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ウサギノヴィッチにエッセイマガジン。主に短編小説の書評のようなエッセイ中心だが、文学周りだけでなく、サブカルやガジェットまで取り扱う、なんでもエッセイ。
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#同人誌

それは罠です(ウサギノヴィッチ)

「マルハタリラ」  ぼくの友達が、薬で捕まったときにぼくはちょうど彼と電話をしていた。彼は、よくその言葉を使っていた。 ──マルハタリラが今日うちにやってきてさ、掃除してくれるのよ。あの子気が利くじゃん。だからさ、本当に助かるわぁ。  話の途中で、カシュッていう音が入るきっとタバコを吸っているのではないだろうかと思う。ぼくは、彼の口から出た「マルハタリラ」の意味を尋ねることなく、淀みなく彼と話を続ける。 ──そうなんだ。優しい人なんだね。大切にしな。  ふぅと煙の吐く音がする

長所と欠点(ウサギノヴィッチ)

 公道に面する窓はいつも締め切っているし、カーテンも閉じていた。しかし、その方角は日が照っている方角で、どうしても、カーテンだけは開けたいと思ってしまう。時々カーテンの代わりに、シャワーを浴びたときに使ったタオルをカーテンレールに引っ掛けるときがある。カーテレールの上のところも、そこだけホコリが溜まっておらず、キレイだし、タオルも部屋干しなので臭いが付く。  コンビニの夜勤のアルバイトなので、普通のサラリーマンとの働いている時間が違う。だから、洗濯するタイミングも夜やってもい

新宿の飲み屋でフィルムカメラと野性爆弾のくっきー!(ウサギノヴィッチ)

 この前の日曜日、二月十七日にPさんとあんなさんと新宿で飲んだ。  楽しかった。  実はその前に、ぼくは十年以上付き合いのあるコンビニでアルバイトをしていたときの先輩と会っていたし、Pさんは元同人活動をしていた、ぼくも知り合いの人と会っていた。  だから、Pさんとあんなさんに会うのはぼくにとっては二軒目ぐらいのつもりでいた。  なので、前のテンションを保ったまま二人に会っていて、しかも、そこにお酒がプラスされていい感じに酔っ払ってしまった。  あんなさんは、台湾に留学をしてい

2020年、読んだ本リスト(随時更新)(ウサギノヴィッチ)

伊藤なむあひさんがやっているのを見て、堂々とパクらせてもらいます。 ごめんなさい、伊藤さん。 ありがとう、伊藤さん。 誰も教えてくれなかった死の哲学入門 内藤理恵子 今書いている小説のテーマが「死」についてで、ざっくりでもいいから「死」についての哲学を学ぼうと思って買った一冊。めちゃくちゃわかりやすかった。表紙の図にも出ているように、キルケゴールの死は新しい生への通過点、ニーチェは永劫回帰、サルトルの死は人生との因果関係がない、死は生という世界の中に組み込まれている、みた

全自動焼肉機(ウサギノヴィッチ)

 全自動焼肉機がAppleから発売された。Appleショップでは徹夜組も合わせて、三千人が表参道店では並んだらしい。  全自動焼肉機の素晴らしいところは、液晶パネルにある。たった二インチのモニターにリテーナディスプレーを採用し、色の発色は4Kテレビにも匹敵する美しさであるとこである。そこに、「タン」「ハツ」「ミノ」「レバー」「ハラミ」「カルビ」と表示されるし、「レア」「ミディアム」「ウェルダム」とも表示される。文字の色は、往年のiPodを懐かしがらせる白黒ときている。  そし

KO(ウサギノヴィッチ)

 頭の中で桜島が噴火した。  ここは関東平野の北でもなく南でもなくちょうど真ん中。天気予報で、「北関東」を見ればいいのか、「南関東」を見ればいいのかわからない。しかも、中途半端に栄えている。東武東上線の急行が止まる。つまり、ここは志木だ。志木駅という割には、新座市がすぐにあるし、駅から数百メートルで住宅街になる。その数百メートル行った先のところにあるK O大学の附属高校に入りたいと思っている。いや、思った。思った瞬間に立ち上がって、拳を天に突き上げた。音楽の授業中で、みんなエ

ダラダラとした新年(ウサギノヴィッチ)

どうも、ウサギノヴィッチです。 新年明けましておめでとうございます。 本年もいろいろと書いていく予定なので、よろしくお願いします。 さて、今日は元旦です。 休みでなぁ〜んにもすることがない。 まぁ、やることはあるんですけどね、ラジオの編集したりとか、読書会の小説を読んだりとか。 でも、それよりぼくが毎年年末年始にやっていることは、小説を書くことです。一年の最初からストイックに書く姿勢でいることを自分に植え付けることを毎年しています。それをほぼ毎年やっています。 だから、昨

右腕の筋肉の作り方(ウサギノヴィッチ)

この作品は、僕が主宰している崩れる本棚というサークルのサークル誌『崩れる本棚No.8.0』に掲載されている作品の試し読みです。また、100円をいただければら全部読めます。ちなみに、サークル誌は5/7の文学フリマ東京で頒布されます。気になった方はどうぞよろしくお願いします。 ―――――――――――――――――――――――――― オナニーを四日していなかった。  しかたなく出ている会社の飲み会から帰ったらヤロウと思った。このまま風俗に行ってもよかったのだが、給料日までまだ日に

有料
100

「永遠に終わらないものなんてあるのか?」ということが永遠である(ウサギノヴィッチ)

 どうも、ウサギノヴィッチです。  今日は最後の「N.G.T」のレビューです。  作者は遠藤ヒツジさん。お題となった曲は、MANGA SICK です。  タイトルは『CRIMSON GIRL YUGURE」です。    僕はあんまりというか、全然マンガを読まない。この作品には、たくさんのマンガのタイトルが出てくる。タイトルの通りなのだけれども。  小説を書くに当たって必要なものがある、そして、それが武器になるのだとしたら、それは知識だ。読者も思わず唸ってしまうようなほどの知

それでもやってこない(ウサギノヴィッチ)

 今日もナンバガトリビュート「N.G.T」より、オカワダアキナの『象風景』です。    あらすじは付き合っていた(?)彼女が引っ越すことになって、彼女がバイトだから冷蔵庫が届くを代わりに受け取るという話だ。  テーマ曲は、SAPPUKEIです。    まず初めに思ったのはオカワダさんはやっぱり演劇的なひとだなと思ってしまった。おそらくピロートーク中の話の最中に彼女のお腹にある象のタトゥーを見ながら自分は彼女から生まれたいと思ったと言うっている。  これが僕の胸に刺さった。寺山

作家の言い訳と現状の楽しみ(ウサギノヴィッチ)

 昨日に引き続き「N.G.T」に載っている短編を紹介しようと思う。    今日は『Dancing with Hyottoko』。この作品は、ウサギノヴィッチ。そう、僕が書いたものだ。  あらすじは、高校生が学校を休んで不思議な体験をするという至ってシンプルな話だ。  題材としての曲は「鉄風鋭くなって」だ。    言い訳しか書けないが、このとき僕は絶不調にものが書けなかった。だから、この作品は歪なものになっている。  改行は多いし、とにかく物語を転がすことに急いでるいるようなか