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条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第140回)相続分

読み易さは正義!!
「読み」のハードルを下げて、
最速で法律の条文を読んで理解する「条文サーフィン」です。

条文サーフィン」は、平面的な条文を立体的に読み込む一つの試みです。


この記事は一体なに?という方は、初回(第1回)の最初と最後の部分に簡単な説明がありますので、是非そちらをご覧ください。

条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第1回)贈与


さて今回は、改正民法(令和2年4月1日現在の民法)から、「相続分」です。

・民法>「第五編 相続」>「第三章 相続の効力」>「第二節 相続分」(第900条―第905条)

では早速、魔法の条文の一行一行を「」に見立てて、かるーく乗りこなす
条文サーフィン」を始めていきましょう!!


<条文を読むヒント♪>
条文中の「……場合」と「……とき」の二つの語句を意図的に太字にしてあります。是非この太字部分を意識して読んでみてください。これだけで条文の構造がグッと見えやすくなるはずです。お試しあれ!!


〇民法(明治二十九年法律第八十九号)

第五編 相続
第三章 相続の効力
第二節 相続分(第九百条―第九百五条)

第九百条(法定相続分)
第九百一条(代襲相続人の相続分)
第九百二条(遺言による相続分の指定)
第九百二条の二(相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使)
第九百三条(特別受益者の相続分)
第九百四条
第九百四条の二(寄与分)
第九百五条(相続分の取戻権)


第二節 相続分

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

(法定相続分)
第九百条

  同順位の相続人が数人あるときは、
   ↓
  その相続分は、
   ↓
  次の各号の定めるところによる。

  一 子及び配偶者が相続人であるときは、
     ↓
    子の相続分
     ↓
    及び
     ↓
    配偶者の相続分は、
     ↓
    各二分の一とする。

  二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、
     ↓
    配偶者の相続分は、
     ↓
    三分の二とし、
     ↓
    直系尊属の相続分は、
     ↓
    三分の一とする。

  三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、
     ↓
    配偶者の相続分は、
     ↓
    四分の三とし、
     ↓
    兄弟姉妹の相続分は、
     ↓
    四分の一とする。

  四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、
     ↓
    各自の相続分は、
     ↓
    相等しいものとする。

    ただし、
     ↓
    父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、
     ↓
    父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。


(代襲相続人の相続分)
第九百一条 第八百八十七条第二項又は第三項の規定により相続人となる直系卑属の相続分は、その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。ただし、直系卑属が数人あるときは、その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、前条の規定に従ってその相続分を定める。
2 前項の規定は、第八百八十九条第二項の規定により兄弟姉妹の子が相続人となる場合について準用する。

(代襲相続人の相続分)
第九百一条

  第八百八十七条第二項又は第三項の規定により
   ↓
  相続人となる直系卑属の相続分は、
   ↓
  その直系尊属が受けるべきであったものと同じとする。

  ただし、
   ↓
  直系卑属が数人あるときは、
   ↓
  その各自の直系尊属が受けるべきであった部分について、
   ↓
  前条の規定に従って
   ↓
  その相続分を定める。

2 前項の規定は、
   ↓
  第八百八十九条第二項の規定により
   ↓
  兄弟姉妹の子が相続人となる場合について
   ↓
  準用する。


(遺言による相続分の指定)
第九百二条 被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。
2 被相続人が、共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、又はこれを第三者に定めさせたときは、他の共同相続人の相続分は、前二条の規定により定める。

(遺言による相続分の指定)
第九百二条

  被相続人は、
   ↓
  前二条の規定にかかわらず、
   ↓
  遺言で、
   ↓
  共同相続人の相続分を定め、
   ↓
  又は
   ↓
  これを定めることを第三者に委託することができる。

2 被相続人が、
   ↓
  共同相続人中の一人若しくは数人の相続分のみを定め、
   ↓
  又は
   ↓
  これを第三者に定めさせたときは、
   ↓
  他の共同相続人の相続分は、
   ↓
  前二条の規定により
   ↓
  定める。


(相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使)
第九百二条の二 被相続人が相続開始の時において有した債務の債権者は、前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、各共同相続人に対し、第九百条及び第九百一条の規定により算定した相続分に応じてその権利を行使することができる。ただし、その債権者が共同相続人の一人に対してその指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、この限りでない。

(相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使)
第九百二条の二

  被相続人が相続開始の時において有した債務の
   ↓
  債権者は、
   ↓
  前条の規定による相続分の指定がされた場合であっても、
   ↓
  各共同相続人に対し、
   ↓
  第九百条及び第九百一条の規定により算定した
   ↓
  相続分に応じて
   ↓
  その権利を行使することができる。

  ただし、
   ↓
  その債権者が
   ↓
  共同相続人の一人に対して
   ↓
  その指定された相続分に応じた債務の承継を承認したときは、
   ↓
  この限りでない。


(特別受益者の相続分)
第九百三条 共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。
2 遺贈又は贈与の価額が、相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、受遺者又は受贈者は、その相続分を受けることができない。
3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、その意思に従う。
4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第一項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。

(特別受益者の相続分)
第九百三条

  共同相続人中に、
   ↓
  被相続人から、
   ↓
  遺贈を受け、
   ↓
  又は
   ↓
  婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として
   ↓
  贈与を受けた者があるときは、
   ↓
  被相続人が相続開始の時において有した財産の価額に
   ↓
  その贈与の価額を加えたものを
   ↓
  相続財産とみなし、
   ↓
  第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分の中から
   ↓
  その遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもって
   ↓
  その者の相続分とする。

2 遺贈又は贈与の価額が、
   ↓
  相続分の価額に等しく、又はこれを超えるときは、
   ↓
  受遺者又は受贈者は、
   ↓
  その相続分を受けることができない。

3 被相続人が前二項の規定と異なった意思を表示したときは、
   ↓
  その意思に従う。

4 婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である
   ↓
  被相続人が、
   ↓
  他の一方に対し、
   ↓
  その居住の用に供する建物又はその敷地について
   ↓
  遺贈又は贈与をしたときは、
   ↓
  当該被相続人は、
   ↓
  その遺贈又は贈与について
   ↓
  第一項の規定を適用しない旨の
   ↓
  意思を表示したもの
   ↓
  と推定する。


第九百四条 前条に規定する贈与の価額は、受贈者の行為によって、その目的である財産が滅失し、又はその価格の増減があったときであっても、相続開始の時においてなお原状のままであるものとみなしてこれを定める。

第九百四条

  前条に規定する贈与の価額は、
   ↓
  受贈者の行為によって、
   ↓
  その目的である財産が滅失し、
   ↓
  又は
   ↓
  その価格の増減があったときであっても、
   ↓
  相続開始の時において
   ↓
  なお原状のままであるもの
   ↓
  とみなして
   ↓
  これを定める。


(寄与分)
第九百四条の二 共同相続人中に、被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、被相続人の療養看護その他の方法により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを相続財産とみなし、第九百条から第九百二条までの規定により算定した相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、同項に規定する寄与をした者の請求により、寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額その他一切の事情を考慮して、寄与分を定める。
3 寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈の価額を控除した残額を超えることができない。
4 第二項の請求は、第九百七条第二項の規定による請求があった場合又は第九百十条に規定する場合にすることができる。

(寄与分)
第九百四条の二

  共同相続人中に、
   ↓
  被相続人の事業に関する労務の提供又は財産上の給付、
   ↓
  被相続人の療養看護その他の方法により

  被相続人の財産の維持又は増加について
   ↓
  特別の寄与をした者があるときは、
   ↓
  被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から
   ↓
  共同相続人の協議で定めたその者の寄与分を控除したものを
   ↓
  相続財産とみなし、
   ↓
  第九百条から第九百二条までの規定により算定した
   ↓
  相続分に寄与分を加えた額をもって
   ↓
  その者の相続分とする。

2 前項の協議が調わないとき、
   ↓
  又は
   ↓
  協議をすることができないときは、
   ↓
  家庭裁判所は、
   ↓
  同項に規定する寄与をした者の請求により、
   ↓
  寄与の時期、方法及び程度、相続財産の額
   ↓
  その他一切の事情を考慮して、
   ↓
  寄与分を定める。

3 寄与分は、
   ↓
  被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から
   ↓
  遺贈の価額を控除した残額を
   ↓
  超えることができない。

4 第二項の請求は、
   ↓
  第九百七条第二項の規定による請求があった場合
   ↓
  又は
   ↓
  第九百十条に規定する場合に
   ↓
  することができる。


(相続分の取戻権)
第九百五条 共同相続人の一人が遺産の分割前にその相続分を第三者に譲り渡したときは、他の共同相続人は、その価額及び費用を償還して、その相続分を譲り受けることができる。
2 前項の権利は、一箇月以内に行使しなければならない。

(相続分の取戻権)
第九百五条

  共同相続人の一人が
   ↓
  遺産の分割前に
   ↓
  その相続分を
   ↓
  第三者に譲り渡したときは、
   ↓
  他の共同相続人は、
   ↓
  その価額及び費用を償還して、
   ↓
  その相続分を譲り受けることができる。

2 前項の権利は、
   ↓
  一箇月以内に
   ↓
  行使しなければならない。


以上が「第二節 相続分」(第900条―第905条)の条文です。

ここまで読んだ貴方は、読む前の貴方とはちょっと違うはず。その違いが「条文サーフィン」を続ける意味です。


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ここだけの話。
テキストを読んでから条文を読むより、「条文」を読んでから「テキスト」を読む方が理解がグーンと進みます。理解のカギは「先に疑問を持つこと」です。


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ではまた。

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