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檸檬読書記録 『ビブリア古書堂の事件手帳Ⅲ』

今日の本は
三上延『ビブリア古書堂の事件手帖Ⅲ ~扉子と虚ろな夢~』

ビブリア古書堂の事件手帖。
最初は「~栞子さんと奇妙な客人たち~」から始まった。

人見知りながらも、本のことになると水を得た魚のごとく人が代わり、古書の知識もずば抜けた女性・栞子が鎌倉でひっそりと古書店を経営していた。そこではあらゆる本の謎が舞い込み、謎によって青年五浦はビブリア古書堂で働くことになる。
そうして2人で謎に挑んでいく、といった内容。
栞子さんのシリーズは、全7巻出ており、今回の扉子その2人の娘であり、そんな彼女が次第に活躍していく話。

扉子シリーズは3巻まで出ており「~扉子の虚ろな夢~」は最新刊。
1巻では扉子は登場するだけで、栞子シリーズのその後といった話が主。
2巻では、幼い扉子が横溝正史の謎に絡むものの、栞子さんの存在が強く、あまり前には出てこない。
だが!3巻で、ようやく扉子が活躍を見せる。

古書店の跡取り息子が亡くなり、その本を高校生の少年が相続する権利があったのだが、祖父が全てを売り払おうとしてしまう。
それは何故なのか、即売会場でトラブルに見舞われながらも、謎に迫っていく。
といった内容で、主な作家は夢野久作の『ドグラ・マグラ』。有名ながらも難しそうと避けてきたが、取り扱われていると読みたくなってしまう。栞子さんの時もそうだったが、知識量と明瞭な説明力に惹き込まれて、そう思わされてしまう魅力があるのだ。

今回の物語は最終的にはやはりというように栞子さんが前に出てくるのだが、これから扉子がどんどん活躍していきそうな雰囲気で、次が待ち遠しくなる。
その上栞子と五浦の関係のように、扉子にも相棒のような存在も出現し、先の展開にわくわくさせられる。今後が楽しみだ。

ただ個人的には、扉子シリーズは2巻が1番よかった。
主は横溝正史で、内容は彼の存在しないはずの幻の作品が盗まれたと依頼があり、元華族に連なる旧家の邸宅に向かうことに。
その謎は一旦幕を引き終わりをみせるのだが、数年後また事件が…。
探るうちに最初の事件とも繋がってきて、長い時を超えて真実に迫っていく。
といったもの、事件と謎の面白さもさることながら、横溝正史の知識も興味深い。

金田一耕助で有名とは知ってるものの、横溝正史の作品は1冊も読んだことはなく、横溝正史も金田一耕助も深くは知らなかった。
ドラマも見たことはなく、だだ漫画の『金田一少年の事件簿』で、よく「じっちゃんの名にかけて!」と言ってる、じっちゃんのことだよな、としか知識がなかった。
けれどその知識は間違いだったようで、全く関係ないらしい。そもそも金田一耕助には孫はなく、結婚すら、恋人も登場したことがないとか…。
知らなかった…。それならじっちゃんとはいったい?とは思うが、まあ創作物だからなんでもありなのかもしれない。
それだけでなく、横溝正史は江戸川乱歩が引っ張っていかなければ、作家にはならず金田一耕助も生まれなかったとあって、なんと素敵なエピソードなんだろうと思ってしまった。
こういう知らない知識やエピソードが豊富だから、ビブリア古書堂シリーズは本好きにとって最高な作品だと思う。
なかなか次が出ないのはもどかしいが、その分出た時の嬉しさはひとしおだ。

これからどうなるのだろうか、扉子の活躍はいかに!そして次の作家は誰になるのだろうかとわくわくしながら、今回は閉じようと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
ではでは。



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