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京都・五山送り火「妙」に手を合わせご先祖様に想いを馳せる旅

京都では8月16日に五山送り火が行われます。

この記事は五山送り火を何度かご覧になられた方や京都の暮らしや先人たちが繋いでくれた大切なことに興味のある方に向けて書いています。

最近はテレビなどでも「大文字焼き」と言われるのを聞いて悲しくなります。
これは京都人あるあるだと言われますが。

送り火は山焼きではなくて、お盆の間に戻って来られたご先祖様の霊をあの世に送る宗教行事だからです。

私たちの子どもの頃は五山送り火を総称して「大文字」と呼んでいました。
大文字が過ぎると夏も終わり、夏休みも残り少なく感じてもの寂しくなったものです。

送り火としてどれだけ認識していたかはわかりませんが、子ども心にお祭りではないことは実感していました。

静かに眺める、そういう時間でした。

お客様を五山送り火にご案内する時もお精霊(しょらい)さんをあの世にお送りする行事なので、送り火に手を合わせてくださいとお伝えしています。

京都ではご先祖の霊のことをお精霊さんと言います。
そして、ご先祖様にお供えしたものもお精霊さんと言います。
お供え物(お精霊さん)を流す時(昔は川に流していましたが、今はお供え物を処分するための箱が8月17日の朝に普通ゴミとは別に用意されます)にもお精霊さんを流すと言います。

このような風習がずっと残ってくれますようにと願います。

お昼の時間帯に護摩木を納めました。
送り火で焚かれます。


今年は地下鉄松ヶ崎駅1番出入り口すぐのところで受付されていました。

護摩木の受付

今年も夕刻から五山送り火をご案内しました。
五山送り火は「大文字」「妙・法」「船形」「左大文字」「鳥居形」と順に点灯されます。

京都癒しの旅では毎年、「妙」を間近に拝みます。お経の一節である妙法の「妙」に手を合わせてご先祖様の霊をあの世へと静かにお送りする時を共有いただきたく案内しています。

間近で拝む「妙」


お客様も案内人も静かに手を合わせます。
今、ここに命があるということはそれぞれにご先祖様がいてくださったおかげです。
どうか、無事にあの世へお戻りください。

「妙」が点灯して5分後に船形が点きました。


西方向に「船形」

送り火がいつ頃始まり、誰が始めたのかは諸説あり、ハッキリしません。
以前は「一」や「蛇」という文字もあったそうです。

後付けと言われますが、
「大文字」のところにご先祖様の霊が集まり、「妙法」でお経を唱えながら「船」に乗り、振り返ると「大」が小さくなって(左大文字)いて、鳥居をくぐってあの世に帰られたという話。

極楽浄土が西にあると言われることからも、東から順に点灯することも納得です。

「妙」が消え、「船形」も薄くなったので、私たちは東に向かいまます。


涌泉寺である題目踊りを見るために。

涌泉寺本堂

題目踊りは日本で最古の盆踊りと言われ、今もなお受け継がれています。
松ヶ崎村民が天台宗から日蓮宗に改宗した鎌倉末期から。

公益財団法人松ヶ崎立正会(涌泉寺・妙圓寺のお檀家さんを中心に構成)がにて今年は本堂にて行われました。

お題目を唱えて
お揃いの浴衣にも妙法


それは静かな静かな題目踊りでした。

こうして、京都の夏が過ぎゆくのです。
ご先祖様があの世に戻られるのと、夏の終わりの寂しさに包まれてしんみりした気持ちになります。

五山送り火を京都で生まれ育った案内人が幼い頃からの暮らしにある形の送り火をご案内できることに、なんて有り難い仕事なのだと感謝しています。

まとめ

・五山送り火はご先祖様をあの世に送る行事である。
・お盆に戻って来られたご先祖様を送り火に手を合わせよう。
・「妙法」が消えた頃、涌泉寺では日本最古の盆踊りである題目踊りが行われる。
・五山送り火とともに、京都の夏が過ぎゆくのだ。

京都癒しの旅では京都に浸っていただき、先人たちに想いを馳せる、そんな時間も大切にしています。

京都のこと、京都の暮らし、日々感じたことをこれからもお伝えしていきます。

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