kyogoku oakwagata

独自のフィールドワークにより自己採取した京都市産のワイルド・オオクワガタだけに拘りブリ…

kyogoku oakwagata

独自のフィールドワークにより自己採取した京都市産のワイルド・オオクワガタだけに拘りブリード。その他の種は扱いません。 飼育実験・検証に基づいた生態観察記録です。オリジナル血統名: 京極 https://www.instagram.com/kyogoku_oakwagata/

マガジン

  • ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌(京極株)

    ワイルド・オオクワガタ保有の共生酵母菌採集サンプルを単離培養した経緯とその経過まとめ。この培養酵母菌の今後の有効活用とその有益性を考察する。

  • 京都市台場クヌギ・アーカイブ

    オオクワガタ採集家的歴史解釈エッセイ

  • KYOGOKUオリジナル菌糸瓶開発の道

    オオクワガタ飼育用オリジナル菌糸瓶開発に関する記事まとめ。

  • 参考資料

    参考資料引用元リンク集

  • 菌糸瓶に足らないのは発酵

    同タイトル・シリーズ 1 - 3のまとめ

記事一覧

ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌(京極株)実用試験経過

 培養も進み、次の段階に進んでおります。様々な実用試験段階です。  と言っても、実施は簡単。飼育中のオオクワガタが接する何かしらに添加するだけのことですが。 成…

kyogoku oakwagata
12時間前
5

京都市台場クヌギ・アーカイブ - 1

 地元でも今では知る人のまず居ない、京都市内のかつてのオオクワガタ生息地をチェックしてきました。此処はその地名さえもがクヌギ由来だったりするくらい京都市内でも屈…

kyogoku oakwagata
20時間前
3

ツインピークス型オオクワガタ成長曲線

 本年度のKYOGOKU血統の2系統め産卵材です。こちらも1st.とまったく同様の仕込みをした産卵材を使用しています。これらの廃ホダ木材の品質は、老舗販売品且つ、お値段そこ…

9

2024産卵材のその後

 産卵set後、もう一ヶ月以上経過しているのですが、実は、一週間ほど前まではまったくと言っていいほど♀の産卵行動の気配がありませんでした。それで、「これはひょっと…

3

コンタミを考察する

 オオクワガタを菌糸瓶やマット飼育をしていると100%は中々忌避できないのが、害菌、害虫類のコンタミだと思います。特に、個人での腐朽菌培養のハードルの高さの主要因は…

kyogoku oakwagata
1か月前
9

ハンド・ペアリング

 ハンド・ペアリングは、セットして数分であっさりと成就。その後、念のため、引き続き数回の交尾を確認して終了。室温25℃、ペアは終始穏便でトラブルは皆無でした。  …

kyogoku oakwagata
1か月前
8

カビ菌 v/s オオクワガタ共生酵母菌

 今回の産卵材は、昨年の秋にツーリングがてら能勢まで景色を見に行ったときに、ついでにその地では有名な某老舗クワガタ・ショップで購入置きしておいた廃シイタケ榾木産…

kyogoku oakwagata
1か月前
8

菌糸瓶の熟成最適解とは?

 業界筋では抽象的な表現、曖昧模糊な形容で解説され過ぎてしまっている嫌いのある菌糸瓶の最適判断指標——「真っ白に菌糸が張ったら完成」——って、その理科的根拠に関…

kyogoku oakwagata
1か月前
8

禁断の多頭飼育

 さてさて、ペアリング、産卵を経ると、次に採卵、或いは孵化初令幼虫回収。そうなると、当然、段取りとしては幼虫の初期餌材を用意しておく必要があります。これが、毎年…

kyogoku oakwagata
1か月前
6

2024種親No.1候補ペア

 近頃は春早くにペアリングして産卵Setを組む猛者ブリーダーも多数いらっしゃるようですが、当家では常温飼育ですので、暖かくなって気温が成虫の活動域になってから、や…

kyogoku oakwagata
1か月前
6

秘技、一本還し

 最近ですね、菌糸瓶飼育の手法をヴァーサタイルに考え直す必要があるとわたしは思っています。  と言いますのも、今現在飼育中のKYOGOKU血統2023ブリード群なのですが、…

kyogoku oakwagata
1か月前
10

ヘッド・カプセルは三度死ぬ

 大半のオオクワガタ・ブリーダーって、2令時期の幼虫の特徴なんてものに対しては気にも留めないと思います。それも無理はなくて、飼育中に最も見慣れない令時の幼虫期な…

kyogoku oakwagata
1か月前
6

菌糸瓶の熟成とは?

 先月、3月30日に仕込んだオリジナル菌糸瓶ですが、今日現在、約一ヶ月経過で、上面、及び側面に大体菌が蔓延したかな、という状態です(画像向かって左)。  おそらく、…

kyogoku oakwagata
1か月前
8

バクテリア汚染問題

 わたし独自の菌糸瓶飼育テクニック系テーマになります。  当家のブリード個体たちはですね、毎年、実は3令に加齢するまでは生育順調で、非常に優秀なのですよ。その「優…

kyogoku oakwagata
1か月前
7

共生酵母は拘りではなく、必要性

 基礎的おさらいです。  ワイルド・オオクワガタが産卵する天然材中では、先ず、腐朽菌が木材の高分子体を酵素分解してグルコースに糖化変換します。そして、そのグルコ…

kyogoku oakwagata
1か月前
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ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌 単離培養成功!

 久々にオオクワガタ関連トピックで胸踊る気分を味わせてもらえました。  先日から開始した、ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌の単離培養実験、酵母菌の発芽分裂増殖を…

kyogoku oakwagata
2か月前
6

ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌(京極株)実用試験経過

 培養も進み、次の段階に進んでおります。様々な実用試験段階です。  と言っても、実施は簡単。飼育中のオオクワガタが接する何かしらに添加するだけのことですが。 成虫の餌に添加  考えてみれば、自然下で樹液浸出している樹の患部には泡立ちがよく見られるのですが、あれは酵母菌によるものなのです。つまり、樹液が酵母菌によって自然発酵している証拠です。実際、最近の研究報告では、樹液場が昆虫たちの酵母菌の交換収集場所になっており、ネブトクワガタが多種の酵母菌の保有者であり媒介者でもある可

京都市台場クヌギ・アーカイブ - 1

 地元でも今では知る人のまず居ない、京都市内のかつてのオオクワガタ生息地をチェックしてきました。此処はその地名さえもがクヌギ由来だったりするくらい京都市内でも屈指の本数の台場クヌギが在ったところでなのですが、道路敷設と宅地造成でその殆どが失われ、今はひっそりとその数本が残存しているのみです。  他に京都市内のクヌギ古木で有名どころですと、惟喬親王所縁の地の台場クヌギが知られていましたが、其処もかなり以前から管理放棄され既に崩壊。謂わば「台場クヌギ・アーカイブ」的な林でしかあり

ツインピークス型オオクワガタ成長曲線

 本年度のKYOGOKU血統の2系統め産卵材です。こちらも1st.とまったく同様の仕込みをした産卵材を使用しています。これらの廃ホダ木材の品質は、老舗販売品且つ、お値段そこそこのL size品の割にはお世辞にも良質とは言えませんでしたが、独自にウスヒラタケ菌を植菌した一手間でなんとか産卵はしてくれたみたいです。おそらく、通常の水没後の半乾燥処置での使用では上手くはいかなかったでしょう。  タイトル画像は産卵setting後、二日経過のもので、ワイルド・オオクワガタ共生酵母培養

2024産卵材のその後

 産卵set後、もう一ヶ月以上経過しているのですが、実は、一週間ほど前まではまったくと言っていいほど♀の産卵行動の気配がありませんでした。それで、「これはひょっとして……」と思い、♀を取り出して、再度ハンドペアリングを実施。そして再度産卵setに投入したら、一週間後に材はタイトル画像の状態に至りました。 2024 1st. lineage  一度目のハンドペアリングで数回の繰り返し交尾の目視確認はしているのですが、実際に交尾はしていても何故か受精が上手くいっていない事例が

コンタミを考察する

 オオクワガタを菌糸瓶やマット飼育をしていると100%は中々忌避できないのが、害菌、害虫類のコンタミだと思います。特に、個人での腐朽菌培養のハードルの高さの主要因はこれに尽きるでしょうか。マット製作の場合は好気発酵させる場合は腐朽と腐敗との境界域ですので、完熟後はどうしても雑虫のコンタミは防御しきれないのではないでしょうか。  また、滅菌消毒とは簡単に言いますが、エタノールであれ、塩素であれ、これも100%完全には到底処理できません。一般家庭レベルではどうしても抜け穴ができて

ハンド・ペアリング

 ハンド・ペアリングは、セットして数分であっさりと成就。その後、念のため、引き続き数回の交尾を確認して終了。室温25℃、ペアは終始穏便でトラブルは皆無でした。  繰り返しになりますが、ペアリングの成・否については、——一に成虫の完全成熟。二に環境温度(25 - 35℃)。三に面積の小さな容器(直径100mm程度)にペアを入れること——これら3つが揃っていることが重要です。一週間も二週間も同居させて飼育管理する必要はまったくありません。  このハンド・ペアリング後は、もうその当

カビ菌 v/s オオクワガタ共生酵母菌

 今回の産卵材は、昨年の秋にツーリングがてら能勢まで景色を見に行ったときに、ついでにその地では有名な某老舗クワガタ・ショップで購入置きしておいた廃シイタケ榾木産卵材。お店の外のワゴンに常に野晒しで積み上げられている物の割にはお値段は結構お高いという、コナラかクヌギなのですが、これはたぶんクヌギでしょうか。まあ、どっちでも良いのですが、Lサイズの太めのやつです。  さて、ご多聞に漏れず、大半のブリーダーのみなさんは、これを例によってYouTuberなどが推奨し捲りの方法——水没

菌糸瓶の熟成最適解とは?

 業界筋では抽象的な表現、曖昧模糊な形容で解説され過ぎてしまっている嫌いのある菌糸瓶の最適判断指標——「真っ白に菌糸が張ったら完成」——って、その理科的根拠に関しては、何も具体的に論拠も理屈も示されてはいないでしょう? YouTuberなんて、暢気に初心者に対してもそのように薦めていますし、延々、誰だかの猿真似で、ただただ同じ表現の繰り返しをされてるだけですよね。  ハッキリ言いますと、菌が活性しているのであれば、真っ白になる以前であっても幼虫を投入しても何ら問題はありません

禁断の多頭飼育

 さてさて、ペアリング、産卵を経ると、次に採卵、或いは孵化初令幼虫回収。そうなると、当然、段取りとしては幼虫の初期餌材を用意しておく必要があります。これが、毎年悩ましいところでして、この時点の方針決定によって成虫羽化の結果のほぼ90%は決まる、というか、まあ、それは強ち大袈裟ではなく、何につけても初手は大事ということは十分あります。それは、後ではどうしても取り返しのつかないことというのがあるからです。  例年、わたしのルーティンでは、200cc cupに詰めたオリジナル菌糸を

2024種親No.1候補ペア

 近頃は春早くにペアリングして産卵Setを組む猛者ブリーダーも多数いらっしゃるようですが、当家では常温飼育ですので、暖かくなって気温が成虫の活動域になってから、やっとペアリングという段取りです。というか、我が家の立地が涼しい処だからなのか、例年、ゴールデンウィーク頃というのはまだ早くてですね、そのままの気温では♂・♀共に「掛からない」のです。で、これもちょっとしたテクニックと言いますか、常温と言いつつの列記としたズルなのですが、いつもはお湯で温めてペアリングさせているんですよ

秘技、一本還し

 最近ですね、菌糸瓶飼育の手法をヴァーサタイルに考え直す必要があるとわたしは思っています。  と言いますのも、今現在飼育中のKYOGOKU血統2023ブリード群なのですが、これらがですね、まあ、これは成り行きではあるんですが、なんと、一本還しになっちゃってるんですよね。孵化初令幼虫をオリジナル200cc菌糸Cupで3令加齢直後まで育てた後、次に投入した瓶がラスト、ということです。これ、事実上、一本還しですよね。  つまり、去年の夏から、年が明けて2024年の今も未だずっと同じ

ヘッド・カプセルは三度死ぬ

 大半のオオクワガタ・ブリーダーって、2令時期の幼虫の特徴なんてものに対しては気にも留めないと思います。それも無理はなくて、飼育中に最も見慣れない令時の幼虫期なのだろうと思われるからです。何故なら、その頃合いと菌糸瓶交換作業との時期が殆ど重ならないからで、ブリーダーが幼虫をゆっくり観察できるときと言えば、卵、或いは、初令幼虫を産卵材から割り出すときと、最初に投入した菌糸瓶から2本目への交換時になりましょうから、そのときにはもう既に幼虫は3令化してしまっていることでしょう。

菌糸瓶の熟成とは?

 先月、3月30日に仕込んだオリジナル菌糸瓶ですが、今日現在、約一ヶ月経過で、上面、及び側面に大体菌が蔓延したかな、という状態です(画像向かって左)。  おそらく、培地の中心部にまではまだ菌は到達していないのではないかと思います。生オガの植菌からの腐朽培養って、凄く時間が掛かるんですよ。まあ、この培地のチップは大きいというのもあるんですが、原木は更に時間が掛かります。  右側のは、その一週間後に追加で仕込んだもので、比較するとチップの色味がまだ黄色っぽく見えますよね? 菌糸

バクテリア汚染問題

 わたし独自の菌糸瓶飼育テクニック系テーマになります。  当家のブリード個体たちはですね、毎年、実は3令に加齢するまでは生育順調で、非常に優秀なのですよ。その「優秀」と言いますのはですね、親♀から代々垂直移乗された共生酵母菌をしっかり保持していることが確認できるからです。それは、幼虫の消化器官内の色、糞と食痕の色と匂いで確認できます。  また、わたしが採集したワイルド個体が常に居るので、オリジナルの共生酵母に関しては常時事欠かないということもありますから、共生酵母が生きて存在

共生酵母は拘りではなく、必要性

 基礎的おさらいです。  ワイルド・オオクワガタが産卵する天然材中では、先ず、腐朽菌が木材の高分子体を酵素分解してグルコースに糖化変換します。そして、そのグルコースを酵母菌が細胞内で10段階以上の酵素反応を経て、呼吸の場合は水と二酸化炭素に、アルコール発酵の場合は二酸化炭素とエタノールに変換します。この酵素分解はグルコースの場合、一回(一個)の酵素分解が行われれば糖化完了しますが、酵母菌によるアルコール発酵の場合、10個以上の酵素が必要になります。  ここで重要な点は、酵母菌

ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌 単離培養成功!

 久々にオオクワガタ関連トピックで胸踊る気分を味わせてもらえました。  先日から開始した、ワイルド・オオクワガタ共生酵母菌の単離培養実験、酵母菌の発芽分裂増殖を確認できたので、実験成功です! 無論、わたしが採集した京都市産ワイルド・オオクワガタ由来の共生酵母菌サンプルから抽出、純粋培養したものです。果たしてこの酵母菌が何属なのかは、専門機関で分析してもらわないと不明ですが、わたしが採集した京都市産ワイルド・オオクワガタ成虫と幼虫とに共生していたものであることだけは100%間違