マガジンのカバー画像

羊角の蛇神像 私の中学生日記

21
すこし特殊な中学生時代の思い出
運営しているクリエイター

#保護観察

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑮

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑮

ぼくは窓ガラスを破る私たちの寮に、不穏な空気が立ち込めていた。

Aくんは私のことをひどく憎んでいるようだった。
私の一挙一動に感じる彼の苛立ちは、ヒリヒリとした重い空気として私に伝わるのだった。
厳しく詰め寄るようなこともあった。

寮には居室が3つあった。6畳か8畳ほどの和室の、1番手前が私の部屋だった。
奥の部屋ほど寮長先生たち家族の居住スペースは遠くなる。

先輩たちが奥の部屋に集まって、

もっとみる
羊角の蛇神像 私の中学生日記⑭

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑭

人の尿を浴びるAくんは、数日後に再び無断外出をして、寮はまた私ひとりになった。
程なくBくんという3年生が戻ってきた。

Bくんは、かわいい人だった。
いつも悪戯をしたり、冗談を言っては、周囲を和ませる優しい人だった。

鑑別所に入るような悪事に手を染めた彼らだったが、友人として関わっていると、皆それぞれに良い所があった。
外の世界では、私たちは全く別の属性の子どもたちだった。
盗んだバイクを改造

もっとみる
羊角の蛇神像 私の中学生日記⑬

羊角の蛇神像 私の中学生日記⑬

私がまじめであるなら、地域の学校へ毎日通っている子どもたちはどんなに優秀だろう。学校へ普通に通い、多少の人間関係の軋轢やつらいことがあっても、当たり前に学校へ行ける子どもたちがどんなに偉く尊いか。
私のような落伍者がまじめであろうはずがなかった。

煙草と黒い犬しかし、学園の子どもたちの多くが、手のつけられない不良だったということを、徐々に私は理解した。

煙草を吸う。
シンナーを吸う。
カツアゲ

もっとみる