Leo Tsukada/塚田怜央

アメリカで宇宙物理(重力波)の研究をしています。 経歴 : 東大物工(学士)→東大理物…

Leo Tsukada/塚田怜央

アメリカで宇宙物理(重力波)の研究をしています。 経歴 : 東大物工(学士)→東大理物(修士、博士)→ペンシルベニア州立大学(ポスドク) アメリカでの生活、研究について気になったことを書き綴っていきます。   趣味はサーフィンとベンチプレス

最近の記事

Assistant Research Professor(長い) になりました

どうも、ご無沙汰していました。 今回の記事は半年ほど前に書き上げたかったのですが(毎回言っている気がする)、所属するLIGOコラボレーションが5月末から行う重力波観測に向けて仕事が佳境に入り、なかなか時間が取れないでいました。その観測もついに開始され、仕事がひと段落したこれを機にずっと書きたかった近況報告をしたいと思います。 というのも実は昨年の9月に、ポスドクからAssistant Research Professorへと昇進させてもらい引き続き同じラボで研究を続けています

    • 宇宙飛行士選抜試験を振り返って

      あけましておめでとうございます。(遅い) 今回の記事はもっと早く仕上げたかったのですが、出張や仕事で忙殺されるうちに気づけば年明けになってしまいました。というのも、色々と考えさせられる挫折の経験をしまして、今後の自分のためにこの抽象的な気持ちをちゃんと言語化しておこうと思ったわけです。 掲題の通り、今年JAXAが13年ぶりに行っていた宇宙飛行士選抜試験を受験していました。この試験は全部で「書類選抜、第0次選抜、第1次選抜、第2次選抜、第3次(最終)選抜」で構成され、本記事執

      • アメリカ大学院全不合格体験記(挫折編)・その2

        またご無沙汰していました。アメリカへの帰国からの、ベルギーとイギリスでの学会出張などでバタバタしておりました。やはりベルギーのチョコは美味しいです🍫 さて、前回の「アメリカ大学院全不合格体験記(挫折編)・その1」の続きとして、海を渡ってラボ見学してから実際の出願、合否結果(タイトルから察して)までを綴ります。現実的になることの大切さをもし感じていただけたら幸いです。 アメリカでの研究室見学前回の記事で述べたように、「東大と迷うくらいならハナから出願しない」というかなり攻めた

        • アメリカ大学院全不合格体験記(挫折編)・その1

          大変ご無沙汰しておりました。学会出張、論文執筆、研究以外の勉強などに忙殺されているうちに前回の投稿から半年が経ってしまいました。ただそんな生活も一段落つきつつあるので、これからはもっと頻繁に発信をしていきたいです。 さて、前回と前々回は「なぜ重力波を研究しようと思ったのか。」について、Caltech主催のサマープログラムに参加したところまでを「立志編」と「修行編」の2部に分けて綴りました。今回は少し重々しいタイトルに変えて、僕の挫折した過去を振り返ってみたいと思います。博士

        Assistant Research Professor(長い) になりました

          なぜ重力波を研究しようと思ったのか。(修行編)

          僕が重力波を研究するまでに至った経緯に関する記事の二編目「修行編」です。 前回の立志編では、学部3年時での勉強会がきっかけで重力波に興味を持ち始め、教授からの紹介を通してカルフォルニア工科大(Caltech)のサマープログラムに参加が決まるまでを綴りました。 このプログラムはCaltech SURFと呼ばれ、主に全米から集められた学部生が、重力波の「実験・データ解析・理論」の分野に分かれて、3ヶ月程度のプロジェクトを現地のチューターとともに進めていく実践的な内容です。 毎夏開

          なぜ重力波を研究しようと思ったのか。(修行編)

          なぜ重力波を研究しようと思ったのか。(立志編)

          今回は個人的な回想に近いトピックになりますが、自分が重力波研究を志し、国際コラボレーションに関わるまでに至った経緯を振り返っていきます。 構成はまだ完璧には固めてませんが、「立志編・修行編・挫折編」の3部構成にしようかと考えています。 ただ書くだけでは専門分野が違う人にとって遠い話になってしまうので、全記事通して一般的に通ずるメッセージを伝えるつもりで書いています。 まだ何も成し遂げていない駆け出し研究者ですから、今振り返ってあーだこーだ結果論を述べるよりかは、過去の回想を

          なぜ重力波を研究しようと思ったのか。(立志編)

          大規模コラボレーションで研究してるとよくあること(後編)

          ご無沙汰していました。ロサンゼルスで一ヶ月ほどゆっくり研究生活を送っていました。 今はペンシルベニアに戻り引っ越し作業も済んだので、久々に筆を握ります。
前回は「大規模コラボレーションで研究してるとよくあること(前編)」と銘打ち、 1. 論文内の著者リストと所属先リストが長い。 2. 遠隔会議の数が半端じゃない(と思う) の二つを書き綴りました。 今回はそれに続き以下の二つでこの項を締めたいと思います。 1. 友達を作りやすく、共同研究に繋げやすい。
 前編でも

          大規模コラボレーションで研究してるとよくあること(後編)

          大規模コラボレーションで研究してるとよくあること (前編)

          こんにちは、男子マラソンの大迫傑選手のインタビューを聞いて、自分も頑張ろうと、勝手に感動していた塚田です。 
引っ越しやロサンゼルスへの小旅行で立て込んでいて記事更新が遅れてしまいました。 マンモス研究グループに所属しているとよくあることをつらつら綴りたいと思いますが、記事一つの文章量を抑えたいため、前後編に2つずつ取り上げていきます。 まず今回は以下の2点です。 1. 論文内の著者リストと所属先リストが長い。
最初に思い浮かぶのがこれかなと思います。
 
以前Tw

          大規模コラボレーションで研究してるとよくあること (前編)

          はじめまして

          はじめまして、塚田怜央と言います。 昨年度、東大の理学系研究科物理学専攻で博士号を取り、今春からアメリカのペンシルベニア州立大学 (通称 Penn State)でポスドクとして宇宙物理の研究をしています。 具体的には、『重力波』と呼ばれる時空の歪みが光速で伝わる波動現象を解析することで、ブラックホールなどの高密度な天体の性質を調べる仕事です。 昨年度をもって、果てしなく長かった学生生活を終えたこともあり、しっかり文章で情報発信する機会を設けようと決意しました。 具体的な理由は