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救急車の中で世界一誠実だった夫の話

突然ですが、救急車のお世話になったことありますか?
私の人生初めての救急車は、急性胃腸炎で脱水を引き起こした時である。

救急車の車内で、救急隊員が付き添いの夫にあれこれと質問をしていた。
私の名前とか、年齢とか、症状や経緯など。

私は意識朦朧としていてた。
車内に搭載されているたくさんの医療機器が様々な音を出していたのを覚えている。

シリアスな雰囲気。受け入れ先を探す救急隊員の声。
止まない吐き気、浅く早い呼吸。
医療ドラマみたいだ…
薄れゆく意識の中、私はそんなことをぼ~っと思っていたように思う。

緊迫した空気の中、救急隊員の方が夫に質問をした。
「旦那さん!!奥さんの体型についてですが、奥さんはもともとこんなに細いですか!?」
間髪入れずに夫は妙にキリッと力強く答えた。
「あ!いえ。妻は上半身は細いですが、下半身は太いです!(迫真)」

これはまぼろしであろうか。
夫の声が遠くに聞こえた。


結局私は病院に搬送された後そのまま人生初の入院と相成った。
無事退院した後日、私は夫を問い詰めた。
「なんであんな意味不明な訂正したの?!」
夫はしどろもどろで言った。
「いや…だって誤診とかされないように救急隊員の皆さんに出来るだけ正確な情報を伝えなきゃと思って…」

なんと誠実・正直・真面目な夫なのだ。

救急車の中で、愛する妻の一大事に、この上なく誠実であろうとした夫の物語であった。

あの時の救急隊員さん教えて下さい。
私の「上半身に比べて下半身が太い」という情報、なにかのお役に立ちましたか…?




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