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駆除された獣達の命を「山と人を繋ぐ革製品」に変えて岩手の精神性を次世代に届けたい

岩手では年間約20,000頭もの鹿が駆除され、その殆どが廃棄されています。未来の子供達が自然と共に生きる暮らしを残していくために、先人達が当たり前にしていた自然への感謝と畏敬の気持ちを今一度見直すことが大切だと考えます。駆除された鹿皮で商品を作り、心と経済の循環の輪を広げるプロジェクトを始めます。

2022年5月25日 10:00〜 クラウドファンディング開始

自然と共に生きることは、特別なことでもなく当たり前のこと。
プロジェクトを進めていく中で、岩手に生きた先輩たちから沢山教えてもらいました。

本当はすごく簡単なことが、とても難しくなっている今、あえて立ち止まって山と人の今までとこれからを深く考えてみたいと思います。

自然と共に生きることは、実はとても簡単なこと。
自分たちの子供の代には、緩やかな空気と時間が山と人の間に流れていて欲しい。

そんな願いを込めてプロジェクトを始めます。

プロジェクトを立ち上げた人

このプロジェクトは、私の弟であり京屋染物店の中心的存在である蜂谷淳平の思いから始まりました。
私と弟は岩手県の染物屋の息子として生まれました。京屋染物店は創業から現在に至るまで、祭り衣装や郷土芸能衣装制作を通し、地域の祭りを支える仕事を生業にしているので、私たちは幼少期から岩手の豊かな自然の中で遊び育ち、地域の祭りに触れてきました。
そして、今では、地域の祭り、郷土芸能の担い手として未来に伝統を繋ぐ一員になっています。

また、淳平は幼い頃から野生児と言われるくらい、自然が大好きな子供でした。昔から釣りも大好きで、地元の釣り好きのおじさん達に川、湖、海、に連れて行ってもらっていました。今でも彼は週末になると釣りに出掛けています。

そして、彼は猟師でもあります。
人里に降りて田畑を荒らす獣(猪や鹿)を捕らえます。里山に暮らす人々にとって、猟師は山と里の境界線を作り、山と里を守る役目でもあります。

自然の中で命を身近に感じている彼だからこそできるプロジェクトだと思います。

害獣駆除された鹿の皮のプロダクト

今回私たちがお届けするのは、岩手で害獣駆除された鹿の皮を使ったプロダクトです。
岩手県では今、鹿や猪による農作物や樹木の被害が深刻な状況です。
山の獣たちによる岩手県の農作物被害額は年間4億円以上となっており、その半数以上が鹿による被害です。(令和2年度、岩手県農林水産部調べ )
農家さんはせっかく育てた野菜が獣たちに食べられてしまい生活が困窮する事態になっており、農業をやめてしまう農家さんも増えている状況です。
山林でも若い苗木を鹿が食べられてしまい、林業でも深刻な問題になっています。

鹿が樹皮を食べた痕

害獣駆除という形で獣の生息数をコントロールする活動も積極的に行われ、岩手では年間約20,000頭以上の鹿が駆除されていますが、駆除された鹿の9割は利活用されず、焼却か埋葬という形で廃棄されています。(令和2年度、シカ管理検討委員会調べ

かつて鹿は地域の大切な資源だった

かつては貴重なタンパク源であった鹿は、地域の大切な資源でした。
里の人は山からの恵を頂き、暮らしの糧としてきました。
山への感謝や畏敬を大切にする暮らしが、雄大な岩手の自然を今に繋いできた見えざる根幹です。

今、山と里の距離感や関係性が難しい局面に来ています。
かつて神の遣いなどと呼ばれ重宝されていた鹿は、いつしか害獣と呼ばれるようになり駆除の対象となりました。

鹿は、頭数が増えすぎたため山に食べ物が無く、食べ物を求めて里に降りてきています。
当たり前の話かもしれないですが、悪さをしようと思って農作物を食べているわけではなく、必死に生きているだけなのです。

一方、農家さんにも自らの生活があり、生活の糧となる農作物を食べられてしまうと本当に困ってしまう状況です。
目の前で自分たちのお金を鹿が食べていたら、誰でも黙って見つめているわけにはいかないと思います。
農家さんもまた生きるために、致し方なく駆除をしているだけなのです。

鹿皮は身近な高級素材

「有害駆除された鹿の命を少しでも価値に変え、岩手が大切にしてきた精神性を身近な暮らしの傍で感じることができないか」と考えた時に、思いついたのが鹿の皮を使った商品化でした。

そこで岩手の暮らしと皮との関係性を今一度勉強しようと、さまざまなフィールドワークに出かけた時に目にしたのが、岩手に暮らしていたマタギの道具たちでした。

マタギは山の掟に従い、山の恵を頂き無駄なく活用する狩猟集団です。
皮の多くはマタギの防寒着や狩猟をする際に鉄砲の火薬を入れる火口入れ(ほぐちいれ)として活用されていました。何日も山に篭って狩猟をするマタギにとって、火薬は絶対に濡らしてはいけない商売道具。

火薬を濡らしてしまうことは仕事ができないことと同じです。身近にある最も丈夫で防水性が高い素材の皮を袋にし、大切なものを入れて生活の道具として持ち歩いていました。

また鹿の皮はとても柔らかく驚くほど手触りが良い素材で、山梨では印伝のような工芸品にも活用される高級素材です。
もったいないから活用するということだけではなく、素晴らしい素材が身近にたくさんあるので価値あるものを価値あるものとして活用したいというシンプルな想いがそこにはあります。

害獣駆除された鹿の命を価値に変え、岩手の山と人との間にある精神性を身近に感じられる商品として、自然を大切に思う方々へ届けます。

もっと詳しくお伝えしたい

山と里、人と獣の関係性、岩手の郷土芸能に宿る精神性、命の循環を当たり前に感じている暮らし、山からの頂き物への感謝。
このプロジェクトが沸き立った背景を詳しくご覧いただき、ぜひ、応援頂きたいです。よろしくお願いいたします。

詳しくはクラウドファンディングのサイトへ

https://camp-fire.jp/projects/view/570233


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