冷戦史のすゝめ

 2010年代末からアメリカと中国の関係悪化で「新冷戦」という言葉がよく見られるようになりました。こうした情勢をうけて「新冷戦と旧冷戦の違いは?」「冷戦とは何か?」といった議論が盛んです。
 さらにロシアのシリア介入やウクライナ戦争によって、ソ連時代の歴史に関しても書籍が出版されたりしています。今こそ冷戦史を学ぶべきタイミングだと言えます。

https://www.youtube.com/watch?v=15oobta0_q0&list=PLmC2JPtXiAJ-DL3-UU897ZMuNcIVzosbT

歴史としての冷戦

ソ連が解体され、各国で公文書の機密解除が進み、あの時代について細かい事もわかるようになってきました。
 中国の冷戦史の大家、沈志華先生は冷戦史についてVTR中で以下のように言っています。
国家の政府間の外交政策を主に扱った外交史から発展し、国家や民族関係に広がった国際関係史が大元にある。そこから冷戦終結後に出現した新たなる概念として新冷戦史国際冷戦史といったものが出現した」と説明します。そこに加え、第二次世界大戦後の世界において「一つの国家内部の出来事と国際関係の問題を単純に切り離せない」と言います。
 VTRの中では「朝鮮戦争が中国国内に及ぼした影響」について、国際関係を専門にしている人では観察の範囲に入りきらない事が指摘されています。   朝鮮戦争では、中国も義勇兵として参戦しましたがどのように兵隊が集められたか?自ら志願したのか?騙されて連れていかれたのか?強制的に連れていかれたのか?そのうち何名逃亡したのか?冷戦史研究で中国国内の県級以下の公文書から村々の様子を詳らかにした事を話しています。
 そして「朝鮮戦争の捕虜」について、中国人捕虜を追跡するためにアメリカの公文書を読み解き中国全土をフィールドワーク台湾にも赴いた研究のエピソードも披露されています。
 これらを聞いたときに第一印象として「現代中国史」なのか「米中関係と朝鮮戦争」なのか?よく解からないと思います。これこそが「冷戦史」という領域なのです。


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