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Daily Select News[17.7.2020]Vol.1

7月17日(金)のデイリー・セレクト・ニュース|国内記事版

表紙画像:Constanze ZiegerによるPixabayからの画像

▼今日のメインは,Twitterのアカウントハック事件.主要ソーシャルメディアのひとつ,Twitterに何が起きたのか? 他のテーマは少なめ.

▼海外記事版はこちら

◇Twitter:ジャック・ドーシーにとって悪夢の日

コラム:ツイッター著名人乗っ取り、偽投稿が世の中動かす恐れ
[サンフランシスコ 7月15日,Reuters]

米著名人のツイッター、相次ぎハッキング 仮想通貨詐欺か
[7月16日,BBC News Japan]

Twitterの暗号通貨詐欺の元凶は内部ツールに不正アクセスした一人のハッカー
[7月16日,Techcrunch]
 「私にBitcoinを送金してくれれば,2倍にして返金する」――こうした手合のツイートがタイムライン(TL)に流れてきたとしても,普段であれば一笑に付すだろう:そんなわけがない,と.
 15日にも,TL上にそうしたツイートが流れてきた.だが,それは普段とは大きく異なるものだった.その理由は,そのツイートの主たちが原因だ.Teslaのイーロン・マスク,Amazonのジェフ・ベゾス,Microsoft創業者ビル・ゲイツ,はたまた大統領選民主党候補ジョー・バイデン前副大統領,バラク・オバマ前米大統領,マイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長など,誰もが知る有名人たちだ.彼らのアカウントが唐突に,そんな“スパム”じみたツイートを投稿したのである.
 Twitterの著名人のアカウントが次々とハッカーに攻撃され,仮想通貨Bitcoinに関連する詐欺が起こった.この事態を受け,Twitterは多くの認証済みアカウントを投稿不能にするという異例の措置を講じた.これに対し,同社のジャック・ドーシー氏は,「Twitterにとって大変な日だ」とし,事態が把握できた際にはすべて公表するとツイートした.Twitterはその後,一連のツイートを発表し,この攻撃は「Twitter社従業員を標的とし,首尾良く内部システムとツールへのアクセスを成功させた,組織化させたソーシャル・エンジニアリング攻撃」であるとしている.
 この出来事について,サイバーセキュリティ企業クラウドストライクの共同設立者ドミトリー・アルペロヴィチ氏は「主要ソーシャルメディアのハッキング被害としては過去最悪」だとReutersの取材で述べている.仮想通貨はその構造上,通貨の動きが公開記録として残されるが,その記録によれば,今回の出来事で約10万ドルもの被害額が生じたという.
 今回の出来事を受け,Twitter株は時間外取引で約4%下落した.こうした事件は,IT企業の投資家にとって,コストの増加を意味する.なぜならば,この問題を修正するなどの経費が生じるからだ.だが,それによって将来的に起こり得る,同社の面目を潰すような騒動のリスクを軽減できるならば,このコストはリスクと相殺できる.
 とはいえ,今回の事件の問題はそれだけではない.トランプ米大統領に代表されるように,政界や財界の有力者たちは,Twitter上で何らかの発表を行い,それは市場を大きく動かす.また,諸外国の指導者同士が対話したり,あるいは誰かについて語ったりすることもある.このように,株式市場だけでなく,実際の国内外の政治にも大きく影響を及ぼすのである.そこに,フェイク・ツイートの存在を考えれば,それがどのような影響をもたらすかは想像に難くない.それゆえ,公的な立場にあるユーザーは,Twitterの利用について再考する可能性があり,それが同社に与える影響は小さくない.
 なお,ある情報筋がTechcrunchに語ったところによれば,今回の事件は「Kirk(カーク)」というHNで知られる人物による犯行だという.Kirkは,Twitterがアカウント管理に用いている内部ツールにアクセスし,そのツールによって本人が自分のアカウントをコントロールできなくするために,アカウントに登録されていた電子メールアドレスをリセットしたという.そして,上述の詐欺ツイートを投稿し,ほんの数時間で10万ドルを稼いだのだである.
 Techcrunchは,今回の犯行について,ハッカーがTwitterの内部ツールにアクセスした方法について,従業員の社員アカウントを乗っ取った可能性について指摘している.これについて,前述の情報筋は,Twitter従業員の一人が今回の犯行に加担したとは考えにくいと指摘している.
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◇2020年米大統領選挙:低迷するトランプ,リードするバイデン

情報BOX:米大統領選7つの争点、バイデン氏とトランプ氏を比較
[7月16日,Reuters]

さらにリードを広げるバイデン氏、米大統領選世論調査
[7月16日,JETRO]

コロナ危機収束見えず、ファウチ氏攻撃も空振り トランプ氏の支持率低迷
[ワシントン 7月16日,AFP]
 米コネチカット州のキニピアク大学が今月15日に発表した世論調査によれば,民主党候補のバイデン前副大統領とトランプ大統領のポイント差は,6月調査の8ポイントから今回15ポイントにまで広がった.そして,もし今日大統領選挙が実施されるなら,バイデン氏に投票すると回答した人が52%,トランプ大統領は37%という結果となった.リアル・クリア・ポリティクスの調査でも,全国の世論調査の6月27日~7月14日の平均値でも,バイデン氏の支持率は48.7%とトランプ大統領(40.1%)を8.6ポイント上回っている.
 新型コロナウイルスの感染拡大が依然として深刻ななか,11月の大統領選での再選に暗雲が漂い始めたトランプ大統領は,迷走しつつある.同氏は,今回の大統領選は前回よりも「はるかに簡単だろう」と楽観的な見解を表明しているが,現状は厳しい.全米各地で新規感染者数が増加しており,事態は悪化の一途を辿っている.
 こうしたなか,トランプ大統領はコロナ対策での失敗の責任を転嫁しようと,米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長への批判キャンペーンを展開していたが,これは失敗した.共和党内でも,事態に真剣に取り組むよう要求する声が上がっている.それにも拘らず,トランプ大統領は依然として,ファウチ氏への批判を繰り返している.これに対し,ファウチ氏は米The Atlantic誌に,トランプ大統領らの試みは「奇妙」だと指摘し,それは最終的に大統領を傷つけることになると述べている.
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◇ナイル川支流の巨大ダム,周辺国の緊張を高める

ナイル川の水争い、エチオピアが巨大ダム貯水開始か 水位上昇で緊張高まる
[アディスアベバ 7月16日,AFP]
 エチオピアは2011年から,ナイル川支流の青ナイル川に巨大水力発電用ダム「大エチオピア・ルネサンスダム(Grand Ethiopian Renaissance Dam:GERD)」を建設している.これは,完成すればアフリカ最大規模の水力発電用ダムとなる.
 だが,このダムをめぐっては,青ナイル川下流に位置するエジプトやスーダンから,水量減少によって必要な取水量が確保できなくなるという懸念が表明されており,流域諸国では緊張が高まっていた.そして,このダムで15日,水位の上昇が確認され,複数のメディアで貯水が始まったと報道された.エチオピアが貯水を強行したとすれば,エジプト・スーダンの強い反発を招くことは必至と見られている.
 これについて,同国の水・灌漑・エネルギー相シレシ・ベケレは15日,「GERDで水が張られているのは,ダム建設の自然な工程に沿ったもの」としたが,貯水開始については明言しなかった.同氏の発言を受け,エジプトとスーダンの両国は声明を発表しており,エチオピアに対して公式の説明を求め,同国の一方的な行動を拒否すると述べている.
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