条文サーフィン~改正民法の波を乗りこなせ!!~(第1回)贈与
最初に申し上げておきますが、
本稿は読み物というよりツール(道具)です。
何のツールかといえば、
「法律(民法)の条文を国語レベルで読んで理解するための魔法のツール(以下、魔法のツール。)」です。
既存の六法と比べ、読むハードルをグッと下げた条文のカタチ(以下、魔法の条文。)が最大の特徴となります。
なので、何もここまでしなくても既存の六法があれば条文をふつうに読んで理解できるという方には一切不要なものです。
逆に、これまで条文を読むことに少なからず抵抗(苦痛)を感じてきたという方にこそ、こっそり(?)使ってほしいものです。
もちろん、これから法律(民法)の学習を始めてみようとお考えの方も大歓迎です。きっと最初から意外なほど条文とうまく付き合っていけることでしょう。
では早速、能書きは置いておいて最低限のご説明だけ。
魔法のツールの基本構成(各条文のワンセット)は次の通りです。
・既存の条文(引用の部分)=一覧性に優れている。
↓
・魔法の条文(地の部分)=条文の構造を理解するのに優れている。
あえて二つのタイプの条文を並べて置くのには理由があるのです。
・既存の条文(引用の部分)=魔法の条文を「折り畳んだ」もの。
↓
・魔法の条文(地の部分)=既存の条文を「展開した」もの。
このように感覚的に捉えていただいても結構です。
さて今回から読んでいくのは、今春の令和2年4月1日に債権編を中心とした改正法が施行されて大きく変わることになる時の法律である民法です。
この改正民法(令和2年4月1日現在の民法)の条文を原則として「章・節・款・目」の単位でランダムに読んでいく予定です。
初回は、分量が手ごろで読む難易度もあまり高くない「贈与」にしました。
・民法>「第三編 債権」>「第二章 契約」>「第二節 贈与」(第549条―第554条)
では、魔法の条文の一行一行を「波」に見立てて、かるーく乗りこなす「条文サーフィン」をいっしょに始めてみましょう(←記事のタイトルはこんな意味で付けました)。
〇民法(明治二十九年法律第八十九号)
第三編 債権
第二章 契約
第二節 贈与(第五百四十九条―第五百五十四条)
第五百四十九条(贈与)
第五百五十条(書面によらない贈与の解除)
第五百五十一条(贈与者の引渡義務等)
第五百五十二条(定期贈与)
第五百五十三条(負担付贈与)
第五百五十四条(死因贈与)
第二節 贈与
(贈与)
第五百四十九条 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
(贈与)
第五百四十九条
贈与は、
↓
当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、
↓
相手方が受諾をすることによって、
↓
その効力を生ずる。
(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条 書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。
(書面によらない贈与の解除)
第五百五十条
書面によらない贈与は、
↓
各当事者が
↓
解除をすることができる。
ただし、
↓
履行の終わった部分については、
↓
この限りでない。
(贈与者の引渡義務等)
第五百五十一条 贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。
2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。
(贈与者の引渡義務等)
第五百五十一条
贈与者は、
↓
贈与の目的である物又は権利を、
↓
贈与の目的として特定した時の状態で
↓
引き渡し、又は移転することを約したもの
↓
と推定する。
2 負担付贈与については、
↓
贈与者は、
↓
その負担の限度において、
↓
売主と同じく
↓
担保の責任を負う。
(定期贈与)
第五百五十二条 定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う。
(定期贈与)
第五百五十二条
定期の給付を目的とする贈与は、
↓
贈与者又は受贈者の死亡によって、
↓
その効力を失う。
(負担付贈与)
第五百五十三条 負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。
(負担付贈与)
第五百五十三条
負担付贈与については、
↓
この節に定めるもののほか、
↓
その性質に反しない限り、
↓
双務契約に関する規定を
↓
準用する。
(死因贈与)
第五百五十四条 贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。
(死因贈与)
第五百五十四条
贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、
↓
その性質に反しない限り、
↓
遺贈に関する規定を
↓
準用する。
いかがでしたか?
以上が「第二節 贈与」(第549条―第554条)の条文(全6条)です。
既存の条文も魔法の条文も書かれている内容はまったく同じです。
その上で、もし魔法の条文を読んで何か一つでも新たな発見(既存の条文だけ読んでいたのでは気づかなかったこと)があったという方は、とりあえずこの「条文サーフィン」を続けてみる価値があるのではないでしょうか?
また、条文を読んで気になった点(疑問点)については、実際に法律書(逐条式のコンメンタールなど)を手に取ってピンポイントで調べてみると大変いい勉強になると思います。
今回はここまで、ではまた。
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