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ブックレビュー「クロマトピア -色の世界-」

クロマトピア―色の世界― 写真で巡る色彩と顔料の歴史 – 2020/9/8
デヴィッド・コールズ (著), エイドリアン・ランダー (写真), 井原 恵子 (翻訳)

2023年、最初に本屋で出会った。何を買うか決めずにぷらっと入り、美術コーナーで色関係の本を5−6冊ぱらぱらっと見た中で、これに決めた。

家に帰って1ページ読んだ時点で、これはものすごい良著だ!と確信(自分の選書眼に、自画自賛)。顔料の歴史、素材(鉱物や樹脂、虫に始まり化学物質まで)、それらを使用した芸術家などのストーリーが、この上もなく美しい写真とともにおさめられている色の図鑑。この本それ自体がアート。

著者は絵具メーカー・ラングリッジ社を自ら立ち上げ、色と向き合い続けてきた方。原材料を粉砕する道具を買って工房を作っていった話も興味深い。

本の帯(後ろ側)の言葉。ここに、魅かれる要素が全部詰まっている。壮大なファンタジー物語のよう!

古代から現代に至る、ドラゴンと昆虫、錬金術と毒薬、奴隷と海賊の物語が
いま、幕を開ける。

クロマトピア ー色の世界ー デヴィッド・コールズ著,グラフィック社  帯(裏面)より

グラフィック社のサイトで数ページ試し読みができるので、是非。

ところで、この本は日本語訳が非常に良い。端正で美しく、余分なものがない。翻訳した井原恵子さんについて調べてみたところ「東京芸術大学卒、デザインリサーチおよびデザイン関連の書籍や記事にかかわる企画編集・翻訳・執筆などを手掛ける」とのこと。納得!!!

著者・写真家・翻訳家それぞれの仕事の素晴らしさが隅々まで感じられる。新年早々、こんな素敵な本に出会えて幸先がよい* ここ数年、毎年記事にしている1年間のベスト10 or 15(2023)に絶対入ると思う。


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