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「合理主義」の神話

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科学は合理的に進歩した、合理的に考えれば間違うことは無い、などの「合理主義」の神話をまとめています。
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#生成AI

なぜ議論は混乱するのか それは二つのものが同じか違うかの判断が難しいから

有名なアネクドートに次のようなものがあります。

ソ連は言論の自由をまったく理解してねぇなハッハッハというジョークですが、ちょっと考えてください。なぜこれが「ジョーク」になるんでしょう。上記のセリフで「アメリカ大統領を批判」という行為はまったく同じです。アメリカでもソ連でもアメリカ大統領を批判することはできる。なのになぜ前者は言論の自由がある証拠になり後者はならないんですか? おかしくないですか?

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こうして自由主義世界は終わる? 「経済的自由」が専制と化す時

いかにもセンセーショナルなタイトルが付けられているが、本書の中のシミュレーションでは人類が滅亡することも文明が崩壊することも無い。内容は、原題と同じく西洋文明──というより西洋の自由主義思想が壊滅するという話だ、地球温暖化を放置した場合。

「生成AI」とはまったく関係ない、ハズなのだが、同じくまったく関係ないハズの煙草業界が起こしたことと共通した問題が描かれている。すなわち、「顧客が求めているか

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「お気持ち」は軽視してもいいのか? ~法的な保護・経済的根拠・合理性の源泉~

「お気持ち」は軽視してもいいのか? ~法的な保護・経済的根拠・合理性の源泉~

フォロワー数万以上のイラストレーターの本垢からのいいね(RTではなく)も一部あるので多分本物だと思いますが、「生成AI」についてツイートすると「生成AIに悩まされている絵描きのサブ垢」からいいね/RTされることがよくあります。つまり「生成AI」に対して不満を言う、いわゆる「お気持ち表明」すると「AI絵師」から総攻撃を受けるからサブ垢を作り関連ツイートをいいね/RTせざるを得ない、と。

上記記事等

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【ネタバレ】ななせ悠『続く道 花の跡』は「名も無き人々に紡がれた歴史」ではなく「歴史を紡ぎながら忘却された人々」を描いた作品である

【ネタバレ】ななせ悠『続く道 花の跡』は「名も無き人々に紡がれた歴史」ではなく「歴史を紡ぎながら忘却された人々」を描いた作品である

既にITmedia NEWSなどでも解説されているように、これは日本初のコンピュータ「FUJIC」の史実に基づいた作品である。
ラスト2ページはこのように締めくくられる。

「新しい技術によって無くなった職業(計算手)はもう誰も知らない」と語られる。

そして「そこにいた誰かのこと」も忘れられると語られるが、ここには論理的飛躍がある。何故なら新技術によって職業が無くなることとそれに携わってた人が忘

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