヒーで。」
先輩は注文を取りに来た店員に会釈すると、同じ笑顔で僕にも向き合った。
「急に連絡が来て驚いたよ。でも嬉しかった。元気にしてる?」
先輩には3日前にFacebookから連絡した。
住んでいる海外から、仕事のために一時帰国をするという投稿を見たのが一週間前。その記事を見た直後、気づいたら僕は先輩宛のメッセンジャーを開いていた。
「今もあの会社で働いてるんだね。順調?」
運ばれたコーヒーを飲みながら、笑顔のままの先輩が聞く。
「はい、毎日楽しくやってます!」
なんでだろう。本当はこのモヤモヤした気持ちを相談したかったのに、充実していそうな先輩の姿を見ると、なぜだか本音が出せなくなった。
そこから、仕事で賞をとった話や、同期のなかで3番目にリーダーポジションを任せられた話をした。
自分の日々は充実している。
そんな風に、先輩に見てほしかったのかもしれない。
「順調そうだね、よかった・・・。」
先輩は先ほどの笑顔とは違う微笑みを浮かべ、僕に向き直った。
「でもさ、正直に言っていい?なんか、変わったね。」
声のトーンは、低かった。
ギクッとした気持ちを悟られたくはなかった。そして同時に、少しの反発心も芽生えた。
「えっ、どういうことですか?」
少し怒ったような言い方になってしまったかもしれない。だけど、失礼なことを言ってきたのは先輩だ。
「あぁ、気を悪くしたらごめんね。だけど、あの社会人1年目の姿を見ていたから、ずいぶん変わったなぁと思って。」
謝りながら、それでも先輩が引く様子はなかった。
「どんな風に、変わったんですか?」
先輩の目を見て言った。怒りも混じっていたかもしれない。でも、先輩にどう見えているのかを知りたくもあった。
「自分が一番分かってるんじゃない?22歳の、社会人になったばかりの自分に誇れる生き方をしていきたいって言ってたよね?あの頃の自分が見たら、どう感じるかな?」
(後編に続きます)
↓後編はこちらから!
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