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【定年まで県職員でいたいのは全体の○%】民間企業経験者が県庁を辞める理由

今日、仕事で地元の地銀に伺いました。
すると、どこかで見かけた顔が。

「今月から、こちらでお世話になってるんです」
名刺を差し出してくれた方は、
先月までぼくの同業者でした。

その方は、
メディア関係の企業に勤務された後、
県庁に中途で採用されました。

時期は異なりますが、
ぼくと同じインバウンドの担当を務め、
その傍ら、
中小企業診断士の資格を取得。

診断士協会の会合でお会いし、
その経歴から、
その後も個人的に
動向が気になっていた方でした。

「また一人、県は優秀な人材を失った」
そんな思いを抱きながら、
帰路につきました。

かつて、
専門商社から県庁に入り、
ぼくと同時に
インバウンドを担当していた
先輩がいました。

商社時代の破天荒なエピソードに
驚かされ、笑わされながらも、
営業の何たるかを
背中で教えてくれた先輩。

「オレ、次は
県産品の海外販路の開拓とか
興味あるんだよなー」

そう言っていた次の年の春。
先輩は、人事異動で
介護サービス事業者を指導する
立場になりました。

異動発表を見て、
ぼくも愕然としたことを
覚えています。

その年の初冬、
先輩からお誘いいただき、
杯を傾けていると
「オレ、辞めることにしたわ」

家族を持つ身であっても、
自分のやりたいことを貫きたい。

そういった思いを
先輩の言葉から感じながら、
ぼくは悔しくてたまりませんでした。

「定年まで、県職員として働きたいと思いますか?」
ある県が実施した
職員へのアンケートでは、
職員の 77%が「そう思う」「どちらかといえばそう思う」
と回答しており、
23%が「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」
と回答しています。

【定年まで働きたいと思わない理由】
を抜粋すると、

  • 定年を待たずに自分のやりたいことを見つけたいから

  • 将来は前職や県での勤務経験を生かして地域活動等に取り組みたいと考えているため、定年にこだわって勤務したいとは考えていない

といった前向きともとれる理由がある一方で、

  • 入庁以来、ほぼほぼ過労死ラインを超える超勤を行っている。あと数年のうちに、身体か精神のどちらかを壊すと思う

  • 県職員は子育てや介護と両立できるイメージがわかないので、続けられるか不安

  • ワーク・ライフ・バランスが実現できていない職場で、定年まで働こうとは思えない

というような理由もありました。

ぼくが注目したのは、
次の理由です。

  • 希望ややりがいをもって働ける職場かと言えばそうではないと思うところもあるため

  • 多くの職員に精神的余裕がないように見受けられ、業務の質も低下していると感じている。全庁的な傾向であり今後さらに悪化するのではないかと思っており、定年までこの職場で働き続けるというイメージも気力も湧かない

アンケートでは、
職員の働きやすい職場づくりに向けた
意見も募集していました。

その中では、

  • 職員全員が人口減少により地方消滅の危機感を持ち、目標・目的・最優先事項の明確化スクラップアンドビルドの精神、チャレンジ精神上司の理解等の精神を持つように組織改革をしてほしい

  • 働き方改革を行う上で、大切なことは、今までの前例や常識を一切無視するところから始めるべきだと感じている

  • 基本的に県の組織は守りの組織であり、外部からの批判を避ける傾向を強く感じる。正しい発想と、妥当な道筋に対しては、外部と衝突してでも推進する強さを、組織として示してくれると、職員は働きやすいと思う

このような意見がありました。

せっかく、
いろんなバックグラウンドを持つ人材を採用しても、
今の人事配置では、
その多様性を活かせていない。

ぼくは、役所には、
2種類の仕事があると思っています。

1つは、
許認可や補助金など、
従来からの行政の基本作用である
「規制と助成」に関する仕事。

もう1つは、
多くのステークホルダーと
お互いに関係を築きながら
課題の解決に取り組む
「協働・共創」に関する仕事。

前者は、
ルールを間違えずに適用することが重要で、
同じ人間を配置し続けるデメリットが
生じる可能性があるもの。

後者は、
クリエイティビティが重要で、
同じ人間を配置し続けるメリットが
大きいと思われるもの。

観光のような
後者の仕事を希望する者には、
その経験や情熱が活かせるような配置を
ぜひともお願いしたいと思います。

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