見出し画像

【考察】常識という名の思考停止の作り方。本当は怖いOrthodox (オーソドックス)の話。

こんにちは、語学の裏設定のゆうです。

この世に存在するあらゆる物、考え方は「被創造物」であるなら、その裏には「創造者」が隠れています。今日は3つの英単語を見ることで、私達が普段見たり聞いたりする「当たり前」はどの様にしてできたのかを見ていきましょう。

ついでに英語の勉強にもなったりします。



1.本当は怖い、オーソドックス

・オーソドックスなドレス
・オーソドックスなスタイル
・オーソドックスな習い事と言えば英語だ

オーソドックスとは簡単に言えば、「定番」。

もうちょっと詳細を足して説明すれば、社会の中で幅広く「当然」だと認められているやり方を表す時に使いますよね。

しかしそんな「定番」はどのようにして作られたのでしょう?


それを解き明かすために、まずorthodoxの語源を見てまいりましょう。それが、こちら!

画像1


そして、Doxの元になっているのはギリシア語の「ドクサ」という単語です。

画像3

この2つを組み合わせると見えてくること、、、

曖昧な思い込みも、Orthodox (定番)とされてしまうことがある。

という怖い話なのです。
では誰によってか?というと、裏の主人公「大衆」です。

何が正しい、正しくないを決めるのは、大衆という「多数派」で、もし大衆が曖昧な思い込みを正しいと認識すれば、それは正しいことになってしまう。

そんな警鐘がorthodoxという単語の由来を見ると聞こえてきませんか?

そのメカニズムは下の通りで、鍵は「ビジュアル」です。

画像3

人間誰しも楽をしたいものです。苦労してやっと得られる精度の高い知識よりも、パッと目で見て分かるビジュアルの方を追ったほうが心理的負担は低いと言うもの。


毒+草と読み間違えそうなドクサなので庭に例えてみましょう。苦労してやっと得られるのが知識が手塩を掛けて育てている野菜ならば、ドクサはそこに生い茂り、為になる野菜をダメにする雑草です。大事な家庭菜園が、ポケモンのナゾノクサ大群に襲われて破壊されている様子が脳裏に浮かんできます。

さて、もしそれが家の庭ではなく、社会という箱庭だったら?

いつの時代でも、精度の高い「知識」は「大衆のドクサ」にかき消されてしまうものです。

そんなのではダメだ!と声を上げたのが2000年前の賢者ソクラテスだったりします。

画像4

が、そんな彼の正論も、大衆の支持するOrthodoxによってかき消され、結果民衆裁判に掛けられ殺されることになります。

お気づきですか?

真の支配者は大衆の声を裏で操る、メディアです。
ありとあらゆるビジュアル垂れ流しにしていますからね。

と見せかけて真の支配者はそのメディアを裏で掌握する人物です。
誰でしょう?考えてみましょう。

皆さんが普段見ているYoutube、画像、広告、ニュース、本当に大丈夫ですか?

と、コテコテのOrthodox批判をしてから単語の使い方を学んでいきましょう。

画像5


そう言えばorthodoxには「正教会の」という意味もあります。キリスト教には大きく分けて、「ギリシア正教会」と「ローマカトリック教会」という2つの流派があり、宗教的なコンテクストでは前者の「ギリシア正教会」をOrthodoxと呼んでいます。なぜかと言うと、昔人々が「ギリシア正教会」の方が正しいから!と定め、後代まで皆そう信じてきたからです。

Orthoxの話を終え、Traditionalの話に移る前に、Orthodoxの対義語「エピステーメー」のお話をしておきましょう。

画像6

ドクサがビジュアルなどの「単なる知覚的認識」を通して得られた理解であるのに対して、エピステーメーは「確かな理性的認識」を通して得られた理解のことです。

人魂を見てお化けだと言うのはドクサです。なぜなら人魂の本当の正体はリンだからです。後者の認識ができる人のことをエピステーメーができる人であると言えるでしょう。



2.後世に残したいという情熱、Traditional

Traditional (伝統的な)という単語を今度は見ていきましょう。

画像7

何に渡って与えるかというと、

次の世代に渡って与えるのがTraditionalなのです。


それにしても、なぜdiで与えるという意味になるのか?

こういうのは英語という枠を超えて考えると分かりやすいです。

画像8

スペイン語はラテン語がベースですが、英語の多くの語彙もまたラテン語から来ております。ゆえに、英語の単語のルーツを考える時スペイン語の方をチラリと見てみると点と点が繋がるような理解ができます。

英語の勉強をしていると、ついつい視野が英語だけにとらわれがちですが、世界の言語はお互いに何かしらの形で繋がっています。だから、視野を広く持って勉強するほど言語の勉強は楽しくなってくるのです。

TransはTranslate (翻訳する)という単語に見られるように、言語と言語の「橋渡し」をしますよね。といったところから、Tra=渡って、も容易に納得が行くと思います。

ゆえに、Traditionalの意味の核を成しているのは、「後世に残したい!」という気持ちであると。そんな強い気持ちであると。

それではTraditionalの使い方を見ていきましょう。

画像9

ちなみに、名詞形のTraditionになると「伝統」という意味になります。

The tradition of Japanで日本の伝統という意味です。

よく質問されるのが、Custom 、Tradition、Habitの違いです。

簡単にまとめると下の通り

Habit:一個人の習慣。朝早く起きるなど。
Tradition:大昔から始まったことで、その裏に哲学や濃い思想がある。
Custom:昔から続いていればとりあえずCustomだと言える。

この比較からも、Traditionの裏には強い「気持ち」が見え隠れしていますよね。

日本なら、茶道や着物はTraditionだと言えます。会釈とか食べる前にいただきますと言うことは、むしろCustomでしょう。



3.Conventional「話し合って残そう」

続いてConventionalを見ていきましょう。

画像10

共に来る、その結果人は集まり、そこでは話し合いが起こります。

話し合い系の単語も、「con」を持っていますよね。

Confer (話し合う)
Conference (会議)
Convene (招集する)


みんなで集まって、民主主義的に「あれは残そう」「これは残さない」と話し合っている様子が頭に浮かびます。

ところで、なぜVeneは「来る」なのか?

この答えもスペイン語に目を当てればすぐに分かります。

画像11


英語を勉強する時は、英語という狭い世界観に留まってはいけないのです。

グローバル化?

世界中のみんなを英語という檻に閉じ込ようとする工作です。

むしろグローバル化の結果、世界は狭くなったと言えるでしょう。

それではConventionの使い方を最後に。


画像12


Conventional oven (従来のオーブン)って何?と思った方。

電子レンジを英語で言うとMicrowave Ovenなのですが、マイクロ波という新式の加熱方式ではなく、従来の火を使った加熱方式をする、という対比をしたい時にconventional ovenという単語は使われます。食品科学科の実験で良く使われる言葉で、なんだか学生時代の頃が懐かしく思えます。


書き手がどんな人か気になる方はプロフィール記事をどうぞ。


最後までお読み頂きありがとうございました!

Traditional、Conventional、Orthodoxの違いは掴めたでしょうか?

それではまた次の記事でお会いしましょう!




1言語1人格。語学だけで終わらない語学の学習を始めとして、留学・海外生活について投稿しています。フォローしていただくと、語学の勉強が楽しくなります。