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食品会社の給料が少ないワケ

タイトルの主語がデカすぎる気がしないでもないですが、先日記事に書いたとおり、給与面から私は食品会社を辞めました。

もちろん、世の中にはサントリーさんなど給与面で恵まれた食品会社もありますが、全般的に食品会社の給料は低いです。では、なぜ食品会社の給料は低いのでしょうか。

私の勤めていた企業の話がベースになりますが、理由を3つほど挙げてみました。

薄利多売のビジネスモデルになりがち

日常使う食品は、自動車やスマートフォンにくられば当然単価は安いです。話の構図として「食品 vs スマホ・自動車」で進めていきます。

(もちろん高級食材と呼ばれるものも、世の中にはありますが)

皆さんが使う食品は、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで購入することが多いかと思います。この場合、価格に対して強い主導権を持つのは、メーカー側ではなく、スーパーやコンビニなどの販売店側なんです。

仮に食品メーカーが「値上げをしたい」と思っても、販売店側が「値上げするなら置かない、他のメーカーの品を置く」と言われてしまうので、食品メーカーはなかなか値上げしにくい、そうすると自らの利益を削ってでも、現状の販売価格を維持しようとします。

これが自動車やスマホだと、メーカー側が比較的強い主導権を持っています。「iPhoneが値上げするから、DoCoMoがiPhoneの取り扱いをやめる」「アクアが値上げするから、ネッツトヨタがアクアの取り扱いをやめる」なんてことはないです。

経営者と従業員の馴れ合い経営

私の勤めていた食品会社は、カリスマ的な創設者が強力なリーダーシップを発揮することで、今日の地位を築いてきました。会社の規模を大きくしていく中でも「会社は家族」といった思いで、経営を続けてきたようです。

(そんな食品会社は割と多い印象があります。)

「従業員は家族」というのは一見すると良い言葉に見えるのですが、ともすると「経営者と従業員の馴れ合い」になりかねないとも思います。

創設者の頃は「会社は家族 (だから従業員を大切にしなければならない)」という考えだったのが、サラリーマン社長が後を継いでいくごとに「会社は家族 (なのだから従業員は経営者のため耐えるべき)」というように、都合よく言葉がねじ曲げられてしまったように感じました。

従業員のサイドにも問題はあります。終身雇用+バブル景気を乗り越えて十分に給与が上がったベテラン従業員にあっては「会社の危機にあっては、給料が上がらなくても良いから、みんなでこの状況を耐え忍ぼう」と思っている人が少なくないのです。

経営者と従業員のサイドがこのような状況なので、原資材の高騰 + 販売価格が上げられない、という状況であっても、なかなか給料を上げる方向にはたらかないのです。結局割りを食うのは、これから給料が上がるはずだった中堅~若手社員ばかりになってしまうのです。

参入障壁が低く、替えもきく

「街のパン屋さん」は見かけるかもしれませんが、「街の自動車メーカー」や「街のスマメーカー」というのは見かけることはありません。

巨大な食品会社もありますが、食品業界というのは自動車やスマホに比べれば、参入障壁が低い業界です。

食品業界を志望する学生さんがよくお話しする「食べものは人の生活に不可欠」という言葉ですが、ある特定の食品会社に関して言えば、人の生活に不可欠なんてことは全くありません。そこがつぶれれば、また新しい食品会社がすぐに参入してくるだけです。

私は食品会社の時代に「供給責任」という言葉をよく耳にしました。しかし、この場合の「供給責任」というのは、「人の生活に必須のものを届ける責任」ではなくて、「供給(食品メーカー)サイドのメンツを保つ」場合がほとんどです。大概の食品が、他のメーカー品ですぐに代替できるんです。

代替できる = 商品そのものに差はないため価格競争になる、といった状況になり、メーカーの利益が圧迫されて、従業の給料が上がらない構造になっているのです。

まとめ:食品会社の給料は訳があって低い

今回は、食品会社の給料が上がらないわけを、私が勤めていた企業をベースにお話ししました。

もちろん世の中には給料が高い食品会社もありますが、食品会社に入って「こんなはずじゃなかった」と思う人が少なくなればと思っています。

また、仕事は給料だけが選択する条件じゃないのも、念の為付け加えておきます。


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