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エッヒミッヒ森のお話

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エッヒミッヒ森を舞台に、魔女や動物たちのお話を覗くことができます
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記事一覧

エッヒミッヒ森へようこそ

〇ここは、エッヒミッヒ森の奥の奥。
ぺルータ峠からクルーオッシュの岩山を向きながら1000歩。
大きなリンゴのなる木を左手に曲がって500歩。
太陽の沈む方向に向かって200歩。
二本のナシの木がレオナート村の入り口です。

小さなライオンの子:「やあ、オオカミさん。」

オオカミ:「やあ、小さなライオンの子。」

小さなライオンの子:「昨日は滝のような雨でしたね。」

オオカミ:「そうさ酷い雨だ

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紅葉の手袋をした魔女より

ゴキゲンヨウ。

今夜は、特別な夜よ。

だから、アタシの好きなもののお話と、ちょっとだけ自慢話をさせてちょうだいね。

北の森に棲んでいるキツネ達は、木の葉の下に隠れた絹傘マッシュのためならなんだってするわ。

そのために狼にだって噛みつくくらいよ。

それと同じくらい、アタシは紅葉がとっても大好き。

朝おきると、まずアタシの家の窓を開けるんだけど、秋が近づいてくるとすぐにわかるわ。

夏の終

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北風のおじょうさんからのお手紙

今年も失礼しますわ。

ワタクシ、エッヒミッヒ森よりもはるかとおくの北からやってくる北風一族の末っ子でございます。

クルーオッシュの峠に向かう途中、エッヒミッヒ森に落っことしていった秋雲の子供たち怒ってないかしら。

あいつら怒りっぽくてイヤんなっちゃう。怒るとすぐにカミナリゴロゴロ...うるさいったらありゃしませんわ。

エッヒミッヒのみなさんには悪いことしちゃったけれど、ワタクシ急いで秋を知

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鍵しっぽの黒猫の歌

しっ!ネズミたちが
さわがしいぜ
俺様のヒゲがピンと立っているぜ
こんな夜は
俺様の爪がキラリと光る
用心しなよお嬢さん
俺様の爪は容赦ないぜ

おや、森の中で
だれか泣いてるぜ
俺様のしっぽがピンと立っているぜ
こんな寂しい夜は
俺様の目がキラリと光る
お膝をちょいと借りますぜ
今夜は綺麗な三日月でございやす
お嬢さんの胸にぽっかり空いてる穴
黒猫の俺様がすっぽり埋めてやるぜ
ほら、見た目は変わ

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エッヒミッヒのタイムカプセル

オオカミの娘「ココにも、もうじき大きな冬がくるわ。もしかしたら誰も目覚めることはないかも」

キツネの青年「うん、だけど不思議と落ち着いてるんだ。きっと、とおい昔にも同じようなことがあったんだ」

オオカミの娘「はあ・・・ふふっ。キツネさん、あなたってむつかしいことが好きなんだから」

キツネの青年「複雑ぶるのが好きなんだ」

オオカミの娘「100年後も1000年後も、きっとお元気でいてね」

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