社内ゼミ_5_10

「三木谷曲線を超えて、積極的に発信しよう。」という話。

GW空けに、社内勉強会でかんたんな講義をしました。
メドレーには「カスタマーマーケティング室」という、病院やクリニック向けのマーケティングチームがあるんですね。そのチームは会社の中でも若手のメンバーが多いので、少しでもいろいろな部署の先輩から知見を吸収できるように、ということで室長の田中が主導して進めている勉強会です。

依頼をいただいて若手向けなテーマで話してみたのですが、1時間の講義の時間がオーバーするほどに質疑応答も絶えず、積極性に溢れる会でいい取り組みだなと感じています。カマケチームいいね。田中大介ってやっぱいいよね。

でその中で、僕は
「未経験の仕事をすることになったら、どうアプローチすればいいの?」
というテーマにして話をしました。

未経験の仕事に取り組む経験が多かった

僕は新卒で監査法人に入所し、上場会社監査、上場準備、公益法人(労働組合とか)の監査を担当していました。その合間に新卒採用のリーダーをしたり、ホームページ作り直したり、ワークライフバランス委員会の立ち上げや法人内研修プログラムの作成に携わってきました。

クックパッドではIRから入り、その後経営企画、社長室付の特命担当やファシリテーター、経営会議付の調整役、グロースハック、プレミアムサービスの新機能開発、ユーザサポート、ドコモさん・食べログさんとDグルメ立ち上げ、新規事業のプロのレシピ立ち上げ、アドテク事業の新設、採用支援、社内ブランドのEC立ち上げ、グループ会社の支援、子会社の監査役などなど。

メドレーでも採用支援から入ってメディアの事業部長を経て、広報室の立ち上げや採用チームの立ち上げなど…長々といろいろ書きましたが、要するに、これまで未経験の職種や仕事に取り組む機会が多かったんですね。

なので、未経験の仕事をやることになったら、どういうアプローチをして、どう引き継ぎをし、次のチャレンジに進むのがよいか、ということについて、考え方をまとめて共有しました。

情報収集からはじまり、PDCAを回し、知見を共有発信して、後進に引き継ぎ、自分はまた新たなチャレンジをする。このサイクルを作る上でのコツなどについての話です。

いろいろな話をしたので全部はご紹介できないのですが、その中の一部の話を切り出して今回ご紹介しようと思います。(前置きが長くなりました…)

知見を積極的に発信することの効果

最初から他の人のためになるような知見を持つことは難しいですが、がむしゃらに頑張って(ここも勉強会では説明しましたが、今回は割愛します)その種みたいなのが作れるようになったら、どんどん発信するクセづけをしていくといいと思います。その理由は、主に以下の3つだと思います。

・(短期〜中期的)発信した事例をもとにディスカッションをしたり、「それでいうと〜」みたいに他の人がそのネタに肉付けをしてくれるので、知見を発信するとかえって知見がたまる、みたいなループが起こる

・(中期〜長期的)発信し続けることで、興味を持ってくれる人や「これをもとに自分ならもっとこうしよう」と思ってくれる人が潜在的に増えるため、その人がいざ転職を考えるようになった時、思い出してもらえたりきっかけになったりする(そんな都合よくすぐにはこないので長期的視点)

・(いつか)困った時に相談できる、助け合える人が増える

3つ目の話を少し補足します。
事業も組織も順風満帆な時ばかりではありません。知見を発信している時は調子が良い状態なのかもしれませんが、どんな事業にも組織にも必ず浮き沈みというのがあります。短期的な視点ではなく長い視点で自分がやっていることを捉えると、困った時に助け合える関係の人を増やしておくことは大切なことだと思います。

特に責任者は、いざという時に自分でなんとかしなければいけないから責任者なのです。困った時、スランプ、などはいつ来るか自分でも読めません。そういう時に助け合える関係がないと、どんどん状況を沈ませてしまいます。そうならないように、Giveできる時は存分にする精神を持つことが大事だなと思っています。

(メドレーの場合、今は僕よりメンバーの方が多くの知見を持ち始めてきているので、僕がフロントに立つのではなく、積極的にメンバーの情報発信やメンバーとの情報交換をアレンジするようにしています)

知見を発信できる人は実は限られている

とはいえ、じゃあ「どんな知見でも発信し続けていればよいのか?」というと、そういうことではありません。読んだ人が、この話は勉強になる、参考になる、興味がある、と思える内容じゃないといけない。

で、そういう内容を発信できるようにするためには何が必要か?というと、文章の作成や編集に関するスキルなどいろいろな要素はありますが、中でも本質的なのは「三木谷曲線の最後の0.5%までやりきることで絞り出した知見」を発信するということにあるんだと思います。

あまりにも有名な三木谷曲線ですが(今はもしかしたら知らない人も出てきてるのかもしれない)、「やりました」「考えました」で出た成果や知見では、やっぱり人の心を動かしたり、なにか有益な情報を提供できるようにはならない。「やりきりました」「考え抜きました」の先にある成果や知見こそが、はじめて他の誰かにとっても心に残るのだと思います。

メドレーの広報・採用チームでも、今はメンバーが発信することにチャレンジしていますが、こういう背景があります。実際ネタ出しをする中で、仕事としてやりきっていないものは、やっぱりネタとしても弱いよね、という話になりボツになります。もっとやり切れることがあるはずだよね、こういう視点がまだ甘いよね、みたいな会話にも繋がったりします。

情報を発信することで、より多くの情報が集まる。

この体験は、やった人にしか実感できないと思う不思議だなと思いますが、僕はすごく実感していることで、今でも大切なことだと思っています。今はチームのメンバーがチャレンジしていますが、同じくその効果を実感してもらえると嬉しいなと思っています。

ちなみにこの日も質問が挙がったんですが、「苦労して身につけた知見を惜しげも無く発信してしまったら、競合に盗まれてしまうのではないか」という話。

あくまで個人の意見ですが、誤解を恐れずに言うと、結論そのものについては盗まれてなんぼじゃないかと僕は思っています。

それを苦労して勝ち得たということが、血肉なわけじゃないですか。もちろんノウハウはタメになりますし、ヒントになります。だからこそ有益な情報でもあります。でも、実感を持ってその結論になったということと、その過程で築いた工夫やオペレーションの洗練さをすぐに代替することはできないのです。

むしろ、ノウハウを共有して、盗まれたから負けるなんてことがあるのだとしたら、それはある意味では上辺だったということなんだと思う。0.5%の結果として、血肉をチームのみんなが共有して実感してることが大事なわけです。だから、知見は惜しみなく共有するくらいがバランスとしては丁度いい。

という小話でございました、今日はここまで。

「結果を出しても50点満点、次の人が自分を超える結果を出せるように引き継いで始めて100点満点」みたいな話も、(ニーズがありそうでしたら)何かの機会にまた書きたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?