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イジメ被害者の「私たち」から、傍観者の「あなたたち」へ。

こんばんは、ねこぐらしと申します。

本日は、いじめについて言及をしていきます。

私自身の心情整理も含めた文章ですので、やや前置きが長くなっています。
手っ取り早く本題に目を通したい方は、目次の「イジメの4層構造」より読み進めることをオススメします。


「コンプレックス」


日常においては、劣等感という意味で使われる。

「毒親コンプレックス」
「学歴コンプレックス」
「職歴コンプレックス」

だけど本来、コンプレックスは「もつれ」を表す言葉。

アドラー心理学で取り上げられる「劣等コンプレックス」という概念が、若者言葉よろしく省略され「コンプレックス」が紙面上に取り残されたまま、「劣等感」だけが世間を独り歩きしている。実際には劣等感だけでない、もっと複雑な因子が絡み合って「毛玉」みたいになっている。

すると、それまで咀嚼できたはずの事柄さえ「毛玉」のせいで喉元に引っかかる。無理に飲み込もうとしても、誤嚥するばかりで肺炎になったみたいに息もできなくなる。過度に肥大化したコンプレックスほど、拒絶反応は激しい。

だから、その「毛玉」を一糸一糸解きほぐす。複雑に絡み合った因子を元の一本づつに戻してやる。簡単な作業じゃない。毛玉に巻き込まれた、たった一本の両端をつまんで反対側に引き伸ばしたって、まるで解けやしない。

「親から離れればいい」
「もっと勉強すればいい」
「いい会社に就職すればいい」

単純明快な反作用をけしかけたところで、変な気管にでも入って誤嚥性肺炎を引き起こすのが関の山。
反骨精神だけで治るのであれば、それはコンプレックスじゃない。すでに解けた後の因子の話だ。ただの劣等感の払拭作業にすぎない。
劣等感とコンプレックスはイコールじゃない。「毛玉」をたった一つの「劣等感」と扱うような単純な話にしてはならない。

「途方もない時間をかけて、簡単にしていくため」の作業がコンプレックスの払拭だ。

今日、私がする話は、そんな果てしなく複雑な作業のほんの一部にすぎない。しかし、一番厄介かもしれない「極太の糸」の話だ。

「イジメ」


もしかしたら、これは刺繍糸とか毛糸とかそんな生ぬるいものじゃない。釣り糸に使われるようなナイロン製のラインだ。途中で千切れることなど絶対にない。一生心に巻き付いたままの鎖にも等しい。

ピアノ線みたいに鋭利なそれに触れれば、内外問わず当然傷がつく。だが手や指が傷つけることを恐れて踏みとどまっていては、寛解することなど決してない。だから、傷つきながらでも触れなければならない。

前置きが長くなってしまい申し訳ありません。
ここからが本題です。

~ ~ ~

イジメの4層構造

イジメには4種類の関係者がいます

  • 被害者

  • 加害者

  • 傍観者

  • 観衆(保護者)

いじめの4層構造より。https://maenoshinn.com/ijime4/

正確にはここに「行政」や「学校」なども関わってくるが、今回は「保護者」に内包する。被害者と加害者をひとまとめに「当事者」と表現することも出来る。

こんな話し始めなのだから、察しはついていると思う。

私は「被害者」です


きっかけは些細なモノ。

中学生の頃、部活で手酷くミスをした私を茶化し続ける友人にうんざりし「さわるな!穢らわしい!」と手を跳ねのけたのが全ての始まり。当時ハマっていた少女漫画の「悪役令嬢」のセリフに影響を受けて、軽率に放ってしまった一言。影響されやすい子どもだった。今でもそれは変わらない。

しかし、果たして、人生を賭けてまで責任を取らされるようなことだったかは今だに、分からない。罪に対して罰があまりにも重すぎた。

加害者に成り果てた友人は、それから私の悪評をでっちあげ学年中に広めた。陰湿なものは一通り受けた。下駄箱開封恐怖症になった。まったく身に覚えのない人間が加担していく恐怖。数の暴力だった。まるまる一クラス分くらい加害者になっていたんじゃないだろうか。トイレの水責めってほんとにあるんだね。

何よりも親しかった友人すらも巻き込まれ、次第に離れていくのが特にこたえる。憎たらしいことに、それらの嫌がらせを教師陣にまったく悟らせることなく慣行したのだから大したものだ。もしくはお決まりの「過度なじゃれあい」に見えていたのかも。とにかく、卒業まで終わることも気づくこともなかった。

~ ~ ~

ここで、私のエピソードは一旦切り上げます。
実はわたしがモヤモヤしているのは、過去の話ではなく、現状のお話なのです。

傍観者があまりにも多すぎる。

こちらは新潟県教育庁が提供している「いじめ対策ポータル」サイト。

サイト内の「いじめ克服体験談」の項目に、6種のカテゴリーがあります。
注目してほしいのは、その中でもこの3つ。

それぞれに、当事者からの祈りとも願いとも受け取れるメッセージが綴られています。リンクを踏んで頂ければ分かりますが「被害者から被害者へ」のメッセージは膨大です

しかし、「被害者から傍観者」「被害者から加害者」へのメッセージはきわめて少ない5件と2件です。加害者への言い分が通らないことは、被害者からすれば察せることです。この件数は当然の帰結とも言えます。いじめ問題は、全員が当事者になってはじめて、議論を進められる。


ですが、いち被害者として、ひとつ正直なお気持ちをお話します。

「被害者」が「傍観者のままのあなた」に期待していることなど、1mmたりともありません。


ガラスの向こうの安全圏から「わたしたち」を覗き続ける限り、あなたたちには一切の期待など抱きません。
机上でこねくり回した空論、性善説、道徳心に訴えかける偉人の名言の引用、なんちゃって撲滅運動、関心のあるフリ、無責任な同情。
その大半が、さらに被害者の疎外感を深めるものになると自覚をもってください。

私が特に怒りを覚えたエピソードを、次に続けます。

~ ~ ~

先日、「イジメ」を取り扱った記事をnote上で見かけました。三桁以上のスキを押されていたと記事だと記憶しています。
「社会的疎外感」が子どもをイジメ行為に走らせるのではないかと事細かに分析しており、なるほど、と関心しました。

しかし、同時にこの記事は圧倒的に「傍観者」でもありました。少なくとも「当事者」に向けられたものではない。「傍観者」から「傍観者」へのメッセージです。当事者はどこにもいません。

いえ、それだけならまだマシでした。
事態は更に深刻です。

「さぁみんな、傍観者になろう」

メッセージの本質はそこなのだと、判断せざるを得ないものでした。

加害者を断罪することで、それがまた「社会的疎外感」の連鎖たりえてしまう。しかし悪意と善意は裏返し。基準が曖昧な正義感を振りかざしてしまえば、加害と被害が入れ替わる。


後半に漂っていた空気は「どうせアンタッチャブルなものだから、イジメに関わるのはほどほどに。別に当事者に伝わんなくてもいいよ」と、そんな気持ちが透けて見えるような文章でした。


真意は分かりません。
いえ、ただ傍観者目線というだけで、罪すらありません。いじめについて触れてくれただけでも十分ありがたいものかもしれない。私の怒りは不当かもしれない。それでも、手放しで喜べるものではなかったのは確かです。


※末尾にて「当事者目線」をもって「イジメ問題」を解説しているnoter様の記事をご紹介させて頂いております!そちらも合わせてお読み頂ければ!

なお、ネコぐらしが言及している「傍観者目線」記事へのリンクは控えさせて頂きます。


~ ~ ~

イジメに関する3つの事実


いじめについて、私は3つの事実があると考えています。

  • 「いじめ」は無くならない

  •  全員が「当事者」にならなければ話は進まない

  • 「恨みや悲しみ」は寛解しない。一生

IoTが発達したといえ、生活圏のほとんどがブラックボックスに包まれた状態でいじめを撲滅するのは不可能です。
学校に限ったことではありません。大人の社会でもまかり通っている概念です。時には民主制に則った議会でさえ、いじめの舞台になってしまう。(安芸高田あきたかた市の石丸市長vs清志会の対立が良い例です)

同時に、誰もが傍観者でいる限り閉じた世界になってしまう。しっかりと問題意識をもって切り込む人が一人でも多く必要なのです。

そして、いじめの傷は癒えません。人生に影響を与え続けます。時には憎悪や悲しみに包まれる人生にしてしまうことすらある。


私からのメッセージ

先程の記事への感想も込めて、ここからは私の真摯で痛烈な気持ちを、傍観者である「あなたたち」に伝えます。


身近な当事者に手を差し伸べて下さい。

いま苦しんでいる、その人の声を聞いてやってください。
話を聞いてやってください。
手を握ってやってください。
抱きしめてやってください。
苦しみの一端を少しでも分かち合ってください。

机上の空論だけで、話を進めないでください
机の上で紙相撲なんかして遊ばないでください。
手持ち無沙汰に折り鶴なんか、折らないでください。

机の向こうに、対面の席に、今まさに苦しんでいる誰かがいます。
ペンを手に取るのは、話を聞いてからにしてください。

もしも向かいの席に誰もいないのであれば、
あなたが被害者の座っている席の対面に移ってください。

それすらも面倒なのであれば。
今後「いじめ」の「い」の字すらも、口にしないでください。
傍観者であると決めたのならば、どうぞ、わたしたちの関係のないところで幸福な人生を歩んで。


ただ、いつでも席は開けておきます。
あなたが「当事者」として座る決心をされたのなら、喜んでわたしは椅子を引きます。
適当なガヤをいれたり、空論を綴って丸めた紙くずを投げつけるのであれば、引いた椅子をあなた目掛けて投げつけます。

いじめの予防だけが論点じゃありません。

いじめ被害者の大人を「終わったもの」としてカウントしないでください。
傷は一生です。一生残るのです。子供だけじゃない。
大人は心の傷を上手に隠すかもしれない。でも、終わってなんて、決してありません。

「この先、一人でも減ればいいな」
「起こらないように対策すればいいか」

減ることはありません。予見もできません。
ずっとずっと増え続けるのです「被害者」は。
今も苦しんでいます。苦しみ続けているんです。

どうして、「被害者」が「被害者」にメッセージの大半を送っているか、理由を考えたことはありますか?

加害者に何をいったって無駄。
傍観者に何をいったって無駄。
そんな気持ちが心に蔓延しているんです。

当たり前です。いじめは自然発生するのですから。

傍観者たちが机上で遊んでいる間にも、「被害者たち」は小さな結束をもってをいじめから身を護っている。日々耐え忍んでいる。

あなたたちのおかげじゃない。
「わたしたち」当事者のおかげで、です。

机上でこねくり回した空論、性善説、道徳心に訴えかける偉人の名言の引用、なんちゃって撲滅運動、関心のあるフリ、無責任な同情。

そんなハリボテを都合よく見せる前に。
体にアザを作った小さな女の子の話を聞いて。
情緒不安定な知人の過去を聞いて。
あるいは保護猫の体を抱きしめて。
ネットに転がる誰かの悲痛な叫びを聞いて。
加害者の意見を聞いたっていい。

まずは、行動をして「当事者」になってください。


もちろん、当事者になるには大変勇気がいると承知しています。

きっと、私も傍観者の立場であったならば、触らぬ神に祟りなしな選択を取ってしまうかもしれない。
これは、当事者だからこその義憤なのかもしれない。

しかし、もしもあなたが「いじめ」について興味関心があるならば。
まずは、あなたの近くにいる当事者とお話してみてください。
難しければ、ネットで探しても良い。
「当人」の声をきいてください。

ネコぐらしにだっていい。
私も当事者として喜んでお話します。



どうか、あなたが傍観者のままでいないように。
祈りを込めて。



■参考文献
※1【法務省】「いじめ」をなくすために
https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00155.html

※2【岡山県】高等学校 いじめにおける当事者とは
https://www.pref.okayama.jp/uploaded/life/381948_2159108_misc.pdf

3【新潟県教育庁】いじめ対策ポータルサイト
https://www.ijimetaisaku.pref.niigata.lg.jp/

※4【スクールカウンセラー養成所】いじめの4層構造
https://maenoshinn.com/ijime4/

※5 【wikipedia】安芸高田市議会 沿革
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E8%8A%B8%E9%AB%98%E7%94%B0%E5%B8%82%E8%AD%B0%E4%BC%9A

※6
 【文部科学省】いじめ防止対策推進法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC1000000071_20221001_503AC0000000027


イジメについて言及してくださっているnoter様

いじめ問題について、特に深く切り込んでいらっしゃったnoterさんをご紹介します。合わせてお読み頂ければ嬉しい限り。


⇩リセルさん⇩
「被害者視点でみる、加害者視点」について言及されています。被害者目線だけでは解決につながらないことを強く訴えています。激しく共感です


⇩定年のおっちゃんねるさん⇩
【いじめ防止対策推進法】の観点から詳しく解説していらっしゃいます。【いじめはなくならない】について、ネコぐらしは文中でサラッと流していましたが、こちらの記事では鋭く切り込んでいます。


⇩代筆屋やまださん⇩

「いじめ」を犯罪行為とみなし、実用的な対処方法を記しています。観衆(保護者)を動かすアプローチとして、加害者や傍観者に対し怒りを隠さず伝えることを推奨しています。



一人でも多く、救われることを願って。


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🍩ちょっとだけ気分直しに。
 『クスッとくるエッセイ』なんていかが?🍩



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