Liang老师

自称在野の中国研究家。 冷戦史、中国の対外援助、中国とアフリカといったテーマに興味あり…

Liang老师

自称在野の中国研究家。 冷戦史、中国の対外援助、中国とアフリカといったテーマに興味あります。 旧ブログもあり、順次そこから修正と加筆した記事も転載します。 https://syuturumu.hatenablog.com/

最近の記事

中国共産党がひそかに恐れている物②ーインフレと物価コントロール

 中国共産党の経済政策がインフレ対策になっているのではないか?というのを①で書きました。今回は中国共産党にとってのインフレに迫ってみたいと思います。 中国共産党が誇る成果ーインフレ対策  中国共産党が自ら誇っている物として抗日戦争の勝利や新中国建国、第三世界における反植民地闘争の中心、中華民族の偉大なる復興、社会主義現代化建設、のようなキーワードが浮かぶと思います。実はその中に物価の安定もあるのです。 中国語で毛沢東時代、中国物価というキーワードで検索をかけると、毛沢東の

    • 中国共産党がひそかに恐れている物①

       「中国共産党には密に恐れている物がある」これを聞いたとき、ニュースを見ている方でしたら、西側の思想流入や民主化運動といったキーワードが浮かぶと思います。ですが、今回はそういう話ではありません。少し違った角度から習近平が何を恐れているか?考察したいと思います。 不可解な中国の経済政策  コロナ禍から世界は如何に経済を立て直すか?世界中が取り組んでいますが、習近平の中国はその世界の潮流から逆行しています。そもそも、コロナ対策の頃から中国は世界のトレンドから逆行していました。大

      • 新疆ウイグルの漢人はどういう人達か?

         2018年の7月18日から22日まで新疆ウイグル自治区に行ってました。昨今色々と話題な場所ですが、本場のウイグル料理に舌鼓を打ったり、独特な歴史を歩んだスポットを巡ったり有意義な旅でした。今回の記事はそこで感じた違和感からマスコミで報じない新疆のある側面を探ってみたいと思います。   ウルムチで感じた違和感  ウルムチ市内を歩いていてある違和感を感じました。なんとなく「聞こえてくる漢語が統一されていない」と感じたのです。「少数民族の自治区なんだから当然だ。」と思うかもしれ

        • 中国とロシア 蜜月?相互不信?

          中露関係を整理整頓する  ウクライナ戦争以後、中国とロシアの関係がより強固になっているように見えます。中国とロシアの関係もまた国際情勢を左右する重要なニュースです。この両国は日本とも領土問題を抱えています。確かに両国は、反米と反介入主義という一致した行動指針で中ロ関係は2010年代から一貫して蜜月に見えます。しかし、両国関係の推移をみると複雑な様子も見えます。中国とロシアの関係を大まかに分けると以下のようになります。 ① 友好と同盟の1950年代 ② 相互不信、 不和、 イ

        中国共産党がひそかに恐れている物②ーインフレと物価コントロール

          中国・キューバの軍事関係概論

           アメリカの裏庭、キューバに中国が軍事基地や諜報拠点を設立している疑惑がニュースを騒がしています。本稿ではキューバでの中国企業による投資などの情報を纏めて、軍事協定の可能性に肉薄したいと思います。 中国とキューバは1995年から2000年代にかけてあらゆる、貿易に関する協定を結びます。中国はキューバに対して、家電などの電化製品や船舶、半導体やバイオテクノロジーなどのハイテク製品、鋼材、紡績品、車およびそのパーツなどを輸出しています。2016年9月24日、当時の李克強首相が

          中国・キューバの軍事関係概論

          外交問題と国内問題の連動 ウイグル族亡命を問題視していなかった中国

           日中関係の悪化によって、中国は中国国内で福島原発を政治問題化して利用しています。対外関係の悪化によって中国国内で政治問題化させることは過去にもありました。今回の記事では中ソ関係の悪化とウイグル情勢の連動について取り上げます。 ※11分あたりから話は始まります。  中国とソ連の国境、現在の新疆ウイグル自治区の地域では国境管理がそこまでシビアではなく、現地の人々が普通に行き来していたみたいです。伝統的な新疆ウイグルの遊牧民は現在のような国境概念や特定国家への帰属意識がかなり

          外交問題と国内問題の連動 ウイグル族亡命を問題視していなかった中国

          中国VSソ連 グローバルサウス争奪戦

          「中国と第三世界」を学んでいると、その過程で色々な歴史を勉強する事になります。中国が第三世界へのアプローチを強化したきっかけとして「中国とソ連の関係悪化」があります。よってソ連に関する論文なども見る事もあります。ここでは、「ソ連の第三世界戦略」に関する研究論文を翻訳編集してみたいと思います。 ソ連の第三世界戦略は圧倒的不利な状況から始まった  ソ連とアメリカは冷戦期に世界覇権を争っていたと言われていますが、その一最初はとてもお粗末なモノでした。ソ連が1955年から195

          中国VSソ連 グローバルサウス争奪戦

          ノリンコについて。

           いきなりですが「ノリンコ」って聞いた事ありますか?この「ノリンコ」ある界隈では非常に有名な企業です。このノリンコはNorincoと表記します。 North Industries Corporationの頭文字をつなげた名前です。 漢字名は中国北方工業有限公司と書きます。この企業、漢字の字面だけでは分かりにくいですが、中国最大の軍事企業です。中国の軍事力の膨張と同時に中国の軍需産業も成長し、民間の企業も参入しています。 中国十大軍事企業 中国のネットで検索しますと、中

          ノリンコについて。

          中国外交の作られ方③天朝・インターナショナリズム・リアリズム

           「中国外交は米ソ問題に対応するために発展してきました。そこに中国伝統の天朝概念や、共産党のシステムが加わり色々と問題を起こします。ベトナムとラオスを一つの国と誤解していたのはその典型例。」という話をしてきました。  今回は戦後の中国外交が天朝概念をベースにしながら米ソ問題に対応した例として中国と北朝鮮の関係を見たいと思います。戦後中朝関係の変遷は、天朝とインターナショナリズムとリアリズムが中国でどのように交叉し、生 成されたかを見る適切なケースと言えます。 https:

          中国外交の作られ方③天朝・インターナショナリズム・リアリズム

          中国外交の作られ方②ーベトナムとラオスの違いが分からなかった中国

           この記事で、戦後の中国外交外交が米ソ二大覇権国に対応するために、国際関係学が形成されそれが中国伝統の天朝概念と合わさり、周辺の中小国の存在を軽んじる要因となった事を書きました。今回はより具体的に、なぜ中国はベトナムとラオスを一つの国として勘違いしていたか?迫りたいと思います。 VTR17分あたりからその内容が語られます。  中国内戦が終結し、中国共産党が政権を奪取した事によって、いままで外交を担っていた中華民国の外交官が政権から追放されます。それによって、共産党の党員

          中国外交の作られ方②ーベトナムとラオスの違いが分からなかった中国

          中国外交の作られ方

           2020年10月11日に中国清華大学で「中国辺境地帯とアジア研究」に関するフォーラムが開かれ、そのVTRがYou Tubeにありました。  この中で章百家先生が現代中国外交の成り立ちに関する面白い発言がありました。引用して紹介したいと思います。    戦後、中国の国際関係学はその国家体制からアメリカとソ連に対抗するため大国間関係の処理という国家の政策目的のために始まりました。なので、中国と国境を接するような中小国に関してはほぼ何も研究されていなかったと言います。さらに、中

          中国外交の作られ方

          冷戦史のすゝめ

           2010年代末からアメリカと中国の関係悪化で「新冷戦」という言葉がよく見られるようになりました。こうした情勢をうけて「新冷戦と旧冷戦の違いは?」「冷戦とは何か?」といった議論が盛んです。  さらにロシアのシリア介入やウクライナ戦争によって、ソ連時代の歴史に関しても書籍が出版されたりしています。今こそ冷戦史を学ぶべきタイミングだと言えます。 https://www.youtube.com/watch?v=15oobta0_q0&list=PLmC2JPtXiAJ-DL3-U

          冷戦史のすゝめ