微生物×雑草学から考える「ありのままで生きる」とは?
日曜夜。
その週明前の最後のひと時の、
ゆったり、深く思索できる時間をお届けしたい。
共育LIBRARYへようこそおいでくださいました✨
教育、人間、人生など、様々な「知恵」や「情報」が詰まった図書館のような、皆さんがくつろぎ、人生の「気付き」を得たり、知的好奇心を満たしたりできる居場所を目指しています😌
どうぞ、ごゆるりとお過ごしください。
共育LIBRARYりょーやん、元教師です。
皆さんは、1日のうちどれだけ自然にふれているでしょうか。
緑に囲まれ、土を踏み、風を身体で感じる。
そのような時間をとることは、都会であればあるほど難しい気がしています。
人が自分の道に迷い、見失ったときに
「ありのままの自分」
「ありのままに生きる」
という言葉に出会うことがあります。
ただ、そもそも「ありのまま」とはどのようなことなのでしょう。
それを考える時に大切なのは、自然界のことについて考えを巡らせること。
なぜなら、
自然界に存在する生き物たちは、
皆、背伸びしておらず、
目の前の「生きる」ということに一所懸命で、「ありのまま」に生きている
からです。
そんな自然界の生命から、生き方について考えることができる記事にしていきたいと思います。
是非、浸り、自身を見つめ直し、味わい深い時間にしていただければ幸いです。
微生物の世界
酒蔵当主の転落人生
とある日本酒をつくっている経営者の寺田啓佐さんが、微生物をそのまま取り入れた日本酒をつくったという話があります。
それまで寺田さんは、
「勝ち組になりたい」
「成功したい」
といった思いで日本酒をつくっていた。
そこで、当時行われていた原価を安くし、大量に日本酒をつくる方法を導入。
人口添加物の甘味料が入れられた身体を蝕むお酒。
売り上げが伸びればいい。
そうやって、安直に製造でき、簡単な利益が出る方法を採用していった。
ただ、目先の自分だけの利益を追い求めるあまり、自分の心は汚れ、一時的によくなった売り上げはまた低迷し、腐っていく日々。
そんな中、腸が腐る病気におかされしてしまい、人工肛門にしなければならないギリギリのラインでなんとか手術が成功するのです。
そんな人生のどん底まで堕ちた寺田さんは、
「人生とは何か?」
「生きるとは何か?」
と考えるようになります。
日本酒の品質も、会社の経営も、自分自身の身体さえ腐ってしまったこれまで。
しかし、寺田さんは、日本酒の製造過程を振り返り、あることに気付きます。
「発酵すると腐らない」
と。
同時に、人間にもそれが当てはまるのではないかと考えます。
そして、決意するのです。
「本物の日本酒をつくろう」
と。
「本物の日本酒」からの学び
無農薬の米。
本来の意味で「百薬の長」となるお酒。
日本酒を飲む人は、本来飲まない人よりも長寿とされます。
それは、善玉コレステロールを増やし、血糖値を正常値に近づけていく効果があるから。
秋田大学教授の研究では、人の癌細胞に薄めた純米酒をたらすと、90%以上が変形、または死亡するそう。
そんな、本物の日本酒をつくることに決めたのです。
そして酒蔵に住む微生物たちをそのまま使用する、自然の大きな力、生命力を宿した日本酒を完成させます。
微生物の分泌物には、アミノ酸、有機酸、多糖類、ビタミンなどの、細胞を蘇らせる生理生活物質、抗酸化物質が多分に含まれている。
販売後、その日本酒を飲んだ方々から、たちまちに
「糖尿病が改善した」
「血糖値が下がった」
「手足のしびれがとれてきた」
などの声が寄せられ、大反響を生むことになるのです。
筆者も飲んだことがあるのですが、
通常の日本酒とは色も見た目も全く違い、揺らして封を開けてしまうと噴水のように噴き出してしまうほど、
常に「生きていて」、発酵し続けているお酒です。
そんな微生物を愛し、ずっと共にお酒をつくりつづけてきた寺田さんは、微生物たちから学んだ数々の気付きを伝えています。
そんな微生物の世界を、人間の世界に置きかけて寺田さんは考えるようになります。
人間も本来は自然界の生態系のバランスの中に組み込まれる動物です。
そして、寺田さんは言います。
「腐るのではなく発酵すれば自分の道は見つかる」
と。
「発酵する」とは、
自分のことを好きになり、自分のために生きるということ。
我欲とは違い、まわりと調和しながら自分のために生きる。
自分が信じたこと、心から好きなこと、楽しむことを行っていくことだと主張しているのです。
そして、これからの日本の未来を見据えてこう言っています。
「ありのままに生きる」ということは発酵していくこと。
そんなメッセージが込められている気がします。
雑草の世界
雑草における勘違い
雑草というものは、他の植物に比べて、強いと思いますか。弱いと思いますか。
ほとんどの方は「強い」を選ぶのではないでしょうか。
しかし、これは逆です。
雑草は「弱い」のです。
その弱いというのは「競争に弱い」ということ。
実はほとんどの雑草というものは、森に生えることができない。
人間が管理するようなハイキングコースやキャンプ場などが関の山。
植物というものも、光や水や土を奪い合って、激しい争いが繰り広げられているのです。
だからこそ、雑草は「戦わない」という基本戦略を取っています。
強い植物が生えない場所に生えるのが雑草の生き方なのです。
「雑草魂」という言葉があります。
雑草魂とは、踏まれても起き上がるたくましい精神、ではありません。
「踏まれたら、立ち上がらない」。
よく踏まれるところに生えている雑草は、踏まれてもダメージが小さいように、みんな地面に横たわるようにして生えています。
そもそもどうして立ち上がらなければならないのか。
雑草にとって、最も重要なことは、種子を残すことです。
だからこそ、雑草は、踏まれても立ち上がるという無駄なエネルギーを使わずに、踏まれながら種子を残すことにエネルギーを注ぐのです。
雑草は踏まれても踏まれても、必ず花を咲かせて種子を残す。
大切なことは見失わない生き方。
これこそが雑草魂なのです。
ナンバー1になれるオンリー1を探す
雑草のように自分の特徴を理解し、最もそれが生かされる環境を選んで花を咲かす。
それは自然界では様々な場所で見られることです。
2種類のゾウリムシを同じ水槽で飼う実験があります。
その場合、より強いゾウリムシは弱いゾウリムシを食べてしまい、1つの種類が絶滅する。
一方で、ゾウリムシとミドリムシを同じ水槽に住まわせてみると、住む場所と餌が違うため、住み分けがされるのです。
農業における「アイガモ農法」もこれに似たところがあります。
田んぼの中にアイガモを放つと、害虫を食べてくれる。
水かきで田んぼの泥を舞い上げて水が濁り、
光が届かないことで雑草の芽が出なくなる。
アイガモの糞も栄養になる。
微生物もより繁殖し、微生物の糞がまた土の栄養素に。
植物が蜜を吸ってもらう代わりに花粉を運んでもらうような、共生関係が自然界にはたくさん見られるのです。
「一人勝ちでは生きていけない」
「助け合った方が得である」
そんな共生と住み分けをした、ナンバー1になれるオンリー1を探す。
誰もがナンバー1になれることは「自分らしさ」の追究。
それが最も近道。
1番やってはいけないのは、人と比較すること。
そんな「ありのままの生き方」が雑草の生き方から伝わって来るようです。
まとめ
「ありのままに生きる」とは、
人と比較するのではなく、自分のことを好きになり、自分の心から「楽しい」「好き」と思えることを行って活き活きとして生きていく
ということ。
自分のために生きながらも、周囲と共生、調和をしていく
ということ。
言葉だけで語ると簡単ですが、自然界の生物たちが行っている事例を知ってからこれらの言葉を学ぶと、深い納得があります。
解剖学者の養老孟子さんは、
「現代の日本人は何が正常かがもはや分からなくなっている」
と主張しています。
OECDの調査で、日本人の約7割が自分の具合が悪いと答えている国。
自分の体調がどうしたら正常ということが分からなくなってしまった。
そして、それは体調面以外のことにも言えると。
だからこそ、
人間本来の自然性や中立性を取り戻すために、定期的に自然に触れる必要がある
と伝えています。
コンクリートだらけの都会ではなく、きちんと凸凹の土の上を踏む。
明りに頼り切るのではなく、自然界の太陽が沈めば暗くなるということを味わう。
私たちが自然から学ぶべきことはまだまだたくさんある気がします。
都心に住んでいる人は、たまには都会を離れ、自然に触れる時間を取って見てもよいのではないでしょうか。
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(2024.1.15~1.21)
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