アプリで出会って、恋をして【5】
職場の後輩が失恋した。
完全敗北という訳ではないが、同じ様に私の後輩の同僚にやんわりとフラレてしまったという。
フラレた本人はめげず、次はどうしたら良いかを相談してくる程の強者なのだが、それはきっと諦められないほど好き、というのとまだお互い同じ職場でという強い繋がりがあるからだろう。
アプリだとそうも行かない。割と淡白な世界な気がする。会って合わなそうなら「はい次ー!」といういわば、数打ちゃ当たる方程式なやり方がしやすい。それはある意味でとても効率的だと言える。けれど…。
自然に職場で出会って、恋をして。縁があれば結婚して…。
それはきっと色んな人が望むエピソード。
「わぁ、素敵!」となりやすいし、何か「自然」な気がする。
私もそう思っていた。きっと大多数はそう思うはず。
なんでアプリだと同じ様にいかないのだろう。
なんでアプリだと「自然」では無いのだろう。
ふと、ハレさんとの出会いを思いだした。
彼がイイネをしてくれて、私もそれを返して、マッチングして、お互いプロフィールから受け取った情報を元に好きな事を話して、実際に会って。
幸運にもハレさんは私に好意を持ってくれたし、私も話してて楽しかったし。
夜通し話しても飽きなかった。そうして夜明けにやっと話し疲れて、泥のように二人共寝てしまった事も何度もあった。
それを繰り返して、デートして、それでも出会って1ヶ月ほどで私達は付き合ったのだが、これは「自然」じゃないんだろうか。
周り(主に親、一番の難関)の求める情報の為に、私は「友人の紹介」と言ってるけれど、むしろアプリを通したからこそ、私は全く別世界のハレさんと出会えたのだから、それの何処が彼等の理想に反してしまうのだろうか。
同じ環境で出会って、最初に顔を知って、声を知って、話し方を知って、人となりを知って、今度は仲良くなろうと試行錯誤して、駆け引きを楽しんで。
なにも間違っていない。私もそんな流れを経験してきた。
そしてアプリもまた、同じ様に間違ってない。
そう思えるようになったのは、私が使う側になったから。
後輩は今の恋に頑張るという。彼女以外考えられないと言っていた。また仕事で会えるから、頑張れると言っていた。
応援しているぞ、後輩よ。
どんな結果になったとしても。
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