見出し画像

Culture|フィンランドのカルチャーガイド 〈07. レイトサマーミュージック〉

フィンランドカルチャーにまつわるあれこれを、シンガーソングライターのゆいにしおさんが独自の視点でご紹介。今回のテーマは、夏の終わりに聞きたいフィンランドミュージック。ゆいさんおすすめの曲を、ジャズやポップ、ピアノ音楽と幅広いジャンルからセレクトしていただきました。お気に入りの一曲をぜひ見つけてくださいね!

日が短くなり、夏も終わりに近づいてきましたね。少しずつひんやりとしていく風を感じながら聴きたい、フィンランドの音楽をお届けします。ゆっくり音楽を楽しみながら、夏の疲れを癒してみませんか。


1. Bolly Beat - Jukka Eskola

〈〈 上質なノルディックジャズは、ONもOFFも合う! 〉〉

画像7

以前お送りしたコラムでも紹介した、JUKKA ESKOLA SOUL TRIO(ユッカ・エスコラ ソウル・トリオ)のトランペット奏者、ユッカ・エスコラ。彼が率いるボサノヴァ・プロジェクト、Jukka Eskola Orquesta Bossaからのナンバーです。イントロからリラックス感たっぷりで、ボサノヴァのリズムに移行していきます。トランペットの音色も丸く優しい印象で、休日のリラックスした時間や作業中にもぴったり。

アルバム「Jukka Eskola Orquesta Bossa」に収録されており、他の曲ではストリングスやフルートなど、さまざまな楽器の音も楽しめるので、ぜひ全編通してお聴きください。

〈 プロフィール 〉image1のコピーJukka Eskola(ユッカ・エスコラ/1978~):フィンランドのジャズ・トランペット奏者・アレンジャー・プロデューサー。兄の影響を受けて9歳の時からトランペットを始める。シベリウス音楽院を卒業後、プロとしての活動をスタート。自身のソロアルバム「Jukka Eskola」が特に日本のクラブジャズ・シーンでヒットした。ニュースピリット・ヘルシンキや、ランペラ×エスコラなど、多くのユニットでの活動も行なうなど、欧州を代表するトランぺット奏者の一人としてシーンを牽引し続けている。

image0のコピー

Sit Back and Relax - Joel Remmel Trio, jukka
Eskalation

エストニアのジャズピアニスト、Joel Remmel(ジョエル・レンメル)を筆頭に結成されたJoel Remmel Trioのアルバム「PUHKUS」より、ユッカ・エスコラがフューチャリングしたナンバーがこちら。

曲名の通り、ゆっくりとソファに腰掛けてくつろぎたくなる曲調が魅力です。バランスよく豊かなトリオ編成と、ユッカのトランペットが伸びやかに混ざり合います。現代ジャズとはいえ、とても聴きやすくジャズに馴染みのない方にもおすすめ。ノルディックジャズの魅力が光る、おうち時間のお供にしたい必聴盤です。


2. 金魚草 — Jean Sibelius

〈〈 夏の名残を感じさせる、涼し気な曲調 〉〉

シベリウス2

一瞬「金魚の曲?」と思ってしまったこの曲名。金魚草という花をイメージした曲なんです(金魚草はフリルがかわいらしい花で、金魚が口をぱくぱくと動かす姿に見えることから名付けられたそう)。涼感たっぷりの曲調のなか、時にドラマチックな表情を見せるこの曲を聴くと、遠い夏休みの記憶が引き出されるようです。

〈 プロフィール 〉image2のコピーJean Sibelius(ジャン・シベリウス/1865~1957):フィンランドで最も偉大と広く認められる作曲家であり、ヴァイオリニスト。彼の誕生日12月8日は、フィンランドの国旗掲揚日とされるほど。作曲・教育・指揮・演奏と積極的な音楽活動を行いながらも、毎晩のようにお酒を飲みながら豪快に議論し合う、といった日々を過ごしていたそう。晩年は家族とともに、都会の喧騒から離れ、平穏な田舎暮らしへとライフスタイルを変化。シベリウスの作風にも大きな影響を与えたと言われている。

image0のコピー

樅の木 - Jean Sibelius

「樹木の組曲」という小品集からの1曲です。ひんやりとした空気感漂うこの曲は、どちらかというと秋の始まりにおすすめ。私自身、シベリウスの楽曲を演奏したことが何度もありますが、遠いフィンランドへ想いを馳せながら演奏したことを思い出します。シベリウスの楽曲は作品の隅々にまで、自然の風景が豊かに描かれていると感じます。


3. Sabotage - Chase

〈〈 日本の歌謡曲にも通じる、切ないメロディーライン 〉〉

画像5

フィンランドのポップスは、どこか切ないメロディーの曲が多いと思うのですが、この曲はとくに際立って切ないのです。「エモい」というよりは日本の昭和歌謡に通ずるような、メロディックで抒情的な雰囲気が漂います。ほとんどがモノクロ映像のミュージックビデオも特徴的。モノクロでありながら彼女のファッションセンスが溢れ出すよう。こちらも必見です!

〈 プロフィール 〉image3のコピーChisu(キス/1982~):フィンランドのポップ歌手、シンガーソングライター、プロデューサー。創作活動の一方で、様々なアーティストに楽曲を提供するなど、フィンランドの音楽シーンの最前線でも活躍し、近年フィンランドで最も成功したアーティスト」とも言われている。本格的な音楽活動の前には衣料品店で働いていたようで、オリジナリティー溢れるファッションスタイルは注目の的!プライベートでは、6歳の娘の子育てに奮闘するワーキングマザーでもある。Instagram:chisuofficial

image0のコピー

Kohtalon oma - Chisu

リズムを刻むシンセサイザーの音が特徴的で、80年代のポップミュージックのよう。Sabotageよりも比較的アップテンポな曲で、彼女の音楽性の幅広さを感じさせます。スーパーマーケットが舞台のミュージックビデオもユニーク!ぜひチェックしてみてくださいね。


紹介楽曲のプレイリスト / Spotify

スクリーンショット 2021-04-23 14.33.07

instagram:@_yuinishio_
twitter:@_yuinishio_