思ったより大事な人をネットで見つけてしまった話(長文です)
学生だった私はうつになってしばらくして学校を休むことになってしまった。
何もすることがなくなった私は友人と会う気にもならなかった。周りはよく勉強しきっちり就職や進学する人ばかりで、とりあえずそのルートを目指して体調を崩した自分にとっては綺麗で遠い相手になってしまっていた。やることといえば家事だが、家事もそんなにまともにこなせない中で気晴らしをしていた。最初の一か月はテレビを見て、それに飽きるとブログ一か月、そのあとオンラインゲームを始めた。
オンラインゲームをするのは初めてで大人な世界な気がしてどきどきした。ネットを通じて人と関わるということも初めてで不思議な気分がした。最初はゲームをやることに懸命だったけれど、少しずつ久々にかかわる家族以外の人とのつながりが面白くなり始めた。スカイプのIDを取り、チャットや電話までし始めたのにそれでも我慢できないくらい、ネット上で出会った人たちが一体どんな人なのか関心を持ってしまったのである。
うつになる前の私はサークル活動で知らない人に会うだけでも緊張していた。人のことは嫌っているわけではないのだが、小さい時からいつも聞き役に回っていて自分から話しかけるのが苦手だった。
それなのに、人恋しさからなのか誰も会ったことのない集まりに参加する気になってしまった。ちょうどそのころオフ会の開催があって、流れで誘ってもらいもう我慢できなかった。(※一応駅前での集合、他の人たちは前に会ったことがあったのでまだ安全と判断した)。
今でもよく行ったなと思うのだが、他の人との連絡手段もままならないのに勢いだけで出かけてしまった。集合場所は結構人の多い場所で、相手の声は一部知ってるけれども見た目など分かるはずもなかった。これは何もなく帰るしかないかなと思い始めたとき、聞き覚えのあるハンドルネーム(ネット上の名前)が聞こえた。その声を頼りに女の子に話しかけたら、私の名前を呼んで歓迎してもらえた。
その出会いから1か月前、たまたま共通の知り合いがいて話すようになった人がいた。ネット界隈にいる人は何らかのさみしさを抱えているのか(偏見?)フレンドリーな人が多かったが、彼は特に話しやすい人だった。大人しめなわたしでも気楽に突っ込みができるような親しみやすさがあった。一般人より相当男性慣れしていない私にとっても良き話し相手となってくれたので、割と頻繁に連絡を取るようになった。
さて、その最初のオフ会でみんな私に自己紹介をしてくれたのだが、一人返事をしないぶすっとした人がいると思ったら彼だった。顔長いな、などと失礼なことを初対面で言ってきたのでなんだ生意気なやつと思った(まあ年上なのだが)。見た目は良いがダサかった。しかし、その次に大勢で会ったときはそっともらったお土産をくれたり、そのころ弱っていた私を電話で慰めてくれたりして、すっかり私の方は気に入ってしまった。まあこの時点で私は未だ恋というものも知らず、とりあえず私から誘って一緒にご飯を食べに行った。
それが年末で、年を越して年始に友達と出かけたときふと彼のことが気になってしまった私は、自分彼が好きなのでは!?と気づいてしまった。初めてこの人といっしょに過ごしたいと強く思ってしまった。初めて彼と過ごすときに着たいと服を買った。しかしその当時、彼は彼女を欲しがっていたが、別の子に関心が向き始めていた(そのことは知らなかった)。私が話しかければ話しかけるほど冷たくなったが、(普段割と控えめな性格なのに)私は我慢できなかった。そして気持ちをネット上で伝えてみるも無視されて、あの頃はかなりつらかった。そのあとはっきりめんどくさいと言われてしまった。とにかく友達でもいいからいてほしかったが、その時にやっと一回距離を置こうと思えたのである。
それからしばらくして、全て諦めかけていた私だったが、共通の友人に誘われ一緒にネットのゲームで遊ぶことになった(彼はゲーマーなのでゲームをすることを優先したらしい)。私は気を付けてあまり話しかけないようにはしたが、それでも何とか久々に会話することができた。それをきっかけに会話ができるようになり、私は数人で遊ぶ誘いをかけた。その遊びのため彼はその日出てきたので、何だこれと私は思ったがチャンスを逃さまいと私は何度もこういう会を設けた。そんなある日の帰り道、二人になったので夕食に誘った。もう季節は秋になっていた。
そのとき、彼はまだ俺のこと好きなのかと聞いたので、まあね…などと今さら期待もなく曖昧に言って雑談をしてその場は別れた。その日、ノリで土曜もご飯しよなどと能天気なことを言っていた土曜の朝、彼から朝の挨拶が来ていた(そのころには連絡を取り合うのが復活していた)。私はすかさずお昼でも食べに行こうと誘った。彼はなんやらかんやらごねたが、やっとお昼ごろ出てきてくれた。安いうどん屋でなんでもない話を2時間して、もう出なきゃと外を見ると雨が降っていた。(わざとではなく)私は傘を忘れてしまったので、困ったように彼を見たらしょうがないなと言って傘に入れてくれた。どこへともなく私たちは歩きながら、彼は(付き合っても)続かないと思うよとか何とか言いながら傘を持って進んだ。よく分からない駐車場までたどり着いたとき、まあでも付き合ってみる?と彼は言った。
私はびっくりして息をのんだ。付き合うなんて夢みたいなもんだと思っていた。思わず黙ってしまった私に彼は笑っていた。帰ってから、あぁ、あきらめてなくてよかったと思ったが、まあ諦めるという選択肢がその時の私にはなかっただけである。
正直当時休学中で何もしてなかったので、そんなことにうつつを抜かすつもりは全然なかったし、そんな自分を責めたりもしたが、こういう結末になったことは人生とはわからないものだ。その後、なんだかんだあったが彼と今は一緒に過ごしている。
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