本や講座のノウハウを100%自社の広報活動に活かす方法
求人広告のコピーライターを経て、IT系メガベンチャーと博報堂系広告会社の広報部立ち上げに携わり、今は小さな広報コンサルティング会社リープフロッグの代表として「広報部立ち上げ支援」をしている松田純子です。広報時代も含めたライター歴はかれこれ18年ほどです。
こちらのnoteでは、企業広報&広報コンサル、執筆経験を生かして、広報活動をしたいと考えている小さな会社の経営者や広報担当者の方に役に立つ情報や読みやすい文章を書くコツなどをシェアしています。※冒頭の絵は毎回かわいい動物さんです♪
前回のnote「なぜ広報施策の成果が出ないのか?」では、
・成果にたどり着ける人は物事の理解の解像度が高い
・要所を精緻に理解できているから別の施策の再現性も高い
というお話しをさせていただきましたが、今回のお話もこれに繋がるお話です。
今回のテーマは、前から訴えてみたかった
「本や講座のノウハウを100%自社の広報活動に活かす方法」についてです。
■レシピ本とビジネス本の違い
料理のレパートリーを増やしたい時、簡単な酒のつまみが知りたい時、
偉い人はレシピ本を読みます。(※松田はテキトーなのでほぼ見ません)
レシピ本を見ながらお料理をしていると気づきますが、レシピ通りに材料を揃えたて作ったら(だいたいは)レシピと同じものができます。
冷静になって考えると、これは凄いことです。言われた通りにやるだけで、教えてもらった通りの結果が出せてしまうのだから。
レシピ本凄い。
これをビジネス本(ビジネス関連のノウハウ本)に当てはめると、こうはいきません。なぜなら、本に書いてある人・会社の置かれた状況(技術・知識・経験・環境 etc.)と自社の状況がまったく同じということはあり得ないから。
ある人が書いた何かのノウハウでも、ある会社の広報やマーケティングの成功事例でも、その人や会社が持っている技術、能力、人脈、偶然手に入った機会を同じように揃えて真似することは不可能です。
■ノウハウ例と反応例
(ノウハウ例)
「メディアと良好なリレーションを築くために、自社が持つ業界の最新動向に関する知見をまとめてメディア向け勉強会を行う」
(反応例・1)
「たしかに、そういう手もあるな! 早速やってみよう!」
(反応例・2)
「自社が持つ知見って何? 勉強会って何? 連絡先も知らないのにどうやって招待するの?」
では、そのまま真似できないビジネス本は意味が無いのでしょうか?
結論:
単純にそのまま真似しようとすると意味がないかもしれない。(前提となる状況が違い過ぎると上手くいかない可能性がある)
(横道)ちなみに、ノウハウ利用者のリテラシーが十分じゃないと、“そのまま真似する”のも意外と難しい。
お母さんの説明は間違っていないし、娘ちゃんの理解も間違っていない。
でも、アウトプットは大きく間違っている。ビジネスの世界でもたまに起きる。
■本や講座のノウハウを自社の広報活動に活かすには?
というわけで、ここから各社が置かれた状況が違うなかで、他社・他人が提供してくれている本や講座のノウハウを上手に自社の広報活動に活かす方法について考えてみます。
・難易度(低):そのまま真似すれば良い系ノウハウ(広報編)を使う
まず一番簡単なのは、最初に紹介した料理のレシピ本のように、そのまま真似できるノウハウを見つけて真似することです。
上記は、いわゆるフォーマット系(やり方にフォーマットがあるものも含む)です。
多くの広報部がやってみて、「だいたいこんな感じだな」とすでになっているノウハウをイチから自社で開発し直す必要はありません。
そのまま真似してやってみて、不都合が見つかったらその部分を自社用にアレンジすれば十分です。もし余裕があれば、一つの本、一つの講座、一人の友人の意見に頼らず、色々なものを見比べるとより自社に合ったものややり方が見つかります。
参考:
■そのまま真似するのが難しい系のノウハウとは?
ざっくり言えば、フォーマット系以外の全部(汗)です。
■よく見る広報ノウハウ(例)
・経営戦略から逆算した広報戦略の立て方
・社内の主要各部署から情報をキャッチアップして広報施策を企画する
・メディアへの売り込み方法
・プレスリリースだけでメディア掲載を獲得する方法
・メディアとの関係構築のためにメディアキャラバンをする
・他社の広報と一緒に企画を立ててメディアに取材提案をしてみる
など
上記のような内容を、単純に本や講座で教えている通りにすぐに真似できる会社は少ないかもしれません。(それが完璧にできるなら「本も講座もいらん」という説もある)
これらのノウハウは、有用だけれど扱うのがとても難しいノウハウたちです。これらのノウハウの活用で、まず一番やってはいけない悪手はコチラです。
悪手:
たまたまSNSで見かけたノウハウ記事を読んだり、講座を受けたりして、行き当たりばったりでノウハウを試す。
単純に真似することさえ難しく、真似するだけでは成果が出にくいノウハウを行き当たりばったりではなかなか使いこなせないでしょう。
では、どうすればいいのか?
・難易度(中):自社が対象のノウハウを探して使う
ノウハウには、必ずこのノウハウで成果が出やすい対象企業(広報部・広報担当など)というものがあります。本や講座によっては、「対象を広げるため」にここを漠然とさせることもありますが、より成果を出せる本や講座を目指す場合は絞ります。自社が対象となるノウハウを見つければ、正しくノウハウを再現することができるはずです。
自社に合ったノウハウを見つけるための2つのポイント
1)自社の広報活動の課題を洗い出す
(自社の課題解決に繋がるノウハウをピンポイントで探して試す)
2)対象がより明確なノウハウから、自社が対象のノウハウを選ぶ
(BtoB/BtoC向け、大企業/中小企業向け、メディアリレーションズの基本/応用 など)
まず重要なのは、自社が欲しいノウハウを明確にすることです。自社の広報部が何を目指しているのか、そのゴールに向けて
今、何が課題なのかを明確にすれば、必要なノウハウがより明確になって「より的確なノウハウ探し」ができるようになります。
例)
プレスリリースは出せる(記載項目、プラットフォームの利用方法などの知識はある)が、すべてのメディアにスルーされている
→プレスリリースの「基礎知識」、「基本の書き方」ではなく、「記事化されるプレスリリースの書き方、配信方法」のノウハウが必要
松田自身もメディアでノウハウ記事を書いたり、ノウハウ講座をしたりするのでよく分かりますが、どんな会社にも当てはまるノウハウにするためには、どの会社にも当てはまる部分(ごく基本的なこと)にフォーカスすることになり、どうしても情報が漠然とします。
これは、広くさまざまな属性の多くの人・会社をターゲットにしたい本・講座が当てはまります。これらの本や講座を参考にするメリットは、誰でも簡単に基本情報を理解できること。しかも、無料が多いです。デメリットは、実務に生かすにはもう少し詳細な情報が必要になってくることです。
逆に、実務で役立つレベルのノウハウを提供しようとする本や講座は、対象者を絞って説明することが多いです。そういう本や講座は、前提条件を設けて「◯◯会社向け」などと説明しています。こうした本や講座の著者、主催者側のデメリットとしては、ターゲットが狭まるので集められる人数が少なくなる(ビジネスにつながりにくい)ことです。しかし、これは参加する側には関係ありません(そりゃそうだ)。
こうした本や講座のメリット・デメリットとしては、実務に生きやすい分、理解や実践の難易度も高いということ。つまり、受け取る側にも努力が必要になること。また、料金がかかることが多いことなどです。
■本や講座のノウハウを100%活かすために
ここからは人によって、「そのやり方が分からない⊙.☉」という話になっていきますが(汗)、もう少しお付き合いください。(※)前回記事の「理解の解像度を挙げて再現性を高めよう」参照
・難易度(高):ノウハウのポイントを抽出して自社向けにアレンジする方法
「ノウハウの核(ノウハウで目指す成果、やり方のキーポイント)を抽出して自社向けに組み立て直す」とは、
つまり、
レシピのようにノウハウの手順に注目するのではなく、①「何をすることで何を達成しようとするノウハウなのか」を理解して、「自社のリソースで達成する方法を考える」ということです。
その際、②ノウハウを活用する際のボトルネックを見つけて解消する③自社ではどうしても出来ないことは諦めて成果にたどり着く他の方法を探すことで最終ゴールを目指します。
例を挙げて説明します。
(例)社内の主要各部署から情報をキャッチアップして広報施策を企画する
(ノウハウ)
→経営企画、営業、マーケティング、開発など各主要部門の責任者と定期的なミーティングを実施
→部門の動きをキャッチアップし、自社サービスの広報に繋がるネタを探す
→ネタに合わせてプレスリリースの発表、メディア勉強会の企画などを検討
→施策の実施、結果の確認
これを先程の①~③に当てはめると…
①「何をすることで何を達成しようとするノウハウなのか」を理解
→このノウハウから、「社内から広報活動の元になる情報を集めて、メディア露出に繋げる活動」が重要なのだと理解
② ノウハウを活用する際のボトルネックを見つける(解消する)
→自社の広報理解が低く各部門の責任者がなかなか時間を取ってくれない。
ヒアリングしても広報活動に繋がるような的確な情報が出てこない。
③ どうしても出来ないことは諦めて成果にたどり着く他の方法を探す
→一人だけ仲の良い部門責任者がいるので、その部長に頼み込んで「広報ネタ」を一緒に考えてなんとか小さな広報の成功事例を作る
→成功事例を見せることで、他の部署の部長とも話しやすい環境を作っっていく
③について、もしメディアへの提案方法が分からないとなれば、それが分かる講座や支援サービスを探したり、まずは広報部がその部門の取り組みを取材してブログや社内報で紹介するなどという「他の方法(成功事例)」もあるでしょう。
ここで最も重要なことは、
とならないようにすることです。
少なくとも、必ず
という視点も加味して考えてみます。意外とやり方が見えてくるものです。
その際、オススメなのが、広報担当者のやりたいこと、やりたいやり方を優先することです。物事の成否には、主体者の意思(Will)がとても影響します。あとは松田が言うまでもなく、諦めずにPDCAを回すことも成功への条件です。
以上、今回は、本や講座のノウハウを100%自社の広報活動に活かすために、簡単なものから難しいものまで「ノウハウを活用するためのノウハウ」(笑)をご紹介してみました。
最後までお読みいただきありがとうございました! (*´∀`*)ノ
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