見出し画像

フレームワークを使う前に自分なりのテンプレートを持って実行してみる~行動を止めさせない指導

仕事をしていると、日々新しい事象に遭遇すると思います。

上司から新しい指示を受けたり、関係部署から新しい指示を受けたり、新しい情報が入ってきたり。

また、組織をマネジメントしていると、メンバーが新しい依頼を受けてきた、ということもあります。

想定外の依頼にパニックになる後輩。

今、私は40歳で課長をさせてもらっていますが、さかのぼること6年前、当時係長だった私は、3人の後輩をマネジメントする役割を持っていました。

その時の後輩はそれぞれに担当しているビジネスがあり、日々営業からの依頼、技術部からの依頼などを裁くのにテンテコマイでした。

完全にルーティン化しているような依頼であればいいのですが、たまに想定外の依頼というのがあります。

「顧客から~~という依頼を受けたが、どのように対処したらいいか」

といったように、その話を持ってくる営業や技術部もどうしたらいいか想像がつかなくて困っている、といったものです。

私たちは事業計画という仕事をしています。
事業計画というのは「事業を計画して実績をフォローする」と表現することもできますが、結局のところ、何をするか決められない部署です。
「事業を計画して実績をフォローする」というのも、「事業を計画して実績をフォローする”ためには何でもする部署”」というように言い換えることができます。
ポテンヒットが出ないように拾いに行くといったことが日常茶飯事です。

そうすると、関係部署が困ったときにはまず私たちのところにきて、「どうしたらいい?」と聞いてくるわけです。

そうやって頼られるのは名誉なことだ、と思ってほしいのですが、若手はなかなか辛い思いをします。一回り以上年上の人からすごい勢いで詰められることだってありますから、パニックになってしまう人だっています。

私の後輩は、そういったときに思考停止に陥って、ただ依頼を放置してしまう、ということが出てきていました。

まずは拠り所となる行動を決めてしまう。

当時34歳だった私は、そういった後輩に対して指導をしていくわけですが、その時に彼らに言っていたのが、「自分なりのテンプレートを持ちなさい」ということでした。

「テンプレートって何?」ということですが、改めて意味を調べてみると、

「型板」や「鋳型」の意味を持ち、「型に流して同じ形を作り出す」ことから「定型文」「ひな形」「決まった様式」を示すことが多い

とのこと。

当時、私が後輩に話すときに「テンプレート」という言葉を持ち出した意図は、上記の意味にあるように、「同じ形を作り出す」ということです。

しかし、勘違いしてはいけないのは、「同じ形=同じ答え」ではないということです。ここで私が意図しているのは、「同じ行動をとる」ということです。

もう少し絞り込むならば、「同じ初動をとる」ということです。

後輩は、いつもと違う依頼をされたらどうしていいかわからなくなり、思考停止に陥ってしまっていました。
仕事をしていると、未知のことばかりです。答えが決まっていることをすることはほぼありません。

ですから、未知の仕事に遭遇したときに、いかにして一歩目を踏み出すか、初動の速さが一つ目の分かれ道だと思っています。

とはいえ、です。
きっと後輩もわかっています。しかし、その一歩目を踏み出そうというときにパニックになってしまうのです。
理由はわからなくもありません。大体の場合は緊急の依頼だからです。
「明日には顧客に回答しなきゃいけない」とか、
「今日の午後には役員に一報しなければいけない」とか、
そういったプレッシャーのある仕事
であると、早く答えを出さねばいけないと思ってパニックになってしまうのは理解できます。

フレームワークで考えようとすると行動を邪魔してしまう

パニックになっている後輩に何に悩んでいるか聞くと、頭真っ白ということも少なくありませんが、よく聞くのが

「どうやって分析すればいいかわからない」
「どうやって戦略を作ればいいかわからない」

といったことでした。
事業計画という仕事をしていると、本に書いてあるようなフレームワークを駆使して戦略や分析をすることが求められると思ってしまうことがあります。

しかしどうしたらそれができるかわからない。でも時間は少ししかない。

パニック

ということのようです。

新しいことを考える前にやることはそんなに変わらない。

気持ちはわかります。どうしよう、どうしよう、となっていく気持ち。

でも、仮にフレームワークを用いて分析をして戦略を立てることがあったとしても、その前の準備というものがあります。
そもそも、どんなフレームワークを使うのかだって、正解があるわけではなく、その時々で判断するわけです。

やはり、まずは状況を理解しないと自分のやるべきことが見えない。
パニックになって思考停止に陥っているのは、状況の理解をしていないからです。

ですから、まずやるべきは「状況の理解」になります。

事実を確認するのに悩んでも始まらない。

状況の理解するというのは、事実を確認するということですから、そこで悩んでいても何も情報は増えないわけです。とにかく聞く。それに尽きます。

とはいえ、後輩に「まず状況を確認しといで。聞いといで」と言っても、困ってしまうでしょう。「何を??」ってなります。ここでまたパニック。

でも、事は単純です。

・納期を聞く
・顧客の目的を聞く
・回答後に何が計画されているか聞く

などです。ここは仕事によって多少の誤差があるでしょうが、その仕事のミッションを踏まえれば、その範囲では大きく変わらないでしょう。

当時の私はテンプレートと表現しましたが、行動チェックリストのようなものかもしれません。

私の後輩はそうでしたが、向上心があると、世の中にある色々な手法やフレームワークを使って自分の付加価値を上げていこうと思いがちです。
私もそうですし、決して間違っていることはありません。

しかし、行動しなければ何も起こらない。新しい状況における一歩目というのは、どんな状況でもそんなに変わらないと思っています。
先輩や上司という立場で指導をすることは大事ですが、毎回指導をしていては、それは「指示」であり、成長しません。成長させられないのは指導ではないと思います。

また同じ「指示」をしなくてもいいような指導をしなければいけない、そのために、各人が行動テンプレートを持っていけるようにすることが大事だと考えています。

成長させるための指導に拘っていきたいですね。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?