お仕事小説!まどうのほし🪐࿐✩.*˚①
🖥 ⌨️🖱〜国武美香の近況報告 事変〜🖥 ⌨️🖱
働き始めて、8年は過ぎた。
転職は、1度はした。
大学の学部を選んだ時とは、全く違う関連の仕事に就き、Webデザインの仕事に従事するようになった。
表舞台で活動するなどは全く考えていなくて、そういった場の制作に関わり始めて、今の仕事にたどり着いた気もする。
今考えてみると、制作していくことで皆とコミュニケーションがとれ、その達成感の虜(とりこ)になっていたのだ。
映像や画像の配置を変えたり、エフェクトを変えるだけで人目に付くようになり、新しいものに生まれ変わる。
見やすい、分かりやすいだけでなく、美とはなんだろう。
人の心を動かすものはなんだろうと、思いを巡らす事も楽しい。
楽しい。
楽しかったのだ。
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え、なにこれ。
いつものようにPCで仕事をしていたら、線がぐにゃ〜っと曲がっていった。
曲がって見えるだけなら、まだ良かったのだが、同時に底知れぬ恐怖も襲ってきた。
涙で前が滲んだ。
余計にPCの画面全て曲がっていった。
私、壊れていってる、、?
すぐに、心療内科に駆け込んだ。
「こんにちは、国武美香(くにたけみか)さん。
31歳、女性ですね。
どういった症状ですか?」
「最近眠れていますか?」
「いえ、あまり」
「食欲は?」
「あまりなくて」
そういや4キロ痩せた。
なんだか食べるのも、面倒で。
何かしたって訳じゃないけれど、仕事が終わらなかったり、そのままスッキリ寝たいのだけれども、また朝が来るのだ。
仕事をするのだと思うと、寝れなかったり、休もうとするタイミングで、「至急!」などといって、連絡が来たりするのだ。
今務めている会社はベンチャー企業で、社員も10人もいない。
所謂ベンチャースピリットに惚れて、転職を決意した。
前職も労働環境は過酷であったのだけれども、なんだかんだ忙しくして、自分を追い詰めることが好きなのだ。
職場の環境が整備されていないことも理解していた。
自分を高めてみたい。
そして周りにもいい影響を与えて、高め合いたい。そう思っていたのだ。
でもその熱意も、涙と共に流れ落ちていった気がする。
頑張ってきたんだけどな、頑張りたいのに。
ぽつぽつと話していたら、病院から診断書と薬と、休職を促された。
診断が出て正直、ほっとした。
休みたかったんだ、私。と、心から思った。
今の業務は1人で行っていて、一任されている。
営業が仕事を取ってきた!と、送られてくる連絡はあるけれど、どう仕上げればいいのか具体的なことは聞かされず、どう交渉したかも分からず、納期は近々でいつも急ぎ。
慌てて仕上げたものを渡すと、
「なんか違うんだよね!もっと、こう!かっこよく!!!!ばーーーーーーーーんって!」
と言われる。
あとずっと思っていたが、渡したものを顧客に引き渡すのを忘れていたり、それをこちらの制作が遅れたせいであると話していたり、貰った案件をこちらに渡すのを忘れていたりしている。
営業側の人間とコミュニケーションが成り立たず、一方的に投げつけられているのだ。
見かねて、直接私が顧客と交渉をしようとすると
「営業の俺と話がついているんだから、勝手に出てくるな」
と怒ってくる。
本当に、どんな交渉したのだか。と疑問も湧き出てくるが。
仕事を持ってきたら、万人受けのいいものを私が勝手に作り出すと思っているのだろうか。
そんなこと出来たら楽だし、割り切れたらいいのだろうけど。
前職みたいにみんなでああでもない、こうでもないと言いながら、話し合いながら進めれる環境って恵まれていたんだなと離れてみて、しみじみ思った。
12話完結です!ずっと同じ人物のお話ですので、順を追って読んでみてください🙇♀️
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