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Fラン大は必要か?(前編)~なぜFラン大生は勉強ができないのか~

現任校はいわゆるFラン大です。現任校に着任するまでは、Fラン大に通ったことも勤務したこともなく、Fラン大は私にとって遠い存在でした。
ですので、昔はFラン大に関する議論(Fラン大は不要とか、Fラン大に税金つぎ込むなとか、他いろいろ)を聞いても、そもそもFラン大の実態を知らないため、自分なりの考えを持つこともありませんでした。
そんな私ですが、今年度より晴れて(?)Fラン大で教員を務めることとなり、Fラン大学生と接して、彼らについていろいろ考えることがありました。
巷ではFラン大について多々話題に挙がっていますので、私なりのFラン大についての考えを記事にしてみようと思います。

Fラン大生の実態


Fラン大生といっても、全国のFラン大すべてを見てきたわけではないので、本学の学生を観察した私の考えであることをはじめにお断りしておきます。
n=1で偏った意見かもしれませんが、ご了承ください。

本学の入試はもはや学力のスクリーニングとして機能していませんので(お察しください)、そのようなザル入試で入学してきた学生たちの学力は驚くほど低いレベルです。
一応、理系の学科ですが、ほぼ全員が中学数学ができません。
小学生の算数も怪しいレベルです。
では、数学(算数)以外はどうかというと、まぁ、同様です。
つまり、全然勉強できません。

Fラン大生がお勉強ができないと言うことは世間的にもよく認知されていますが、ここからが本題、では、なぜ彼らはお勉強ができないのでしょうか?


なぜFラン大生は勉強ができないのか?


一番の理由は、やはり、元々、勉強が得意でないことです。
理解力が低い、記憶力が低いといった能力的なものです。

で、そこに、小学校・中学校で十分に学べなかったという要因が加わります。

たとえば、学級崩壊だったり、学校の教員が多忙過ぎたりといった理由で、学校で授業についていけない子どものケアが放置されて、結果、彼らは算数・数学を十分に理解しないまま高校に進学する羽目になります。
小学校・中学校はほぼ留年することはありませんので、学習内容をまったく理解していなくても、合計9年間通えば、自動的に義務教育は終了してしまいます。

元々お勉強ができる子はたとえそんな環境でもそれなりに自分で勉強するので、そこまで悲惨な状況にならないかもしれません。

また、家庭が裕福であれば、学習塾や家庭教師などの力を借りて、彼らの学習を補ってあげたり、学級崩壊と無縁な学校に転校するなど、学習の機会を確保することも可能です。

そういえば、本記事を書きながら思い出したのですが、大学生の頃にバイトで教えていた塾の生徒(当時中学生)が、家庭環境が複雑で、勉強に集中するような心の余裕がありませんでした。
その子は部活が唯一の心の支えで、同じ部活を高校でも続けたいというのが勉強のモチベーションで、家では不安定な気持ちで勉強に集中できず、中学校は学級崩壊で勉強どころではなく、塾では心を少しだけ落ち着けて勉強をできるようでした。
落ち着いた家庭環境というのも、学習に重要ですね。

で、勉強ができないまま、高校受験を迎えると、当然ですが、進学校などには進学できません。
偏差値低めの高校に行かざるをえないわけです。
そのような高校では本気で勉強を教えることもなく(熱心に教えてらっしゃる先生もいるそうですが、少数派)、高校数学どころか、算数や中学数学も理解せずに3年間を過ごしてしまいます。
高校の先生方を責めるつもりはありません。
本当は丁寧に教えてあげたくても、授業以外の業務で忙しすぎですから無理です。

ちなみに、私が通った高校は地元ではそこそこ有名な進学校でしたが、高校1年の4月は中学数学の復習をやっていました。
何事も基礎が大事で、中学数学を完璧に理解していないと、高校数学をスムーズに理解できないとの考えでした。
偏差値低めの高校でこそ、基礎固めを重視すべきではと本当に思います。
とはいえ、我が母校で行われていた丁寧な指導は、先生方が課外授業などで授業時間を確保してくださっていたからできたわけで、今から思えば、先生方の労働環境はブラックそのものでした。
どこの高校でもこのような指導ができるわけではありませんね。

話を戻しますと、そうやって、算数・中学数学を満足に勉強しないまま、高校生活も終盤にさしかかった時、景気が悪くて就職先があまりない、親が大学に行かせたがる、本人もまだ働く気がない、などの理由から大学進学を考えます。
そこで、勉強ができない彼らが選択するのが、ザル入試を展開しているFラン大です。

このように見ていくと、Fラン大生が算数や中学数学を理解できていないことは、単純に彼らが勉強しなかっただけというわけではありません。
私は学習の機会に恵まれなかったという要因が大きいと考えています。
実際、本学では中学数学を授業で教えていますが(他の授業で計算できないと話にならないので)、時間をかけて、何度も勉強させれば、彼らは中学数学を理解できます。
このことは、やはり、彼らは、勉強の能力が低め × 学習機会に恵まれなかった、という結果、勉強ができないということを示していると思います。

最初にも書きましたが、上記の考察はウチの学生全般に関してですので、全国のFラン大生すべてにあてはまるかは分かりませんが、当てはまる学生もそこそこいるのではと推測しています。

世間のFラン大生が勉強ができないことを馬鹿にした発言を目にすると、極端な例えですが、発展途上国などで学校に通えずに育った人を勉強ができないと馬鹿にしているのと同じように思えてきます。

「Fラン大は不要か?」とタイトルをふっておきながら、まだ本題に入っていなくてすみません。
思ったより記事が長くなりましたので、続きは別の記事にします。


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