INLE -フ・インレ
月を眺めて
胸が痛いよ
雨で流した筈の
胸の中の欠片が疼くんだよ
月を魔法瓶に封じこめて
ずっと
暖めながら
傍に置いておきたかったのだけど
魔法瓶は破れてしまって
その中の月も砕けてしまった
でも
その魔法瓶が捨てられないんだよ
砕けた月でも逃したくないんだよ
宵闇の
明かりが残る空に月を見つけたとき
昼と夜の曖昧さにさみしさを覚える
きっとそれは
ずっと治らない傷なんだ
月を眺めて
胸が痛いよ
取り除けない小石は
冷たいままだよ
そして
雨さえも降らなくなってしまったんだよ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?