見出し画像

Libya Updates #24: September 2020 Week 3

こんにちは🕊
リビアをめぐる1週間の動きをまとめました。

画像10

リビアのこれまで
40年以上続いたカダフィによる独裁体制が2011年に崩壊。新たな政府樹立を巡り、衝突が続いてきた。
現在は首都トリポリを拠点とし、国連の仲介で2016年に樹立した国民合意政府 (GNA)と、東部の都市トブルクを拠点とする政府 (HoR) が分裂している構図だ。
HoRが支持するハフタル将軍率いる勢力が2019年4月、トリポリへの侵攻を開始した。GNA側の民兵組織らが応戦し、武力衝突に発展。GNAにはトルコ、ハフタル勢力にはUAEやロシアなどがつき軍事支援などを行ってきた。
6月はじめにGNA勢力がトリポリを奪還し、ハフタル勢力は同地域より撤退。停戦へ向けた協議が進んでいるものの、現地での戦闘が続いてきた。

☞リビアについて、背景はこちらから
☞先週のアップデートはこちらから


画像1


1. 国内の動き

画像6

ベンガジなど東部の複数の都市で10日から、生活状況の悪化や政治の腐敗を訴える市民の抗議運動が拡大している。

映像では少なくとも数十人から百人の規模で市民らが集まり、抗議を行なっている様子が分かる。

ハフタル勢力は今年1月、油田につながる港を封鎖しており、西部を中心に停電が頻発していた。だが8月に入ってから東部でも同様の状態が起きている。


同勢力への支持の強いアルマルジュ地域でも、初の抗議運動が起きたという。
だが、運動を弾圧する動きもある。リビアの犯罪や人権侵害などをウォッチする団体によると、同地域では12日までに活動家30名が逮捕されている。
地元メディアはハフタル勢力側の民兵組織が参加者に対して発砲し、1名が死亡、1名が負傷したことも報じている。実際の負傷者の数はさらに多くなると伝える報道もある。


ベンガジはHoR政府の支配下で、ハフタル勢力の拠点。市民への監視のほか、恣意的な逮捕などが行われていると考えられている。

トリポリでも8月末、政府の腐敗のほか、停電や断水など生活水準の悪化を訴えるデモが起きている。


画像8

抗議運動の拡大を受け、ハフタル勢力を支援するHoR政府は13日、政府を解散することを宣言した。政府が開いた市民の要求を議論するための緊急会議で、アブデュル・アッサーニー首相が申し出た。

HoR政府は国際社会に承認されていない。


同じに日にはハフタルがリビアの主要な油田の封鎖を解くことに合意したと在リビア米国大使館が発表した。

だが、実現の見通しは不明だという。


画像5

さらにGNA政府のシラージュ首相は16日、10月末までに辞任する意を表明した。

首相は今後もGNAがリビアを一つにする動きを続け、議会と大統領の選挙へ向けた準備を進めるとの見込みを示した。

画像4

GNA政府は8月末に停戦を宣言しており、HoRもこれに合意している。両政府の動きは和平交渉の行く末をいっそう不透明なものにする可能性がありそうだ。

フランスの国際ニュース専門に扱うメディアFRANCE24は、両勢力の仲介をしてきた国連にとって不安材料となることを指摘している。


一方、モロッコの首都ラバトでは9日からGNA政府とHoR政府の間で会談が再開しており、和平へ向けた道が模索されている。

両政府の代表者が6日、ラバトに会していたことをアラビア語メディアなどが報じた。だがリビア側からは事実を認める声は上がっていなかった。


2. 国際社会の動き

画像7

トルコとロシアの政府関係者は今週、トルコのアンカラでリビアとシリアの状況に関する協議を行う予定だ。トルコの外務省が14日、発表した。


国連は7月8日から9月2日の約2ヶ月の間に、ロシアがハフタル勢力側へ70機の軍用貨物機を送っていたことを明らかにしている。


3. 新型コロナウイルス 

画像9

リビアでは17日(現地時間)時点で、累計24,934名の感染者が確認されいている。1週間の新規感染者数は4,474名。前週の感染者数を下回るのは3週間ぶりだが、依然として1日に平均約640名の新規感染者が確認されている計算。
累計死者数は394名で、1週間で70名の増加


感染者数は5月まで数十人規模で推移してきた。爆発的な感染拡大が始まったのは6月で、1週間の新規感染者数が前の週を大きく上回る状態が続いてきた。

画像3

リビアの人口は665万人ほど。
情勢不安の続いてきたリビアでは、パンデミック以前より医療保険制度自体が弱い状態が続いてきた。感染者に対応するための病床や医療器具なども不十分だ。
4月から5月にかけては医療施設への攻撃も多発。6月以降は市民らが地雷の爆発に巻き込まれる事態が相次いでいる。


画像2


リビアの4月からの新型コロナの感染拡大状況のほか、背景を整理しました。
リビアの難民・移民について、一緒に考えてみませんか。


お金がないことによって、機会を奪われることのない社会へ。大切にしている考えです。そのため、コンテンツは原則無料で公開しています。一方、もう少し資金があれば足を運べる場所、お伝えできることもあると考えています。お気持ちをいただけましたら、とても嬉しいです🙇🏻‍♀️