見出し画像

司法試験短答式問題解説 平成18年刑法第3問

1 問題文

2 解説

(1)どんなに問題文が長くても、各設問の解答時間は1.5分を超えてはならない。

 司法試験短答式の問題ではこのように比較的長文の問題が出されますが、一つの問題に使う時間が1.5分を超えてしまうと、時間切れで問題が解き終わらないので、どんなに長い問題文でも時間をかけて解くことはあまりできません。2分経っても問題が解けない場合は、一旦放置して他の解答できる問題に着手しましょう。

(2)私の解き方

・①の部分は「B」が問題なることに意識しよう。
 私はこのような問題を見た時には、まず選択肢を観察します。その後に問題文全体(【記述】【語句群】)を読みます。
 【記述】①の部分で、すべての選択肢の違いは「B」の有無なので、まず語句群の「B」を確認し、記述の①の位置を確認します。
 【記述】で(①)の後では「被害者に当該行為によって自らが死亡することの認識がないことから」と記載されているので、(①)に当てはまる事案は「自ら死亡することの認識がない」ことを含まれている事案であることが分かり、その有無を「B」の部分で確認します。
 そうすると「B」は「一時仮死状態に陥っても薬品を用いれば再び蘇生できると誤信」と記載されているので、少なくともBは仮死状態になることは認識していても、「自ら死亡することの認識」はないので、ここで①には「B」が含まれることが分かります
 ここで、選択肢1,2,3は誤りだということがわかります。

・次は②の部分を飛ばして、③と④の部分が問題になるのを意識しよう。
 選択肢4,5の②の部分は全て「A,C」なので、違いはありません。あとは、③と④の部分のいずれかの当てはまるもが分かれば
最終回答が決まります。
 仮に私が本問を解く場合ですと、④から先に解き始めます。なぜなら、問題となっている語句群E、Fの内容が短
いので、早く判断できると思ったからです。
 記述(④)の前後を見ますが、「(③)の事案では…被害者が(④)ことから、殺人罪ではなく、自殺関与罪が成立すると解する見解がある」と記載されているので、語句群Aの事案が、自殺関与罪に該当するためにどのような理由が当てはまるのかを考える必要があります。
 自殺関与罪は文字通り「他人の自殺に自分が関与する」罪ですので、そうすると他人は自ら死を望んでいることが前提だと考えることができます。逆に言えば、他人は自ら死を望んでいない状況で他人を殺してしまった場合は、なおさら殺人罪が成立する可能性があります。
 語句群Aの事案では、元から「心中を望む被害者」に対し加害者も共に被害者と心中すると装い被害者に毒を飲ませて死亡させたいわゆる「偽装心中」の事案なので、そうだとすると、被害者(殺される側)は自ら死を望んでおり、Eのようなその自殺する意思を強制された等の記述もないので、F「自ら死を望んでいる」が④に当てはまることが分かり、選択肢4は誤りで、選択肢5が正解だということなります。
 正解は5になります。

3 チェックポイント

ここから先は

259字

この記事が参加している募集

noteでよかったこと

振り返りnote

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?