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檸檬読書記録 『チョコレートのおみやげ』

「時間がとけていくみたい」

チョコレートが舌の上でゆっくりでとけていく感覚を、まるで時間がとけていくようみたいにと表現した、なんとも素敵な本。

岡田淳『チョコレートのおみやげ』

とても短い、児童書。

内容は、お母さんの妹、みこおばさんと小学生の女子が、港の公園のベンチでチョコレートを食べる。
すると突然、みこおばさんは、お話を始めるのだ。
チョコレートと風船売りと風見鶏の話を。
風船売りの男と、その相棒の鶏。鶏は毎日その日の風の向きと強さを教えてくれる。
風がない日は風船を売り、そのお金でチョコレートを買う。そんな日々。
けれどある日、鶏はちょっとした悪戯心で、嘘の予報を教えてしまう。
その日、男は帰ってこなかった。次の日も次の日も。
はてさて、男のゆくえは、落ち込んだ鶏は…と、もう少し物語は続いていく。


最初、この後の結末は児童書でよくみるような展開になるのかな、と思った。
でも、違った。
最後の最後で、おぉ!なるほど!と、思わず感心したくなる結末になっていた。表現同様に、そして植田真さんのほんわかした絵同様に、素敵で優しさがしみる物語だった。

キーワードは、

「時間がとけていくよう」


岡田淳さんの作品は、昔から好きだった。
特に好きなのが『こそあどの森』(全12巻)シリーズ。

こそあどという森で暮らす個性豊かな住人と、不思議な世界観で繰り広げられるゆるっと優しい物語。

物語自体も然ることながら、絵がいい。作者である岡田さんが書いているのだけれど、シンプルな線の感じが味があって、素敵なのだ。

岡田さんの絵といえば、漫画作品

『プロフェッサーPの研究室』

『ふたたびプロフェッサーPの研究室』

『人類やりなおし装置:世界平和のためには多少の犠牲はやむをえん!』

の3冊!もいい。
絵は勿論、内容もいい。
大分前に読んだからうる覚えだが、結構シュールだった気がする。
教授と助手の2人が出てくるのだけれど、2人のやりとりを楽しみながら読んだ記憶がある。

本人が挿絵をしていない

『雨やどりはすべり台の下で』

『きかせたがりやの魔女』

とかも、良かった。

大人になっても読みたいなと思わさせてくれる作家さんだと思うから、また色々読みたいと思いつつ、今回は閉じようと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは。



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