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【旅】インドでトイレどこ?と訊いて予想外の答えに驚愕した件

ここnoteでも旅する記録を書いておられる方は多い。

バックパッカーは、旅のトラブルを競い合い、あげくトラベルはトラブルあってだぜ、なんて言ってしまう。

かくいう私がそれだ。

16でイギリスに留学した。
帰国後イギリスの友人に会いに行くためにお金を貯めて18(高校卒業した春)でタイ航空を利用して再渡英。

その時、トランジットで踏み入れたタイが、私のバックパッカーデビューとも言える。

大学時代もお金を貯めては時にバンコクや香港の友人宅を転々とし、時に安宿で隣の部屋から漏れてくるセクシーな声を物ともせず(気付けばそういう宿だった件)、眠りこける。

大学の卒業旅行はインドとネパールの一人旅。
バックパッカーの言葉でいうなら「沈没」か?

3ヶ月の旅行だった。

ネパールが平安の都なら、インドは戦場だ。

毎日が騙されないようにという緊張で、気が休まることがない。

インドの一番の謎は、Everything is possibleという安請け合いが好きなインド人をそれでもなぜか嫌いになれないことだ。

絶対に騙されていると確信しつつ、騙されてやろうじゃないかと挑戦してしまうのはなぜだ。

何のための挑戦の数々だったかは、20年経ってもわからない。

ネパールからインドへは、陸路で(確か)十何時間かけてバスで行った。途中乗り換えがあったが、バスがインドの会社のバスになると、適当感が増す。

張り切って一番前の席にすわった私の旅は、運転手の、パンと呼ばれる噛みタバコで真っ赤に染まった口を見ながらの長旅となった。

ドライブインにて休憩が何度かある。

ドライブインと言っても、小さい食堂がポツリと一つ。
食べたい人は時間内に済ませろとガサツに言われる。
この国ではお客様は人間だ。神様ではない。

その後も何度か休憩があり、私は外に出た。
さっきまでのドライブインのようなところを想像して外に出たがそこには何もない。

木が数本のだだっ広い野原だ。
サバンナ感さえ醸しでている。
少し向こうに壁らしきものがある。
きっとあれがトイレだろう。

けれど壁まで行くとそれは壁でしかなかった。

焦った私はバスまでもどる。

噛みタバコで真っ赤な口にサングラスをかけて、ここのサバンナ感にあわせたかの如く探検家みたいなベージュ服を着ているドライバーに、それでトイレはどこかと尋ねる。

歯も舌ベロも真っ赤なドライバーのその口は迷いもなく、

「Everywhere」

と言い放った。

思わず、小突きたくなる。

つまり、どこでも、ということだ。
Everywhereって。
どこでもトイレって。
どこでもドアじゃないんだから。

耳を疑ったが、ドライバーは真顔だ。
そうだった、ここはインドだ。

この時、「郷に入りては郷に従え」という言葉が頭をよぎる。

我慢したところで、またEverywhereの可能性大だ。

かくして、当時若干22歳のうら若き乙女はまさかの青空トイレを経験することになった。

Everything is possible.

本当にその通りだ。


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