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幼少期アニメ問題と店舗型書店が教えてくれたこと(とオタクの一日)
(……ちょっと苦手なんだよね)
という言葉を必死で飲み込んでいたのは、小学校3,4年生頃の僕。超国民的冒険アクション漫画(猿になったり、髪が逆立つやつです)が男子たちの間で大流行していた。週刊誌発行の翌日、アニメ放送の翌日、「ゲームしようぜ!」と誰かが言い放つ放課後、妙な緊張感を覚えていた。
今思えば、趣味嗜好が合わないということは「仕方ないよねぇ〜」以上の何物でもないのだけど、子どもの心というのは狭くって行き場の選択肢が少ないため、友達とちょっと趣味が合わないだけで、孤島に取り残された残兵くらいの孤独に変換されてしまうのだ(さすがに言い過ぎか)
とはいえこの小学生時分の問題は意外と象徴的で、後にも似たような経験を繰り返すこととなる。たとえば(赤髪の不良がボールを網に入れる)(体が伸びる少年が海賊王を目指す)漫画なども実は読んでいなくて、話を合わせるために少し学んだりはしたものの、お付き合いの延長といった感覚を拭えなかった。
ただの天邪鬼、と片付けられてもいいのだが、振り返って弁明させてもらうならそれら超一級作品とは「奇跡的な出会い」がなかったのだ。あまりにありふれており皆が知っていて、「知る」前に「知っている」状態。つまり作品を「見つける」という能動体験ができなかったから、うまく愛着を持てなかったのだろう。
原風景のひとつに実家近くの書店がある。今はもう潰れてネカフェになっているが、その隣にある焼肉屋とファミレスは今も残っている。
その書店は外界へと向かう中継点、まるで「異世界にワープできる魔法のほこら」のようだった。自由意志の問題はさて置いて、あの書店がなければ僕の人生は確実に変わっていただろう。遺伝子決定論のような類を跳ね除ける思い出が、そこに詰まっている。
(余談になるが、最近地元のもう一つの書店が幕を下ろしたことを母に知らされた。「魔法のほこら」がまたひとつ消滅したのだ)
話を戻すと、その「魔法のほこら」書店での邂逅を経由しないと外界にうまく興味を持てなかった少年僕が、そこで衝撃的な出逢いをすることとなる。それが2020年再アニメ化され今も放映されている「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」である。本作については過去に何度か記事も書いている。
アニメは毎話、テレビの前に正座、膝下にティッシュ一箱を置いてのご拝謁状態。この記事で触れた「僕が人生で最も衝撃を受けた場面」も無事に放映されて、もう人生に思い残すことはない(いや、あるか)
連載当時の「ダイの大冒険」は正直、先述した超一級漫画たちよりは人気においてやや劣っていた。あくまでソース俺だし、僕は「ダイ大」推しなので異論は大歓迎。ただあの書店で「ダイ大」の単行本を「見つけた」という体験が、僕に「本当の好き」を教えてくれたのだと思う。
広く流布する超一級コンテンツを批難するつもりはなく、むしろ今となってはもっと深くそういった作品にも触れていれば良かったとすら思う。
しかし過去は変えられないし、何より「ダイ大」に教えてもらった「好き」を敷衍して「好き」を生きている自分が「好き」なので、これで良かったのだろう。周囲に気を遣ってた小学生の自分、とりあえずお疲れさま。
コ口ナ禍も重なり店舗型書店は本当に大変だと思う。当人の死活問題に対して一顧客が大きなことは言えないけれど、もし可能ならぜひ自尊心を失わずに踏ん張ってほしい。店舗型書店は子どもに夢と居場所を与える「魔法のほこら」です。
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さて、ここからは中年オタクの日常。
先日、アバンの書が自宅に届いた。
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中から時計が!?
竜の紋章を天辺に据え、刻を刻む秒針はパプニカのナイフ、歴史を刻む分針はダイの剣!!
裏にはダイのご尊像とロット番号が。
胸熱っ!!!
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テンション爆上げ状態で、ふがふが言いながら時計屋に向かう。
「サイズ合わせて下さい」とお願いすると
「コラボモデルっすね〜、これなかなか届かないんすよね〜」と緩く返され
(瀬尻さんのスケボー実況なの?)と思って笑いそうになる。
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オタクの連帯感みたいなものを楽しみつつ、時計完成のためキンコンカンしてもらってる間だけ、僕は勇者ダイになれた。
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ご支援頂いたお気持ちの分、作品に昇華したいと思います!