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1円で1人暮らしを1週間だけ体験した話 #キナリ杯


春にしてはおとなしい家の外とは別に、Twitterのタイムラインはにぎやかな日々が続いていた。


そんな中、たまたま眺めたひとつのツイートが、私のこころをザワザワさせた。





岡山で、

めっちゃ綺麗な駐車場付きコンセプトルームを1週間泊まれる?

…1円で?



まったくもって意味がわからなかったので、応募してみた。

たまにはザワザワとした心も大切にするべきだとテキトーなことを考え、ツイート主のあずまさんにDMを送って詳細を聞いてみた。

宿泊先は「Adressホウカン町」という一戸建てのゲストハウス。どうやら私の思い出深い場所である「奉還町商店街」の近くらしい。職場からも車で15分ほどでちょうどいい。最大6人まで泊まれるそうで、写真を拝見する限りめちゃくちゃ広い。ロフトとかあるし。なんだこれ。ますますザワザワしてきた。

あずまさんにDMを送ったということで応募が完了したそうだが、私以外ににも数人応募が来ているそうだ。

「もし当選しましたら、noteで体験レポートを書きますね!」といかにも下心を募らせたメッセージをあずまさんへ送り、当選のイメージを描く。もし外れたとしても、ライブのチケット運が保たれただけだ、落ち込むことはない、などと励ますつもりでいた。ここで私は、心の底から本気で当選したいと願っていたことに気づきた。まったくもって意味がわからない。


翌日。

ホントは当選したいくせに当選しなくても別にいいやと普段通りの顔でツイッターライフを謳歌していた矢先。


まさかの当選通知が届いた。

下心が届いたのか?!と期待していたが、あずまさんはご丁寧にあみだくじで決めたそうだ。ライブのチケット運は下がったかもしれないが、そんなことは今気にすることではない。神様に感謝する。合掌。

宿泊時期は、2020年5月17日(日)〜24日(日)の1週間に決定し、黙々とこの日を待つこととなった。


ーーー


思えば初めての1人暮らしだ。初めての1人暮らしがまさか形となってしまった。これは1人暮らしと言っていいのか。そんなこんなを考えながら現地へ向かい、ツイート主のあずまさんと合流することができた。

早速、1週間宿泊する部屋へ向かったのだが。


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ひろっ。


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え?


ここを1人で?




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めっちゃ綺麗。広すぎるくらい広い。どうやら噂は本当だったようだ。

1人暮らしだと普通、部屋を探し、契約し、諸々の準備にかなり時間がかかるが、私はというと、通常のホテル同様、数分のチェックインで手続きが終了した。

手続きを終えたあと、あずまさんと雑談をした。上記のツイートの雰囲気と同じく明るい方でとても安心した。ちょっとだけかまいたちの濱家さんに似てるな、とも思った。

どうやらあずまさんもnoteを書いているとのこと。やはり上記のツイートの雰囲気と同じく、noteも明るい口調で書く方だ。とても朗らかな気持ちになる。



話しているうちに盛り上がったあと、「あ、1円貰ってもいいですか?」と、きっちり1円を支払った。


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果たしてこの1円は一体何に使われるのだろう。

電子決算が流行っている今、「アァ〜〜あと1円あったら、お釣りがぴったり返ってくるのに!!」などの悔しい現場に遭遇する機会は減っただろう。

そう考えると謎に申し訳なくなったが、あずまさんの生活のどこかで1円玉の価値が活躍してくれることを祈り、いよいよ贅沢な1人暮らしが始まった。


ーーー


慣れない環境にソワソワしたので、とりあえず部屋を散策する。

テレビ、Wi-Fi、アメニティなど基本的なものはもちろん、冷蔵庫やキッチンの棚を覗くと調味料がずらりと揃っていた。

さらにL字型のキッチン、備え付けの食洗機、ゴロンと寝転げるソファー、床の柔らかい立派な浴室、手洗い付のトイレ、可愛らしいGoogle Home mini、ダイソンのコードレスクリーナー、寝心地バツグンのダブルベット、子供ごころが騒ぐロフト。

これらを揃えるにはかなりの時間とお金がかかるはずだが、1円で体験できた。

唯一気になったのは、オリーブオイル、ごま油、ウスターソース、マヨネーズ、ケチャップ、みりん、料理酒などなどの調味料がかなり揃っていたのに、なぜか醤油だけなかった。

あとは、PCを触るための机は欲しかった。ダイニングテーブルは電気が暗く、リビングテーブルだと低い。

しかし、1円が文句を言う資格などひとつもない。小さめの醤油を購入し、PCは朝はダイニングテーブル、夜はリビングテーブルで使用した。


ーーー


3日も経つと、すっかりこの環境に慣れてしまった。


ロフトは1日で飽きた。いや、飽きたというか、ロフトへのぼる重たい階段を設置するのに時間がかかったからだ。ロフトから眺める部屋の一望はとても好きだったのに。

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L字型キッチンは料理が楽しい。ここはUberEats圏内なのでもちろん使ったが、ついつい簡易的な自炊とかしちゃうもんだ。食洗機もあるので、億劫になりがちな洗い物もどんと来い。

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口癖が「OK,Google!今日の気温教えて!」となってしまい、AIアシスタントというやつにハマった。スマホ時代の次にくるAIアシスタント時代。VUI(Voice user interface)というやつもしっかり覚えておかなければならないと悟った。

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Wi-Fiがとても速い。オンラインイベントは全部ここでしたいくらい。YouTubeも流しまくり、曲を流せば大声で歌ってしまった。

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気がつけば、あっという間に終盤に近づいてきた。1人暮らしはとても楽しいが、それと同時に面倒なこともある。いや。

もはやここは環境が良すぎて面倒なことがほとんどなかった。改めて、素晴らしい体験をいただけたんだと感心した。

1人暮らしをはじめて、初の週末にて。窓からのぞく、目の前にある商店街の風景を眺めながら、少し前の思い出を振り返った。


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冒頭でも申したが、この部屋の目の前にある「奉還町商店街」は、私にとって思い出深い場所である。

なぜ思い出深い場所かというと、奉還町商店街が高校の通学路だったからだ。

奉還町商店街とは、岡山駅西口から徒歩10分にある商店街。1867年、明治維新によりリストラにあった武士たちが、もらった奉還金(退職金)で商売を行なったのがはじまりと言われているそうだ。



久々に歩いてみると、見覚えのないお店がぼちぼちあり、奉還町商店街は今でも決して色褪せることはなく進化し続けているのだと知った。新しいお店はもちろん、古くからあるお店も営業しており、やはりロマンの香りが漂うこの風景が好きだと実感した。


歩いているうちに、学生時代のさまざまな思い出が蘇ってきた。



中学3年生の夏、オープンスクールに参加するために、ドキドキしながら商店街を通ったこと。


晴れて希望の高校に合格し、毎日商店街を通るようになり、いろんなお店を回ったこと。



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商店街内に新しくできたパン屋さんに寄って、パンを食べながら帰ったこと。


写真を撮る授業で、商店街の風景を背景にジャンプした写真を撮ったこと。


放課後、仲良くなった友達と商店街の脇道にポツンと置いてあったカラーコーンを被って走り回り、ゲラゲラ笑いながら動画を撮り合ったこと。


高校2年の夏休みに捻挫をしてしまい、クラスメイト6人ほどで商店街を通る際、私だけ自転車に乗ってゆっくり目的地に向かったこと。



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たまたま一緒に帰った友達が、ある商店街内のお店を見て「この店気になってるんだけど、入りずらいんだよね〜」と言ってて、結局入らなかったこと。


毎年ある商店街の夏祭りで、スーパーボールすくいのボランティアをしたこと。


部活帰り、友達と2人で商店街を通って帰っていると、自転車で日本縦断をしている22歳塩顔イケメンの男性に「この場所教えてもらってもいいですか?」と声を掛けられ、男性の泊まるゲストハウスに案内したこと。せっかくなので、と、友達が買ったばかりのうまい棒を男性にあげたこと。


電車の時間に間に合うように商店街のど真ん中を全力で走ったこと。


学校が休みの日、商店街の古着屋巡りや雑貨巡りをしたこと。



時には。

重たい荷物を背負って通ったこと。泣きながら1人で通ったこと。そんなこともあった。



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だけどそれ以上に、友達と笑いあって商店街を通った思い出がたくさんあった。

ココにはたくさんの青春が集まっている大好きな場所なのだ。


ーーー


瞬く間に終わった、初めての1人暮らし。予想外の贅沢な体験が、私の生活をより楽しくさせてくれた。

あのウイルスで世界が騒ぐ中でも生き延びるために、私たちは「より豊かになるための工夫」が必要である。

医療現場で働かない者にとって何が大切か。それは健康であることだと思う。だからこそ健康でいるためには「より豊かになるための工夫」を自ら創り出すこと忘れてはならない。

ウイルス騒動だからこそ企画されたあずまさん。

このような企画を立ち上げてくださり、また、私を選んでくださり(あみだくじだが)、深く感謝申し上げます。ありがとうございました。

「またきてねチケット」という割引券をいただいたので、今度は誰かとともに泊まりに行くことにしよう。


に、してもアレだ。実家は実家でサイコーだ。




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