掌編小説071(お題:付箋が足りない)
想いが日々募るばかりなので、あるとき、ミルクのように甘やかな白の便箋に克明に残る黒のインクで僕はきみの愛しいところを書きつけた。無垢の上に隙間なくしたたる生真面目な愛を気恥ずかしくも感じながら、それを町のポストへ投函する。
スコンと呑みこまれていった手紙の感触が消えぬうちに、鳥たちがさえずる朝、きみから一通の手紙が届く。
さっきの手紙のご用事、なあに?
生真面目な愛が溶けたミルクはどんな味がするのだろう。僕はきみの舌先にまだ残るその味を想像しながら、先のそれと寸分違わぬ