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【メディア解剖連載 Vol.1】ASCII.jp編集長 大谷イビサさん(後編)

このたび、企業の広報部門立ち上げコンサルティングを行うリープフロッグ松田純子PRコンサルタント高橋ちさ、ライターとして参加してくださる企業広報の3名(橋尾日登美さん、前田弥生さん、堤はるなさん)が共同で、【メディア解剖連載】をスタートします! 

栄えある第1回は、

ASCII.jpのBtoB分野「TECH」と「Team Leaders」の編集長 大谷イビサさん


TECH.ASCII.jp編集長 大谷 イビサさん


にお話を伺います!  

本連載の主旨やメディア紹介、大谷さんのプロフィール、インタビューの

(前編)はコチラから


以下より後編をどうぞ!

■編集部の体制


Q:現在の編集部の体制について教えて下さい。

 
ASCII.jp全体では30~40人ですね。最近はテレワークが主流なので顔を合わせる機会があまりありませんが(笑)。そのうちBtoBを担当している編集者は私と大塚の2名です。あと、複数のライターさんにお手伝いいただきながらやっています。
 
体制的にはライン生産型ではなく、セル生産型のイメージですね。私が担当した記事は取材も執筆も私自身が手掛けます。だから生産量自体多くはないです。

■取材担当分野


Q:お二人で取材の担当分野はどのように分けていますか?

今はどっちかというと、大塚の方が「TECH」分野で、私が「Team Leaders」を担当しています。いわゆるSaaSとか働き方改革とか制度設計系の話は、どちらかというと大谷が見ている感じです。まぁ、そんなにきっぱり分かれていなくて、どっちもどっちですけどね。どの辺の情報を扱うかは、それぞれの裁量で決めています。
 
ただ、二人とも両方とも担当できるので、私もテック系の記事を書きますし、大塚もビジネス系の記事も書きます。

■情報収集の方法


Q:普段、情報収集はどのようにされているのでしょうか?

広報さんやPR会社からの持ち込みや、リリースのご案内から探していくのがメインになっています。あとは、関連領域の記者発表会などですね。本来はトレンドを作る側としてもっと取材や特集記事を増やしたいというのがあるんですが、手数が少ないのでなかなか増やせません。とはいえ、情報提供は歓迎です
 
Q:情報提供はウェルカムなんですね。

そうですね。前から言っているんですが、記者は大体「あなただけ」という独占的な提案に弱い。各記者の担当領域、興味に合わせて「大谷さんはこれを追っていますよね、こういう記事はどうですか?」と 研究されて練られた提案は響きます
 
ただ、やっぱり私たち記者が興味を持って追う情報ってどんどん変わるんですよ。だから、そこら辺についていけるかどうかっていうのはあると思います。
 
あと、メディアへの情報提供の仕方で言えば、広報さんと(各専門分野の)ライターさんが組んで企画するというのは一つの方法だと思います。広報さんからライターさんに企画を持ち込んで、練ってから編集部に提案するなどです。
 
私たちのような編集の人間は、ライターさんに記事を作ってもらって媒体を運営するというプロデューサーとしての役割も担っています。そうしたなかで実は、得意分野を持っているライターさんがリードして提案してくることも少なくありません。
 
さまざまな流行りが変化するなかで、専門性を補うために知見を持つライターさんに協力してもらうことは私たちもよくやっていることです。キャッシュレスと言えばあの人、SaaS関係ならこの人みたいな感じで、ライターさんの専門性にはわれわれも助けられています。

■広報とのコミュニケーション方法


Q:コロナ禍の今、広報とのコミュニケーションはどのようにしていますか?

電話でのコミュニケーションがなくなりましたね。うちの場合、ほとんど誰もオフィスにいないので、オフィスがあっても仕方ないのでは?というくらい(笑)。だから電話をかけても出ないので、申し訳ないです 。逆に、オンライン化で地方の広報さんとコミュニケーションがしやすくなったのは面白い点だなと思っています。

Q:新しくつながる方々とは、どうやって接点を持つようになりましたか?
 
これは ユーザーコミュニティ界隈でよく言われている話なんですけど、今の人間関係は貯金でしかないんですよ。新しい人間関係は今までの貯金から食いつぶしている感じで、新しい人間関係はほぼないって断言してもいいかなと思っています。

もちろん、 既存の人間関係から派生して、新しいつながりができるってことは多少はあります。ただ、全くのゼロ からは、ほぼ無い。だけど、もうこの状況に順応してしまっています。
 
とは言え、職業柄はじめての方から、飛び込みでFacebook Messengerやメールをもらうことはあります。なかには、「TECH」と「Team Leaders」で探しているような内容を的確に情報提供してくれるパターンもあります。そういったキッカケで人間関係ができることはあります。 
 
Q:今はオフラインのイベントなど、新しく人と出会える場所が減少していますよね。

記者発表会などもオンライン開催がメインですよね。気軽に参加できてメリットもあるのですが、オンラインの弱点は「横が見えない」ことだと感じています。オフラインだと周りの記者の反応が分かったり、隣りに広報の人がいるのでつながれたりしますから。

■オンライン/オフラインのイベント

 
Q:企業の広報担当の立場からすると、オンライン/オフライン両方の場を用意した方がベターということですか?

 良いとは思いますが、両方の準備は大変そうですよね。オンラインは便利なので、最近はオフライン開催にする意義がわからない部分もあります。どうしても商品を見たい、モノを触わりたい、とかがなければ。
 
元々、私が取材しているのがハードウェア系よりもクラウドサービスなどが多いので。是が非でも現地に行かなくちゃいけないのは、多分データ センターの見学ぐらい。現場に行く必要があることの方が稀なんですよ。
 

■広報担当者に求めること


Q:最後に、大谷さんが広報担当者に求めることがあれば教えてください。

求めるものは昔から変わっていません。記者は常にワガママなので、極端に言うと「自分の欲しい情報だけくださる広報担当さん」が一番ありがたい 。これは多分、どの記者もメディアも同じことを言うのではないかと思います。
 
やっぱりみんな忙しい。そこで、自分のメディアに合った情報を、良いタイミングで適切にくださると、その人は「良い広報さんだ」と認識されるはずです 。そのための鍵はやはりそのメディアが、どの読者に向いているかをきちんと把握することだと思います。①読者研究②記者研究③メディア研究という順番ですかね。
 

なるほど。今回伺ったお話を今後さらにしっかり意識して動きたいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!
 
 
※本記事は2022年9月時点の情報です。


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(ライター:橋尾 日登美)
1987年10月生まれ、東京都出身、大阪在住フリーランス。人事/広報/ライターの領域で複数社を支援。コンセプトは『「ひとり雇うほどじゃないけど、経験ある人誰か手伝って」を複業で』パンダ、ビール、着物。
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(編集・構成:リープフロッグ 代表 松田純子)
B2B企業向けに、伴走型・人材育成型による広報部門の立ち上げ支援コンサルティングを実施。「広報の目的=企業成長」と捉え、新人、ひとり広報でも最速で効率よく広報部門を立ち上げ、企業成長に資する広報活動が行えるよう支援。各種メディアでの執筆、登壇多数  
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