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コーヒー時間だから花の精の話でもしようかな?

コーヒー以外の飲み物を知らないみたいに毎日、飲み続けています。
朝食時、10時、昼食時、15時、夕食時、入浴後、就寝前、ざっと数えても1日7回。

とは言え、毎回ブルマンは贅沢なのでドリップコーヒーバッグやインスタントも兼ねています。
ちなみにコーヒー表記よりも珈琲が好き。
あっこれは以前言ったかも?

珈琲が好きでも一度も入ったことのないお店、それはオープンカフェ。
なんだか1人で場違いのようで、気恥ずかしくって落ち着かないだろうなと思うと躊躇してしまう。
でもオープンテラスで珈琲を飲んでみたい。
     *******

その日、朝早くから駒沢公園でジョギングしていたんだ。
私を追い抜いていくスポーツサングラスの青年がいた。
Tシャツの身体は薄っぺらそうなのにハーフパンツから覗く脚筋はスポーツマンそのもの。
その脚筋に目を奪われて付いて行くんだけど、オーバーペースになってダウン。

しばらく歩いていると、その彼が追い付いて来て言ったんだ。
「あと1周走り終わったら一緒に珈琲でも飲みませんか?」
「えっ?」

私の返事を待つでもなく彼はそのまま走り抜けていった。
「なに、空耳?」

2kmちょっとのコースを走り終えて、辺りを見回す。
あの彼がいるはずないよねってランステに向かった。

着替え終わって出て来た時、彼らしき人が片隅に立っているのが見えた。
あの帽子とあのサングラスとあの脚筋はたぶんあの彼だと思う。
空耳が聞こえたことが恥ずかしくて反対側を歩き始めたんだ。

すると背後から「すいません」の声。
おもむろに振り返るとあの彼が自転車から下りて言った。

「珈琲を一緒に飲みませんか?」
「え、私とですか?」
「はい。近くにオープンカフェがあるんですけど」
「オープンカフェですか?行きたい、行きたいです」

念願叶ってオープンテラスで珈琲が飲めるかと思ったら二つ返事していた。
よく見ると彼は180㎝ぐらいあろう長身で、上腕二頭筋も発達していて、サングラスで目はわからないけど鼻筋が通っていて、髪はサラサラで、体毛が薄い。
まるで私の好きなタイプ。

こんな素敵な青年がなぜ私と珈琲を?
キャッチセールスかしら?

「僕、週5で走っているんですよ。ここに来る前に自転車であなたの家の前を通るんです。いつも玄関前の花に水やりしてますよね?」
並んで歩き出した途端、彼は早口で言った。

「え?あ、はい」
「いつも楽しそうに水やりしてるなと思って。僕が走り終わって帰る頃、あなたがここにやって来るんですよ」
「あ、そうだったんですか。どれぐらい走っているんですか?」
「5周です。約10kmです。今日はあなたが朝早くから走ってらしたので思い切って声を掛けました」

しばらく歩くとオープンカフェに着き、ひとつだけ空いていたテーブルに対角に座りました。

「ありがとうございます。念願が叶いました」
私は珈琲を一口すすって笑った。

「それは良かった。いつもあなたが一生懸命、花に水やりをやっているからですよ。僕もこのコップの水をあげて来ます」
彼はそう言って立ち上がり、道路脇の生茂るアジサイのもとへ歩いて行った。
そしてそのまま戻って来なかった。
「…あれは花の精?」
      *******

ああ夢を見てました。
昨日、散歩の途中アジサイを見たからかな?
さて食後の珈琲をいただきます。



#私のコーヒー時間

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