見出し画像

真の豊かさの向上を目指し、未来を創るリビングラボのあり方

昨今イノベーションが起こる場としての文脈で話題になることが多い「リビングラボ」ですが、多様なステークホルダーが関わるその特徴から誰の目線で地域におけるリビングラボのメリットが語られているのか、リビングラボ活動を通して地域にどんなインパクトやシステムチェンジをもたらしていくのかが分かりにくくなっています。
地域に住む・関わる人々の真の豊かさの向上を目指す上で、リビングラボの活動は行政や企業だけが主体者であってはいけません。地域を思って風土を守る・作る人たちが積極的に議論や活動をリードしなければならず、逆にこの状態を作ることができたリビングラボは一つの成功モデルと言えるでしょう。この記事ではNozomi & Societyが追求している”そこに住む・関わる人”にとって良い未来を創るリビングラボとはどうあるべきかについて解説していきたいと思います。


地域の個性が生きるリビングラボ

地域というフィールドでリビングラボを構築する以上、地域の個性を無視した活動を行うことはできません。働き盛りの若手が多いベッドタウンとしての機能を持つ地域だったり、ベッドタウンとしての役目を終えて人口減少・少子高齢化が進み社会システムの再構築が求められている地域だったり、歴史と誇りが根付いた地域だったりと広義の地域における役割と特性は様々です。地域の個性によって行うべき・行うことができるまちづくりのアプローチは異なるため、未来においてどのような役割を担うべき地域なのかをしっかりと見定めることが重要です。

思いを持って住む・関わる人がいるコミュニティ

リビングラボの構築は、地域の未来を思って住む・関わる人が集うコミュニティを形成することから始まります。行政や企業の予算や計画が先に走ってリビングラボの構築を進めることは成功の近道とは言えません。彼らが集まるコミュニティがなければ5年・10年先を見据えたリビングラボ活動を行うことはできません。思いを持って住む・関わる人が集うコミュニティからは必ず骨太なビジョン・テーマ・コンセプトが生まれてきます。また、横軸での働きかけが必ず必要となるシステムレベルでの変革も彼らの存在があれば、小さな変化から徐々に大きなインパクトに波及していくでしょう。

自社事業としての活動

リビングラボはその特性上、行政や企業からのスポンサーがあって活動が始まることが多いです。その場合、行政や企業の目的の達成に貢献しつつ、リビングラボとして実現したいことを同時に行う必要があります。時にはスポンサーの意向によりリビングラボとしての活動路線が変更してしまったりリビングラボ自体の活動にリソースを十分に避けなかったりしてしまいます。
リビングラボの活動を持続的かつ地域の5年・10年後の未来を見据えたものにするには、地域に根差し、地域を育て、地域のアセットを循環させる活動の核となる事業を立ち上げる必要があります。その事業は特定の場所を活用し、地域に住んでいる・関わっている人たちによって運営され、地域に関わる人を増やし、アウトプット・アウトカムが地域に効果的に還元されるものである必要があります。これは横軸での事業開発としてのスキルが必要となり、立ち上げまでも時間がかかるものになるでしょう。

エコシステムのリジェネレーションが起きるリビングラボ

これまで地域のエコシステムにおける各機能を構成していた自治会や商店会、NPOなどのコミュニティは役員高齢化や新規加入者の減少により担い手不足に陥っており、その存続が危ぶまれています。コミュニティの担い手が不足してくると、地域の見守りや助け合い、生活空間の防犯や非常時の対応などの防災機能が低下してしまうなど様々な問題が生じてしまいます。リビングラボはこれらのコミュニティの再構築とそれらを有機的に結びなおす役目を果たすことができます。

コミュニティの機能を再構築

コミュニティの高齢化や新規加入者数減少の原因は、長年運営してきた年功序列が今となっては受け入れられにくいという点もありますが、コミュニティ活動に参加する楽しさや困ったときの助け合いなどの必要性があまり感じられていないことに原因があると考えています。
ご近所付き合い・地域活動は面倒くさいものであるという風潮が現代にはありますが、地域の風土を最前線で作っていく大切な活動です。地域を思って活動する人がいる限り地域の大切なものは保存されていきます。リビングラボは思いを持った人が集まり、思いが乗ったビジョン・テーマ・コンセプトが設定されるので、地域コミュニティが5年後10年後に向けて担うべき役割(機能)も明らかとなり再構築のきっかけに繋がります。

人間中心設計

地域開発というと、駅やビルなどの大規模な開発に目をむけてしまいがちですが、地域に住む・関わる人の真の豊かさの向上を目指す上で本当に必要なものや仕掛けはなにかについて私たちは改めて考え直さなければなりません。産官学ではなく、生活者である民がしっかりと地域における議論の最前線に立たなければなりません。

生活の主体

人間中心というとコンパクトシティやウォーカブルシティなどハード面での新しい都市設計をイメージしがちですが、生活の主体を真に私たちが取り戻すためには、自分の身近にある豊かさについて再認識しなければなりません。それは目に見えない文化資本だったり関係資本だったりなど、誰かが作った箱モノの中で満足するのではなく、先人たちが積み上げてきた地域の資産に本気で向き合い、未来を見据えて私たちが新たに作り上げていかなければなりません。

さいごに

ここまでお読みいただきありがとうございました。
多様なバックグラウンドを持った人が集まるリビングラボは地域におけるシステムレベルでの変革を生むプラットフォームになる可能性を秘めています。
しかし、地域に根差したリビングラボを構築するのであれば、リビングラボという言葉を先行して用いるのは避けておいた方がよいかもしれません。リビングラボという言葉の抽象性は現場で起こっていること理解や実際行っていく施策の煮詰まりの深さを参加者が追求する時の足枷になる可能性があります。まずは、一般的な課題を並べ解決方法やテーマを当てはめるのではなく、地域らしさを調査することから始めてはいかがでしょうか?

Nozomi&Societyの決意

Nozomi&Societyは地域軸・社会軸での事業開発・プロジェクトマネジメントを行っています。地域というフィールドに根差し、地域を育て、地域のアセットを循環させる事業を創出し、システムレベルでの社会変革を実現します。
企業・自治体・地域団体・市民問わず、真に地域を良くすることに賛同いただける方はぜひご連絡くださいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?