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娘の背中と、わたしの仕事

不定期マガジン「歩いて紡ぐ、日々・ことば」では、何気ない日常のなかでみつけた"忘れたくないもの"を切り取り、書き記していきます。

「みぃたと、にぃすけと、も~ちゃんが……」

冬休み2日目、娘(6歳)の独り言である。

「それ誰?」とわたしが問いかけると、「誰でもない想像の子ども達(照)」と娘。

「みんなめっちゃ良い名前やな!」と言うと(それぞれの呼び方のバランスが絶大に良いと心底思う)
「この子たちの絵本つくってみようかな」と娘。そこから、絵本作りが始まった。

わたしからは何も言わず、家事をしながら制作する彼女を見守る。
平仮名はひととおり書けるものの、難しいときもたまにある。

「お母さん、『おっきい』って書く時は、『お』の後に小さい『つ』を入れればいいの?」
「うん。『おっきい』ならそうやし、『おおきい』っていう書き方もあるね。どちらも同じ意味やけど、ちょっと感じ方が違うかな」
「うん。わたし的にはおっきいがいいわ。びっくりした感じするから」
「それならそっちがぴったりやね」

会話をしながら、これは執筆と編集の作業そのものだ……と思った。


私はライターの仕事をしている。
書いては消し、よりしっくりくる表現を何時間も探し、文章を書いていく。
時に取材に行き、話を聞いたことをまとめることもある。
PCに向かい、ああでもないこうでもないと何日も頭を捻る。
この仕事がわたしはたまらなく好きだ。

『おっきい』という言葉のニュアンスを感じ取り、選び、書き進める娘の姿は
まさに日々のわたしそのもの。

完成した8ページの絵本を見せ、満足そうに笑う彼女を見て
私もこうありたいと心底思う。
書き、編集する楽しさの源を見た気がした。

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