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辞書を製作する人が、言葉をうまく使えるとは限らない

しかし不器用でも、真剣な言葉こそが、胸に響く。

三浦しをん『舟を編む』、読了。

新しい辞書『大渡海』の出版に向けた長い長い旅の話。
辞書作りに向き合う様々な人たちの情熱や心模様が、文字を、言葉を通して伝わってくる。

主人公の馬締の不器用さが、愛おしい。

そして西岡さんの立ち位置が絶妙。

仕事とは、関わるすべての人の協力があってこそ成り立つもの。
2人の関係を見ていて、なんだかラーメンズの「器用で不器用な男と不器用で器用な男の話」を思い浮かべた。

そして松本先生のこの言葉。

言葉は、言葉を生みだす心は、権威や権力とはまったく無縁な、自由なものなのです。また、そうであらねばならない。自由な航海をするすべてのひとのために編まれた舟。『大渡海』がそういう辞書になるよう、ひきつづき気を引き締めてやっていきましょう

今日もnoteを書くひとは、言葉を紡ぐ。

その心を、やわらかく、かつ揺ぎなくに支えてくれる言葉である。


巻末特典の「馬締の恋文 全文公開」だけでも面白い。

これは「ラブレター」ではなく、

まさしく心からの想いをしたためた「恋文」である。(語感的に。)

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